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2014年3月22日土曜日

ウクライナ政変とクリミヤ独立に対する考察

 ウクライナの情況は日本にとってもいろんな教訓を与えてくれると思うので、ここに私の考えを書きます。以前、本ブログにこの件書きましたが、重大な理解不足があったので、改めてここに掲載します。
 クリミヤ半島は旧ソ連のフルシチョフ首相の時代に、彼がウクライナの出身であることから、新しくウクライナに組み入れられたと言うことである。そこの住民はロシア系が大半(60%以上)であり、従って、クリミヤのロシアへの編入を希望する人が多かったという。また、クリミヤのウクライナ軍はロシア軍と戦う気持ちは無く、早々にロシア軍に投降したというのも、そのような背景があってのことであると思う。田岡俊次氏が、クリミヤだけ分離独立すれば良いとの考えを発表しており、それに同意する人も多いだろうが(注1)、それは国際法的にはウクライナ政府が決めることである。  ただ、この件はウクライナの現在の政権の正統性をどう考えるかで話が全く異なると思う。つまり、ウクライナの暴動が大統領の逃亡にまで至った以上、クーデターである。クーデターであれば国家の継続性は失われたことになり、前政権下の憲法はその時点で無効状態にあると考える。従って暫定政権は、その国での完全な正統性を主張することは出来ない。また、政変を理由に外国が干渉することは、国際法に反するが、外国の政変を画策することも同様である。従って、クリミヤ自治共和国が、住民投票を経て独立を宣言することは法的にも根拠ある行為に思える。(間違っていれば指摘し、根拠を示してほしい。) 
 つまり、ウクライナをヨーロッパ圏に近づける為に、米国などは反ヤヌコビッチデモを支援していたと、欧米マスコミ記事などの引用により田中宇氏は主張している。(注2;http://tanakanews.com/) そこには、反ヤヌコビッチ政権へ世論を操作する為に、反ヤヌコビッチのデモ隊銃撃を反ヤヌコビッチ派が自作自演劇した等の記事が引用されており、その通りなら今回のウクライナの政変はテロリズムによるクーデター(又は革命)と考えられる。ウクライナ政権がテロリズムで崩壊したのなら、今回のクリミヤの独立は国際法的に合法なのではないか。また、ロシアの軍事力が投票結果に大きく影響したという欧米の主張は、テレビ画面で投票風景を観た限りでは説得性がない。日本は、今回のクリミヤとロシアの合併を(違法と考えれば、ロシアによるクリミヤの接収)、米国との関係を重視して、完全に国際法違反の暴挙としている。しかし、私には訳が判らないとしか言い様がない。
 ただ、この問題で、ウクライナを日本に、そして、クリミヤを沖縄に置き換えると、この事件は日本へ教訓を与えるのではないだろうか。このアナロジーでは、ウクライナで政変を画策した米国は、中国に置き換わる。実際、沖縄分離独立の工作は中国によりなされているらしい。ただ、日本政府が転覆しない限り、沖縄の独立は沖縄住民の投票のみでは成立しない。ましてや中国への編入などもってのほかである。中国人の中には、薩摩の支配下に入る前、琉球王国は清国皇帝へ朝貢していたことを潜在的中国領の根拠に持ち出す者がいるという。(注3)また、もう一つの教訓は、二重国籍的で日本国に同化しようと努力しない人が増加すると、この種の混乱が起こる可能性が高くなることである。日本国は現在、良くも悪しくも世界の中にあって非常に特殊な国である。そのことを忘れて、世界の常識だからとか世界の趨勢だからという理由で、経済界の意向のままに移民を解禁すべきでないと思う。日本には労働力は余っている。ただ、自分の能力を過大評価して高いレベルの仕事を夢想する子とその親が多数存在するだけである。

注釈:
1)(http://diamond.jp/articles/-/49718)
2) その中にある記事:米国の国務次官補(欧州ユーラシア担当)と、米国の駐ウクライナ大使が、ウクライナ問題について電話で議論している会話の録音が、ユーチューブに流れたという。そこでは、ウクライナのヤヌコビッチ政権が反政府運動を暴力的に弾圧した場合に経済制裁すべきだと米国が主張したのにEUが反対したことが語られたという。米国務省の広報官は、この録音はロシアがリークしたに違いないと指摘したという。次の記事の数行を見て下さい。http://www.wsws.org/en/articles/2014/02/08/ukra-f08.html 3) 朝貢は国家と国家の主従関係を示すものではないという指摘が、岡田英弘著の「歴史とはなにか」においてなされている。

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