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2016年3月18日金曜日

韓国が米中の間で右往左往するのは、韓国大統領が真面目に自国の防衛を考えている証拠である

BSフジで北朝鮮問題を議論していた。森本元防衛大臣は、韓国世論で高まる核武装の考えは間違っていると言っていた。そして、朴大統領は米国との安全保障条約で北朝鮮の核に対応できると考えており、それが正しいとも言っていた。

森本氏の考えは間違っている(補足1)。韓国の核武装の考えは北朝鮮だけでなく、中国や日本を念頭においている。更に言えば、北朝鮮が今回の騒動の中で核兵器を使うことはない。同じくゲスト出演している東京国際大学の村井教授の「北朝鮮はチキンレースとして核兵器を全面に出している」という考えが正しいと思う。北朝鮮が核兵器を使うことは、中国も米国も許さない。もし使えば、金正恩王朝としての北朝鮮は潰れてしまうだろう。

韓国であれ日本であれ、核武装しなければ将来(20年後くらいか)まともな独立国としての地位を、この東アジアで確保できないだろう。それを北朝鮮が教えていると考えるべきである。少なくとも韓国国民は分かっているので、核武装を主張するのである。また、韓国大統領も、日本の首相もわかっているが、表に出せないだけであると思う。

核武装の必要性については、伊藤 貫氏が「中国の核戦力に日本は屈服する(今こそ日本人に必要な核抑止力)」(小学館、2011)において、米国の学者の意見を引用しながら書いている。つまり、日米安保を通した米国による核抑止力はバーチャルなものであり、中国の核兵器の抑止力にはならないのである。

世界に広く展開していた米の軍事力は今後徐々に縮小するだろうから、日本も韓国も中国の軍事力と如何に対峙するかを考えなければならない。そして、中国の核の脅威は、世界経済の状況が極めて悪くなったような場合、つまり経済的なつながりが抑止力としての機能をなくした時、深刻となる。日本や韓国は中国に隷属することになり、富の収奪や政治弾圧が行われるだろう。隷属するということは何のようなものかは、ウイグルやチベットの歴史を見ればわかる。

韓国大統領は就任以来、中国の通常兵器や核兵器の脅威を考えて、中国への接近政策を取ってきたと思う。そして、対日戦勝記念の軍事パレードでは習近平の隣に座った。韓国が中国にとって小さい存在であれば、昔の朝貢するような感じでほぼ独立した地位が保障されるかもしれない。そして、思い通りの対日姿勢が取れるだろう。

しかし、対北朝鮮との関係では中国はあてにならない。式典では中国の戦略として隣席を与えられたが、(気に食わないかもしれないが)親族である北朝鮮の位置とは、幾何学だけでは比較できない。つまり、北朝鮮の核兵器の脅威には、中国への通常の形での接近では対応不可能である。北朝鮮の核実験に対して、中国と話そうとしたパククネ大統領の電話に習近平が出なかった時、それを改めて思い知っただろう。

その結果、米国や日本との関係を再度利用しようとしたのである。それを右往左往と反町さんは言っているが、少なくとも日本の政界の不動の姿勢よりはましである。何故なら多少稚拙であったとはいえ、中国や北朝鮮の核兵器にたいする抑止力の構築を考えた結果だからである。そして、すでに独自核武装を真剣に考えているはずであり、その必要性を学習する経験となったのだから。

日本の場合は、中国の核の脅威は深刻である。このまま改憲や核武装をまともに議論さえできないようでは、中国侵略の歴史の逆のパターンが、日本列島で起こるだろう。

補足:
1)近い過去に防衛大臣であったために、愚かな政治的配慮をした発言なのかもしれない。しかし、本当に思ったことを話せないのなら、大学人として失格であり大学を去るべきである。森本氏は現在大学にいるのだがら、その意見は本心からのものと私は受け取る。そして、氏をくだらない学者だと判断させてもらう。

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