2017年9月22日金曜日

日本&米国両政府の貸借対照表

自民党政権は消費税を10%に上げ、デフレの苦しみを再度繰り返そうとしていると三橋貴明氏が批判している。https://www.youtube.com/watch?v=4UH4rNe61W8

その背後に居るのが財務省であり、財務省の目指すのはプライマリーバランスであり、消費税はその一環であるという。つまり、日本の経済環境下で、政府は借金を増やさないで経済を発展させるのが良いし、それが可能であると考えているらしい。

三橋氏は、与野党を問わず政治家達が心配している政府の大きな借金について、差し当たり国債の暴落などの心配などなく、現在はデフレの克服のために増税などしない方が良いと言っている。その理由は、国債の殆どを国内で持っているからである。そこで、そのあたりを我流で考えてみた。もっとも手取り早いのは、米国と日本の貸借対照表を比較してみることだと思う。

1)日本と外国の財務環境を比較する際、世界の基軸通貨発行国との比較では当てにならないという考えもある。しかし、米国のデータは比較的簡単に入手できるので、比較対象とした。
ちょっと周り道だが、米国の債務を表すグラフが見つかったので上に示す。全体で20兆ドルを超えており、日本同様に批判がある。税金を支払う人一人当たり、100万ドルを超えるという批判がわかりやすい。 http://www.marketwatch.com/story/heres-how-the-us-got-to-20-trillion-in-debt-2017-03-30

日本円では2500兆円位だろう。しかし、全債務とは要するに貸借対照表片方のトータル額であり、健全性の判断はできない。そこで、米国の貸借対照表(BS)を見てみる。
上記のBS表では、資産と負債の差額が、17兆ドルであり、資産の6倍近い。その中で、国債(Federal debt securities)は12.8兆ドル位であり、またその下にある6.6兆ドルあまりは、職員の退職引当金などであろうが、相当多額である。日本と違って軍人が160万人近くいるので、その年金引当金などが大きいのだろう。国家の純粋な借金としては、上記17兆ドルと考えて良いだろう。

国債の約半額の6兆2000億ドルは外国が持っている。そのうち、多額の米国国債保持国は日本と中国であり、その金額はそれぞれ1.1〜1.2兆ドル位である。詳しくは米国財務省のページなどにある。(補足1)この状態でも米国債の格付けがAAAであるのは、驚きであるが、世界の覇権を握っているということの意味だろう。アメリカファーストと言って、もし覇権を放棄するなら直ちに破産だろう。その場合、外国の持つ債権は紙くずになり、米国軍人などの年金はゼロになるだろう。そんな事できる訳がない。こらからも自転車操業を続けるしかないのである。

また、米国の中央銀行であるFRBが持つ米国債は、2.5兆ドル位である。中央銀行のバランスシートに関して、一言言及すると、住宅ローン債権などが多額含まれており、これも健全かどうか心配である。一番下の青い部分が財務省債権、赤い部分がmortgage-backed securities、つまりほとんど各種住宅ローン担保証券だと思う。FRBの資産圧縮が始まるが、この赤い部分を民間に売り渡すことだろうが、信用が十分あるのだろうか。
2)次に日本の貸借対照表を見てみる。
上が日本財務省の貸借対照表である。 資産と負債の差額(つまり債務超過額)は、平成25年度で490兆円である。その資産に対する割合は、0.75倍であり米国の5.7倍と単純に比較すると、遥かにましである。納税者一人当たりの純借金という言い方では、正味7万ドル位だろうか。同じ数字で言えば、米国の場合は70万ドル位なので、相当その深刻さには差があると思う。
また、日本の国債のほとんど全部は、日本人の金融資産として国内で保有されている。このように考えると、我が国の財政は米国と比較して相当健全と言えるのではないだろうか。国債の金利の急上昇という言葉がよく出る。それは、北朝鮮などの核の脅威がたかまり、日本脱出を富裕層が考える時だろう。外交が非常に大事だと思う。

3)稼いだ金を貯蓄するのは、稼ぐ時と使う時のズレがある限り仕方がない。しかし、稼いだだけのお金を使い切るのが、経済システム全体の回転を考えれば必要なことである。何故なら、稼いだ金のトータルは供給した商品やサービスのトータルであり、サービスや商品は長期には貯められない。(経済学における三面等価の原則)

つまり、稼いだだけで使わなければ、その部分はデフレ要因になる。現在まで世界経済が回っているのは、米国が稼いだ以上に使ってきたからだと思う。消費税を上げるなどして、国民に将来不安を喚起し、国内の消費意欲を減少させるのは、ますますデフレ傾向を加速することに繋がると思う。

日本の政府も、稼いだ額(GNP)の全ては本来使い切らなければならないが、多額の対外債権を持っている。その結果、購買力平価に比べて円高になる傾向が強い。為替操作国との非難が聞こえる中で、日銀の異次元緩和でノーマルな為替相場を実現してきたのだと思う。

財務健全化は必要だが、それを増税でやるのは非常に非効率であると三橋氏は言っているのである。政治は、企業が投資を積極的に行い、国民は無理に消費を控えないような、明るい未来を感じさせるものでなくてはならないのである。

国債の金利の急上昇という言葉がよく出る。昨日の日銀総裁の言葉の中にもあった。それは、北朝鮮などの核の脅威がたかまり、日本脱出を富裕層が考える時に懸念されるのではないだろうか。つまり、国債の信用には、外交が非常に大事だと思う。

「円」は現在高い信用を得ている。その円を守るのに、国家がすべきことは主婦感覚の節約ではなく、外交と明るい内政で守るのが正道だと言うことだと思う。逆に言えば、増税をそのまま実行することは、財務省の財政健全化=節約という頼りない親父の家庭の主婦感覚をそのまま受け入れて、下手なことはせずに自分の政治家という職業を守ろうとする無能な国会議員が、政府や国会を占めていることを証明しているのだろう。

理系の素人なので、特に3)の部分について、間違いがあれば指摘してほしい。 (編集:9月22日午前8時)

補足:
1)中国や日本も夫々1兆1000億ドル前後持っており、米国以外の国全体で6兆2500億ドル前後である。http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt
米国の中央銀行であるFRBも数兆ドル(2.5兆ドル)持っている。http://www.investopedia.com/articles/economics/10/understanding-the-fed-balance-sheet.asp

2017年9月21日木曜日

安倍総理の国連演説は極めて愚かなものだったと思う

安倍総理の「世界は歩調を合わせて北朝鮮に圧力を掛けるべき」との国連演説は、北朝鮮の核の標的に名乗り出るようなものである。しかし、それでも玄人筋の評価は高い。例えば、クレムリンメソッドという本をかいた北野幸伯氏は今朝のブログで、安倍演説を高く評価している。 https://jp.mg5.mail.yahoo.co.jp/neo/launch?.rand=66e9jedpmse1j#tb=qljv0rs6

その圧力が重要だとする主張の根拠として、1994年10月の米朝合意で、核兵器開発をやめるという約束で軽水炉支援をしたが、その約束を破ったこと;2002年に北朝鮮がウラン濃縮をしていることが明らかになり、6カ国協議をつくって対応を話し合い、2005年に6者は一度合意に達し、声明を出すに至った。

北朝鮮は、全ての核兵器、既存の核計画を放棄することと、核拡散防止条約(NPT)と、IAEAの保障措置に復帰することを約束した。その一方、同年「我々は既に、核保持である」を宣言した。さらに2006年の10月第1回の核実験、2009年に2度目の核実験行い、その年北朝鮮は6カ国協議からの脱退を表明した。そのような経緯から、安倍総理は「対話とは、北朝鮮にとって、われわれを欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と結論した。

その演説の中で、安倍総理が北朝鮮の核兵器開発はNPTへの挑戦であり、それは世界平和体制への挑戦であるというロジックで、世界を味方につけようとした点を高く評価している。

しかし、そのロジックは双刃の剣である。つまり、日本は自らNPTからの脱退のチャンスを逃すことになるからである。それは、1971年に中国を訪問したキッシンジャーと周恩来の間で約束したと言われる、日本に決して核武装はさせないという米国の一貫した戦略である。

その戦略を逆手にとって、北朝鮮から核兵器開発を早期にやめさせる手段があった。それは日本の核武装の検討である。周辺国であり国交のない北朝鮮が核武装すれば、日本に取って危機的状況であり、NPTにあるように脱退の権利を得る。

日本に核武装させることには、中国もロシアも大反対するだろう。そして、米中露は歩調を合わせて、北朝鮮の核開発を潰すだろう。その最も有効な手段と、日本の核保有の潜在的権利をわざわざ放棄して、米国の尖兵となって北朝鮮と対決するのは非常に愚かな外交である。

また、佐藤勝氏が言及している核の共有は、ある意味で核の拡散である。NPTに高い価値をおいた演説は、その案も放棄するということなのか? もしそうだとすれば、全く最悪の演説と言わざるを得ない。

北野幸伯氏はそれが全くわかっていない。

13歳の日本人少女(横田めぐみさん)拉致に言及したトランプ大統領の国連演説

拉致被害者に言及したトランプ大統領の国連演説トランプ大統領が国連総会で、北朝鮮による横田めぐみさんの拉致に言及した。これを評価し喜んでいる日本の方が多いが、それが本当に横田めぐみさんの救出に役立つだろうか? 確かに、北朝鮮を非難する格好の話だが、良い結果には繋がらないと思う。

すでに北朝鮮は、横田めぐみさんは死去していると日本に報告している。その上で、この問題は解決済みとの態度を表明している。

そのような状況下で、もし北朝鮮が米国と戦争になり日本も戦線に加わるとなれば、北朝鮮に存命中の日本人の命が無くなる確率の方が、無事帰還する確率より大きくなるのではないだろうか?

私が拉致被害者の家族なら、中距離核を持ったままでも良いから米国と講和し、そして日本も北朝鮮と国交を回復する方向を期待する。私には、拉致被害者の家族の方々の考えが、北朝鮮憎しの方向で政治化しているような気がする。

もう一つ:佐藤勝氏が、トランプ大統領の横田めぐみさんへの言及は、外務省と米国との交渉の結果だろうと言っている。佐藤氏は、日本国政府はそれに対する交換条件を飲んだ上で、米国にこの件を要求したのだろうと言っている。

もしそうなら、結果としては日本は踏んだり蹴ったりではないのか。(補足1)その交換条件の一つの可能性は、集団的自衛権の具体的運用における確認である。つまり、「米国の北朝鮮攻撃の第一撃は米国がやるとしても、その後の後始末で先頭に立つのは自衛隊である」ということの確認をされた可能性があると思う。

先に書いたように、「拉致問題の最大の責任者は、自国民を自国の領土内で他国に拉致された日本国政府である」との指摘について、拉致被害者家族などを含め評論家諸氏は、十分考えてほしいものだ。

補足:
1)この日本語は、「踏まれたり蹴られたり」が正しいと思う。日本語は言語としての出来が悪い一つの証明だろう。

2017年9月19日火曜日

北朝鮮のICBM抜き核保持と日本と米国の核共有:佐藤優氏の北朝鮮問題解決法の影

1)佐藤優氏は北朝鮮問題に関して面白い考え方を紹介している。
米国と北朝鮮との交渉は、北朝鮮にICBMは許さないが、中距離ミサイルと核兵器までは認めるという条件で、決着するだろう。その代わり、日本は米国と核兵器の共有(補足1)をする形に、同盟関係を深化してそれに対する抑止力を持つしかない。https://www.youtube.com/watch?v=lzlkDxbExLQ

10分ほどの動画なので、先ずは是非上記サイトにアクセスしてもらいたい。

この核兵器の米国との共有は本ブログで何度も主張したことである(補足2)が、私は北朝鮮と米国が上記のような合意をする前で無いと、核の共有すら実現しない可能性があると思う。その当たりを明確に言わないところが、上記佐藤氏の考えは不自然な粗雑さを持つ。

日本との核の共有の発表前に北朝鮮と合意すると仮定すると、その時米国は中国とロシアの強い反対を押し切ろうと努力するが、結局その反対に屈するだろう。そして日本には、「核共有が無くとも日本への核の傘は非常に強靭である」と強調することで、話を済まそうとするだろう。上記前後関係がどうなるか分からないが、全て予めシナリオを作りその通りに進めるだろう。(この2文、18:00修正)

次の段階として、佐藤氏は北朝鮮への積極的な経済進出を議論している。
北朝鮮の人たちが、日系企業やその他の外国企業で働き、経済的に自立した場合、国民の心はキム王朝から離れるだろう。その経済的な繋がりは、戦争の動機を消滅させる。その後、核兵器の廃棄に向かわせる。

この考え方も、佐藤優という知の巨人の考えにしては、不自然なレベルで粗雑だと思う。先ず、佐藤優氏は北朝鮮の国民の気持ちはキム王朝を支持していると前提しているが、その根拠が示されていない。テレビ討論などで良く聞く意見は逆であり、国民の気持ちは今でも殆どキム王朝から離れているというものである。

もし、佐藤氏の言うように金正恩が国民の心を掌握しているのなら、米国の脅威がなくなれば政権は安定に継続できる筈であり、命を賭けたチキンレースなどせずに、核兵器抜きの平和条約締結と国家承認を得る道を選ぶ筈だと思う。自動的に日本や韓国も、北朝鮮との平和条約締結をする筈である。半島の統一は、その後経済力が付けば自然に進むだろう。西側の国をしっかりと見ている金正恩が、今更、社会主義に拘る筈はない。拘っているのは、自分と家族の命であり、それと不可分な自分の独裁体制である。

北朝鮮のGDPは日本の茨城県くらいであり、田園部では年により餓死者がでるという状況である。それにも拘らず、核ミサイルの開発など軍事力強化の道をひた走る金正恩体制が、国民の心を掌握している筈がない。

2)次に、日本などの経済協力による北朝鮮の軟化政策であるが、これも欠陥だらけの議論である。勿論、日朝間で国交を樹立し、日本が支払う経済協力金とそれを足場した経済振興は、関係を良くするように見えるだろう。しかし両国の関係は、中国との国交回復後と似たプロセスで進むだろう。つまり、独裁体制には敵国が必要であるから、そのうち経済力がつくと、徐々に日本に対する牙が現れる筈である。現在中国に見せているらしい敵対心は、成長期の子供が親に見せる類のものだと思う。

米国の核付き国家承認と、日本との国交樹立と経済協力という佐藤氏の考えは、日本にとっては中国のケースと較べものに成らない位に悪い結果を招くだろう。それは日本国にとって致命的と言える位だろう。(補足3)

その第一の理由は、北朝鮮にとって中国的な共産党支配の資本主義経済体制を実現することは難しいからである。中国では毛沢東が皇位を子孫に継承したわけではないので、共産党独裁という集団指導体制ができた。しかし北朝鮮の体制は、共産主義国家を標榜しながら経済的には後進国であり、その国家権力がキム一族で相続される、キム絶対王制である。

絶対主義体制は、経済が発展し貿易や人の出入りなどで国際交流が盛んになれば、潰れることになる。それがあの国が信奉する共産主義の教えるところである。(補足4)その場合、体制維持のために必要なのは、外国との緊張関係と力の内政である。力の内政が国家や国民の経済力がつくと、用い難くなり、前者に一層頼る。それが現在の中国であり、未来の北朝鮮である。

その対立関係の維持のために格好の対象となるのは日本である。その際の強力な手段は核兵器と、韓国と共同で歴史問題を捏ち上げて脅すことである。現在韓国が利用している従軍慰安婦問題という日本イジメの道具は、挺対協という北朝鮮のオルグ機関製であることを、佐藤氏は知らない筈はないだろう。つまり、今となっては核兵器は体制の柱であり、廃棄することはキム絶対王政の崩壊と同義であり、あり得ない。

もし、そこでキム王朝から共和制への革命ということになれば、その中で日本に核兵器の2-3発は落とされ、千万人レベルの死者が出る可能性が高いと思う。

3)拉致問題の解決と日本と北朝鮮との関係正常化は、米国の邪魔が入らなければ、小泉政権の時の交渉で成功していただろう。それは、北朝鮮経済の発展を促進し、その結果中国のような集団指導体制の国にまで進んだ可能性がある。その際少なくとも、対立関係の方向を、韓国に向けることが出来ただろう。(補足5)

その時に要する米国の決断は、今回佐藤氏が予言するようなレベル以下のもっと軽いものだっただろう。その結果は、日本と半島の関係も今ほどギスギスしたものでは無いだろう。小泉総理が米国の相談抜きに話を進めたのは、最初から米国と話をした場合には、その段階で話が潰されると読んだからだろう。

現在のような情況下で、北朝鮮が核付き軟着陸を果たし、韓国との関係も穏やかなものになれば(連邦制が実現する可能性もある)、両国は一緒になって日本を敵対視する筈である。その練習は、ミサイル発射まえの脅しでも分かるように、今回十分した筈である。北朝鮮が現在非難しているのは、米国と日本である。文在寅韓国大統領は賢明にも、北朝鮮への人道支援を口にしている。

この北朝鮮問題の本質は、米国が北朝鮮を作ったということを理解しなければ分からない。つまり、前回のブログで書いたように米国が北朝鮮と朝鮮戦争を必要としていたのである。例えば、下に引用した馬渕睦夫氏の話を聞いて欲しい。https://www.youtube.com/watch?v=cEyuDPPVK-4&t=320s

兎に角、佐藤優氏の上記動画での意見はまともではない。佐藤氏は智者である。私は佐藤氏の近くに米国の影を見る。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42023202.html

補足:
1)核兵器の共有は、米国とNATO諸国との間で行われている。米国から核兵器の提供を受け、それを米国と共同管理する方式である。そこで核兵器のボタンを押す権利は、米国と核共有する国にも存在する。しかし、NATO諸国と違って日本の場合は、独自核保有しか安心できる防衛手段はないと考えるべきである。米国は人種の違いと文化の違いなど、更には、過去の歴史的経緯から、日本を本当の意味での友邦とは考えていないだろうからである。
2)佐藤氏は、核兵器の共有が米国との交渉で可能になるように言っているが、それは中国やロシアの強烈な反対を招くだろう。その前に、日本国内で強烈な反対運動が、中国等によりオルグされるだろう。
3)この危機的情況から日本を救うのは、日本に核のボタンが存在することと、巧みな自立外交である。特に国際社会へ正しい歴史認識を提供すること、そしてそれを上手に宣伝することなどは不可欠である。
4)マルクス思想の基本である唯物史観では、国家の上部構造である政治構造は、下部構造つまり経済構想に依存するということである。それで絶対王政から市民革命を経て資本主義国家ができ、その後、経済の高度な発展が進めば、資本家も力を失い、共産革命が起こる。
5)キム絶対王政は、金正恩への世襲譲位により完成した。2代だけなら、絶対王政と共産党独裁の中間状態である。もし、金正日の時に北朝鮮が軟着陸したとすれば、差し当たり韓国と敵対するだろう。しかし、現在のような韓国の政権ができれば、他国に大きな影響を及ぼさずに、連合国のような体制に移れるだろう。(補足5は、19時修正)

2017年9月17日日曜日

日本封じ込めがこれ迄の米国の戦略だった:元米国高官の二、三の発言

昨日試聴版として配信された、危機管理が専門で日本戦略研究フォーラムの政策担当委員(http://www.jfss.gr.jp/home/index/yakuin)の丸谷元人氏の動画を参考にして、ネット検索などで調べた日本の周囲に関する情報を紹介したい。もちろん、話は既に一度は聞いたことだが、より具体的であり、説得力がある。

先ず、北朝鮮は米国が作ったという話が紹介された。北朝鮮及び朝鮮戦争は米国が東アジアの戦略の一環として存在するらしいことは、馬渕睦夫氏の本「国難の正体」などで述べられている。丸谷氏は新たな”裏付け”を紹介している。

それは、ブッシュ(父)大統領時代の駐中国大使のジェームズ・リリー(補足1)の発言である。CIA高官の時代からブッシュ大統領と親交のあったリリーは、「もし冷戦終了時に北朝鮮が無ければ、米国は新しく北朝鮮を作ったであろう。北朝鮮は、米国第七艦隊の常駐のために必要だったからである」と語ったという。

この発言は、ウィキペディアなどネットを探しても見つからなかったが、リリーは回顧録を出版しているので、そこに書いてあるだろう。因みに、リリーは天安門事件に関して中国政府に批判的であったが、中国高官には尊敬されていたという。中国の青島生まれであり、幼少時から中国社会に親しみを抱いていたのがその理由の一つだろう。(補足2)

次に、日本人の多くは、李承晩が強引に竹島を占領した(1952)と考えているが、丸谷氏によればそれはアメリカが承認したことだという。李承晩は日本の敗戦まで米国に逃げていた。その後米国により最初の韓国大統領に指名されたが、側近には元CIAの人間がいたという。そのような身分で、米国の管理下にある島を独断で奪い取ることなどできそうにないからである。

更に、1971年の周恩来とキッシンジャーの会談で、キッシンジャーは「日本に様々な領土問題を残したのはCIAのアレン・ダレス(補足3)であり、それは日本と周辺諸国の間にトラブルを残すためだ」と漏らしたという。その際、キッシンジャーは日本が再度暴走したら、中国と米国の古い友人関係で封じ込めれば良いとも発言したという。

このように裏の世界で重要で激しい外交が展開されている国際社会に関して、日本人要人の多くの理解は、冷戦時のまま止まっていると指摘する。昔、鉄の壁で隔てられていた間柄でも、時間が経った現在ではその壁跡を超えて交流が進んでいると指摘する。例えば、フランスとロシア、ドイツと中国、英国と北朝鮮などは、親密な関係を構築しているという。

日本では、米国と北朝鮮との交易などないと思われているが、米国は裏で英国やタックスヘイブンを利用して、武器などを北朝鮮に売っている。例えば、「北朝鮮の沿岸警備艇には自衛隊も持っていないかもしれないGE製の高性能12.7 mm砲が搭載されている。これは北朝鮮に英国などを経由して輸出された筈である」という。

その一方、日本の政治家や外交官のナイーブさを指摘する。元大使のある方と話をした際、「君、ワシントンでアメリカの要人と付き合ったが、彼らは皆紳士だよ。いい加減なことを言う筈はないじゃないか」と言ったという。これではダメだと思ったという話を丸谷氏は紹介している。

日本の政治家には、北朝鮮の核の脅威に対する対策として、米国との安保体制の強化や、米国から提供されるミサイル防衛システムの拡充で対策するしかないと考える人は多い。しかし、米国と関係を強化することのみに日本国の安全を掛けることは、上記例を考えれば、全く不十分且つ危険であることがわかる。 自民党政治家の多くの国際的認識も、上記大使のものと対して変わらないのではないかと思う。

補足:
1)James Lilley氏は、30年間CIA勤務のあと、韓国大使(1986-1989)、中国大使(1989/4/20-1991/5/10)を務めた。なお、天安門事件の期間は(1989年4/15-6/4)。
2)このように親中的な人は相当多い。中国生まれの人などの他、例えばパール・バックの小説などで親しみを持つ人が多いと聞いたことがある。
3)アレン・ダレスは、元CIA要員からCIA長官になった。在位は1953-1961。アレン・ダレスの 兄は、ジョン・フォスター・ダレスであり、アイゼンハワー時代の国務長官(在位、1953-1959)であった。

2017年9月14日木曜日

日本の北朝鮮核装備への対応は根本的に間違っている 

安倍総理はインドで、北朝鮮への制裁を強めるべきだという共同声明を発表した。私は、何故日本が対北朝鮮制裁の先頭に立つのかさっぱりわからない。強大な軍事力を持つ米国の前にたって、十分な報復能力もない日本が北朝鮮の矢面に立つのは愚かなことである。

北朝鮮の当面の敵は、朝鮮戦争の当事者である米国及び韓国である。従って、米国が攻撃された場合、集団的自衛権の規定により日本も参戦する必要があるが、最初の一発が撃たれない限り、日本は当事者ではない。もちろん、国連加盟国として、国連の制裁決議があったと言う点では、制裁の当事者である。その場合は、英国やフィリピンなどと同程度に制裁を主張すればよいことである。

日本が今後取るべき方向は二つある。一つは、現在の憲法に従って平和主義を完徹する方向である。日本では核保持はおろか、国際紛争を解決する手段としての軍事力さえ持たないと言う憲法を、未だに堅持している。もし、そのような憲法を持つ平和主義をとるのなら、集団的自衛権の行使は明らかに憲法違反である。

日本国民の総意がそのような平和主義なら、安倍総理の国連で制裁決議を出したり、各国を回っての制裁強化をすべきとの声明は、非難されるべきである。野党は不信任決議案の提出を直ちにすべきである。集団的自衛権行使を可能にした法は廃止すべきである。日米安保条約も、日本が米国の戦争に巻き込まれるだけであるから、解消すべきである。

二つ目は、憲法を改正して自衛軍を持ち、歴史的経緯と一国だけの軍事力の限界も考えて、米国との軍事同盟を対等な形に強化する方向である。その場合、核兵器とそのボタンの両方を完全に米国に依存するのは、対等ではないので、自国で核軍備をするか、核兵器を米国にシェアさせてもらい、核のボタンを我が国が持つべきである。

これらのうち、最初の方向は非現実的であるのは言うまでもない。国際政治においては、軍事力があってこそ、対等な立場でのの交渉外交が可能となるからである。もし、そのような状態であれば、中国に沖縄までの領土領海は、2-3年で奪い取られるだろう。数10年すれば、日本民族はかつてのユダヤの民の様に世界に散らばり虐待の対象になるだろう。

結局後者の方向しか、日本には残されていない。その方向を明確にとり、日本の独立性を確保すれば、米国の操り人形のように、各国を回って北朝鮮の制裁決議を宣伝する必要がなくなるのである。その方向に米国の同意がただちに得られないのなら、交渉すべきは米国であり、インドなどの国ではない。(補足1)

上記の様な二つの道を敢えて書いたのは、現在の日本は論理的には本来あり得ない二つの道の混合状態をゾンビ国家のように歩んでいる。それは言葉を話す人間を構成員とするまともな国家の採る方針ではない。そのいい加減な状態が、現在単に敵対する可能性しかない国(北朝鮮)から訳もなく脅されたり、現在一応同盟国となっている国から軽蔑され信用されない原因となっている。そのことに何故、政治家たちは、そして彼らを選ぶ国民は気づかないのか。

兎に角、憲法9条二項を完全に自衛軍を持つと言うふうに変更する議論を、国会だけでなく国民とともに始めるべきである(補足2)。そして、米国とも核のシェアリングについて話し合うべきである。論理的で信用のある国家としての再出発を演出すべきであると思う。

もちろん、いろんな方向で国将来を考えることは、米国の姿勢が内向きになる場合などを想定すれば、非常に大切であると思う。そのためには、ロシアとの関係や中国との関係なども考えるべきだろう。しかし、その際、両国の歴史や文化、考え方の日本との違いなど、両国を十分研究して戦略をたてるべきである。

第二次大戦で大敗を喫したのは、相手の研究や多くの知性を持つ個人の考えを集積して戦略を立てるという普通の方法が、日本では取れなかったからである。その状態は今も変わっていない様に思える。

(加筆修正:9/15 am) 補足:
1)もちろん、インドから核兵器をこっそりと調達するために訪問したのなら、そしてそのための日印同盟の雰囲気作りのためなら、評価できるのだが、おそらくそのようなことではないだろう。
2)下らないJーアラートを鳴らして、国民を脅すよりも、国民に憲法を考えさせるCーアラートを鳴らすべきである。Cが憲法(英語)のCである。

ユダヤ人の反日感情の原因か? 満州でのユダヤ人移住者への対応

1)日本人のほとんどは、ユダヤ人が親日的感情を持っていると考えている。それはリトアニアで日本通過ビザを多量に発行した杉原千畝(1940年頃)や、上海等においてシベリア経由で逃げてきたユダヤ人を多数救ったという話(1938-41)があるからである。更に、日露戦争の際に日本に巨額の融資をした米国のヤコブ・シフも思い出す人が多いかもしれない。戦費の4割を公債購入という形で貸し付けてくれたのである。

しかし、ユダヤ人資本家たちやそのエージェント達は、日本に強い反日感情を持っていると考えている人がいる。この文章を書くきっかけは、その一人スタンフォード大の西鋭夫氏の無料動画(試聴用)であった。実際、キッシンジャーやブレジンスキーなどの米国支配層のユダヤ系の人をみると、その様な見方が正しい様な気がする。

その理由は、“日本のシンドラー”などがユダヤ人救出に貢献する数年前に、満州の日本軍はユダヤ人に対して酷い扱いをしたからである。つまり、杉原千畝や樋口李一郎や安江仙江(ユダヤのゴールデンブックに記載されている)などの話が始まる前、1930年代の始めからユダヤ人と日本人の関係を見なければならない。

日本人は自分たちに都合の良い話ばかり語り、全体像を伝えないのである。例えばネットには、ユダヤ人を救った日本人の話が満載だが、虐待したとかロシア人を使って、身代金誘拐を働いたというような話はほとんどない。http://blog.goo.ne.jp/ss007_2007/e/3e641909f291165c7fd4a434db5b193d 

以前、渡部昇一さんが東条英機も”シンドラー”だったと言う様な話をされていたが、それも多分に誤解だろう。http://jjtaro.cocolog-nifty.com/nippon/2012/02/post-d3d7.html

2)1930年のハルビンには一万数千人のユダヤ人が住んでいた。ロシアでの計画性をおびたユダヤ人虐殺である“ポグロム”(補足1)から逃れて来た人たちが住み着いたのである。ハルビンには革命で追われたロシア人貴族や反革命軍の所謂白系ロシア人も住み着いていたが、満州事変で占領される1932年2月までは、ハルビンは極東アジアにおけるユダヤ人社会の中心として栄えていた。

日本が占領すると、外国人の経済活動を封じるだけでなく、彼らにたいするテロ行為も行った。多くの例があるが、最も衝撃的だったのは、ユダヤ人ピアニストであったシモン・カスペの誘拐殺人事件であった。シモンの父である富豪ヨセフ・カスペ(国籍フランス)は、日本の警察が解決するから身代金は支払わないようにというフランス領事の勧めを聞いて、その支払いをためらっている内に、ピアニストとして大事な指の爪が剥がされ、両耳が切り取られ、ガリガリになった傷だらけの死体となって発見される。

犯人の白系ロシア人はフランス副領事の努力もあって逮捕され、最終的に日本人による裁判に掛けられるが、有罪の判決の後保釈されてしまった。背後には、日本軍がいたからである。

この事件などで、ユダヤ人はハルビンから上海などへ逃げて出ることになった。以上は、九州大学の阿部吉雄氏の論文「戦前の日本における対ユダヤ人政策の転回点」に記載してあったことである。http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac/repository/100000/handle/2324/5463/slc016p001.pdf この事件の概要は、後述の「フグ計画」について書いた英書にも詳細に書かれている。 所謂“河豚計画”は、日本は欧州で差別されているユダヤ人を勧誘して、満州に移住してもらい、ユダヤ人の資本と強い(と日本人が考える)政治的影響力を利用する計画を進めようとする作戦である。それは、満州三介の一人鮎川義介の発案によるとされ、1938年に五相会議で承認された正真正銘日本国政府の政策である。日本の関東軍が中心になって、満州にユダヤの国を作るという計画であり、実際にそれを進めたのは、陸軍大佐安江仙弘である。

これにより、アメリカのユダヤ資本とアメリカ政府に対するユダヤ人の影響力を利用して、アメリカの対日政策を日本にとって有利な方向に導こうと考えたのである。(上記論文、p10)しかし、それはユダヤ人に対する基本的知識を欠いたまま立案され、当然の帰結として失敗に終わった。

ざっと眺めただけであるが、英語の本「The Fugu Plan」に(補足2)はそのプロセスを1930年代の初めから詳細に記述している。ユダヤ人に対する、担当した安江や樋口を含めて日本人の誤解は、現在は偽作だと考えられている「シオン賢者の議定書」を信じてしまったことによる。更に、ユダヤ人の経済力や西欧における政治への影響力に対する過大視(更に、米国への忠誠心を軽視してしまったこと)である。

1937年からユダヤ人保護政策をとるが、それがハルビンでの残虐行為の後のことであるから(その償いだとしても)、現在日本人が考えるほど、ユダヤ人の日本への好感は期待できないのではないだろうか。

3) 蛇足:
昨今のテレビ番組では、日本が国際的に良い印象を持たれていると感じさせて、自己満足を提供する番組がおおい。日本の技術を学びに来る様に、外国人をテレビ局が招待してその様子を取る番組、あるいは日本を旅する外国人を取材する番組(Youは何しに日本へ?)などである。

テレビ局の動機が、日本人の自尊心を満足させようという浅はかなものであり、非常に醜い作りの番組である。

補足:
1)ポグロムとはロシア語で「破滅・破壊」を意味する言葉である。17世紀からロシア等で行われたユダヤ人の虐殺行為を指す。1543年にマルティン・ルターがユダヤ人の迫害を理論化して提唱する本「ユダヤ人と彼らの嘘について」を出版したという。
2)Marvin Tokayer and Mary Swartz, “The Fugu Plan”, Weatherhill, NewTork, 1979.