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2014年4月29日火曜日

日本における謝罪という儀式

 テレビでは、所謂お偉方が頭を揃えて下げる様子が毎日の様に放送されている。一昨日は理研の小保方ケースの調査委員長である石井上席研究員が頭をさげ、昨日はiPS細胞の発明でノーベル賞を受賞した山中教授が頭を下げていた。石井氏は、理研研究者2500人いる中で3人しかいない上席研究員の一人だということである。また、山中氏は日本を代表する知性の一人として著名な方である。論理的帰結として、そうしなければならないと思ってした謝罪の筈だと考えられる。しかし、彼らは本当に、何か頭を公衆の面前で下げるほどの悪い事をしたと思っているのだろうか?その後の会見の様子からみて、どうも、悪いことをしたと思っていない様なのである。それなら何故謝るのか?
 日本において、このように“組織のお偉方”が行なう謝罪は、単なる儀式であり、自分達が犯した罪を認めて(注1)相応の補償を行なう覚悟を示したものではないのである。(注2)その謝罪に対する文化を、日本固有のものと考えずに、外交の場面にまで持ち込む愚かな政治家が過去何人かいた。「謝ったのだから、これでチャラだろう」と日本側は考え、「謝ったことで、新たな賠償の出発点にあなたは立ったのだ」と考える隣国との間に、国際摩擦の原因を作ってしまったのである。因みに、米国は原爆を広島と長崎に落し、多数の民間人を国際法に反して殺傷したにも拘らず、公式には一度も謝罪していない。
 話を戻して、石井氏の件、元研究者の私から見て、ほとんど何の問題も科学的には存在しないだろう。小保方氏のケースとは根本的に異なると思う。(注3)図の切り貼りなどのデータのドレッシングレベルのことは、昔からあった。例えば、スペクトルに何時も出る装置特有のノイズを、加工して消し去る行為は、読者に誤解を与えない為に行なうことであり、好ましいことではないが、許される範囲である。それでは石井氏は何故謝ったのか?要するに、頭を下げておけば、責任は逃れられるし、面白くもない調査委員長も止められると思ったからだろう。日本の謝罪とはそのようないい加減なものであることを、特に、政治家は心に刻み付けて欲しい。(注4)

注釈:
1)本当に大きな罪を犯した場合、公衆の面前に出て会見などしない場合が殆どである。
2)民間企業のお偉方も、自社製品に不備があった場合、テレビの前で頭を揃えて下げる。これはその製品を買った人への謝罪ではなく、それ以外の大衆にたいして、自社の誠意を示し、その他の製品の評判が低下しないように行なうものである。従って、同じ“日本の謝罪”の範疇に入る。
3)その石井氏の切り貼りの件を、まるで小保方氏のケースと同等な捏造のように報道するテレビにも呆れる。将にマスゴミとしか言い様が無い。
4)謝罪は、賠償の出発点にたつ重い行為であるという、国際感覚を身につけて欲しいと言う意味である。

1 件のコメント:

  1. 同感です!!
    石井氏は不要な謝罪をすることにより、不必要に世間を惑わせ、科学者の地位を下げたと思います。
    研究結果の生の試料は、論文になり、その評価が定まった時点で処理されるのは普通でしょう。ips細胞は論文発表直後から、きちんと追試もなされ、めざましい発展をしています。100パーセント自信があれば、15年前の原図が無いからと言って、頭を下げてはいけないと考えます。山中氏については実験ノートの検閲が必要と明言された件と併せて、本当に残念です。

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