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2014年11月19日水曜日

日本人には愛国精神など無い

愛国心とは、その国に自分が帰属しているという感覚が自分の心の中に存在することにより生じる。その帰属意識は、その土地でもその民族でもなく、国家でなくてはならない。米国に占領された時に、愛国心があれば占領に激しく抵抗する筈であるが、多くの日本人はマッカーサー氏を新しい為政者として歓迎した。それが日本人に愛国心など無いことの明確な証明である。

太平洋戦争のとき、徴兵された人の心の底にも愛国心はなかったと思う。あったのは、家族への思いと故郷への思いだけだったろう。故郷が破壊され家族に危害が及ぶなら、徴兵に応じて敵と戦おうと思って戦争に向かっただろう。

明治維新は市民革命ではない。単にクーデターであり、領主が徳川幕府から明治政府に移っただけである。明治政府は一般に国民国家に分類されるだろうが、本当はそうではないと思う。そこで採用された、徴兵制は新しい支配者が人民を奴隷的に兵士として狩り出しただけである(1)。

戦死した兵士が国家の為に命を捧げたと安倍総理は言うが、そんな兵士は居てもごく一部だろう。命を捧げたのは上述のように家族の将来の為であり、故郷の復興を願っての事であった筈で、国家の為ではない。従って、安倍総理のような考え方で靖国に参拝するのなら、参拝を受ける資格がある霊は東条英機以下、江戸時代なら軍神として祀られるような国家の支配者の霊のみである。

靖国においては、形式上は奴隷のように徴兵された兵士の霊も祀っている。しかしそれは、形だけでも普通選挙が行なわれている、現在の国家制度にあわせただけである。本質的には軍神として資格がある、当時の総理大臣、陸海軍大臣、などの要職にあった支配者階級の霊を祀っているのである。そこに参拝する議員達は、多くはその支配階級の人たちの子孫か、彼ら現在の支配者におもねる新貴族(2)出身の議員達である。

東京裁判は勝利国による敗戦国の人間を裁くという不当なものであったのは事実である。しかし、無謀な戦争に国家を導いた人たちの裁きを国内で一切行なわずに名誉回復したのは、戦犯として裁かれた多くの下級兵士と抱き合わせで名誉回復するという支配階級の企みの結果である。そして、靖国宮司が強引に合祀したのだ。

この支配階級と披支配階級の構図は、中世の構図である。その構図が未だに日本国にあるのは、本当の市民革命を経験していないからである。市民革命は西欧の歴史にあったが、アジアにもアフリカにもなかった。従って、民主主義は西欧以外では機能していない。市民階級がないのに、愛国心などある筈がない。

東アジアも同様だろう。中国や韓国で、愛国教育と言っているのは、単に反日教育に過ぎない。つまり、外敵を育てて愛国心らしいものを創ろうとしても、一部の国民を右翼にするだけである。日本でも愛国=右翼という等式が成立することでも判る様に、民衆は国家を信用していないし、国家が我々民衆のものであるという感覚などないのだ。

注釈:
1)徳川時代には兵士には特権が与えられていたが、明治政府の兵士には特権などなかったからである。
補足修正:明治の日本は国民国家である。しかし、国民主権はない。(2015/3/24) 2)マスコミで取り上げられる芸能人、スポーツ界、財界、官界出身の有名人は、新貴族として新しい日本国の支配階級を形成している。そのような支配階級になることを日本では、出世という。

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