2017年9月22日金曜日

日本&米国両政府の貸借対照表

自民党政権は消費税を10%に上げ、デフレの苦しみを再度繰り返そうとしていると三橋貴明氏が批判している。https://www.youtube.com/watch?v=4UH4rNe61W8

その背後に居るのが財務省であり、財務省の目指すのはプライマリーバランスであり、消費税はその一環であるという。つまり、日本の経済環境下で、政府は借金を増やさないで経済を発展させるのが良いし、それが可能であると考えているらしい。

三橋氏は、与野党を問わず政治家達が心配している政府の大きな借金について、差し当たり国債の暴落などの心配などなく、現在はデフレの克服のために増税などしない方が良いと言っている。その理由は、国債の殆どを国内で持っているからである。そこで、そのあたりを我流で考えてみた。もっとも手取り早いのは、米国と日本の貸借対照表を比較してみることだと思う。

1)日本と外国の財務環境を比較する際、世界の基軸通貨発行国との比較では当てにならないという考えもある。しかし、米国のデータは比較的簡単に入手できるので、比較対象とした。
ちょっと周り道だが、米国の債務を表すグラフが見つかったので上に示す。全体で20兆ドルを超えており、日本同様に批判がある。税金を支払う人一人当たり、100万ドルを超えるという批判がわかりやすい。 http://www.marketwatch.com/story/heres-how-the-us-got-to-20-trillion-in-debt-2017-03-30

日本円では2500兆円位だろう。しかし、全債務とは要するに貸借対照表片方のトータル額であり、健全性の判断はできない。そこで、米国の貸借対照表(BS)を見てみる。
上記のBS表では、資産と負債の差額が、17兆ドルであり、資産の6倍近い。その中で、国債(Federal debt securities)は12.8兆ドル位であり、またその下にある6.6兆ドルあまりは、職員の退職引当金などであろうが、相当多額である。日本と違って軍人が160万人近くいるので、その年金引当金などが大きいのだろう。国家の純粋な借金としては、上記17兆ドルと考えて良いだろう。

国債の約半額の6兆2000億ドルは外国が持っている。そのうち、多額の米国国債保持国は日本と中国であり、その金額はそれぞれ1.1〜1.2兆ドル位である。詳しくは米国財務省のページなどにある。(補足1)この状態でも米国債の格付けがAAAであるのは、驚きであるが、世界の覇権を握っているということの意味だろう。アメリカファーストと言って、もし覇権を放棄するなら直ちに破産だろう。その場合、外国の持つ債権は紙くずになり、米国軍人などの年金はゼロになるだろう。そんな事できる訳がない。こらからも自転車操業を続けるしかないのである。

また、米国の中央銀行であるFRBが持つ米国債は、2.5兆ドル位である。中央銀行のバランスシートに関して、一言言及すると、住宅ローン債権などが多額含まれており、これも健全かどうか心配である。一番下の青い部分が財務省債権、赤い部分がmortgage-backed securities、つまりほとんど各種住宅ローン担保証券だと思う。FRBの資産圧縮が始まるが、この赤い部分を民間に売り渡すことだろうが、信用が十分あるのだろうか。
2)次に日本の貸借対照表を見てみる。
上が日本財務省の貸借対照表である。 資産と負債の差額(つまり債務超過額)は、平成25年度で490兆円である。その資産に対する割合は、0.75倍であり米国の5.7倍と単純に比較すると、遥かにましである。納税者一人当たりの純借金という言い方では、正味7万ドル位だろうか。同じ数字で言えば、米国の場合は70万ドル位なので、相当その深刻さには差があると思う。
また、日本の国債のほとんど全部は、日本人の金融資産として国内で保有されている。このように考えると、我が国の財政は米国と比較して相当健全と言えるのではないだろうか。国債の金利の急上昇という言葉がよく出る。それは、北朝鮮などの核の脅威がたかまり、日本脱出を富裕層が考える時だろう。外交が非常に大事だと思う。

3)稼いだ金を貯蓄するのは、稼ぐ時と使う時のズレがある限り仕方がない。しかし、稼いだだけのお金を使い切るのが、経済システム全体の回転を考えれば必要なことである。何故なら、稼いだ金のトータルは供給した商品やサービスのトータルであり、サービスや商品は長期には貯められない。(経済学における三面等価の原則)

つまり、稼いだだけで使わなければ、その部分はデフレ要因になる。現在まで世界経済が回っているのは、米国が稼いだ以上に使ってきたからだと思う。消費税を上げるなどして、国民に将来不安を喚起し、国内の消費意欲を減少させるのは、ますますデフレ傾向を加速することに繋がると思う。

日本の政府も、稼いだ額(GNP)の全ては本来使い切らなければならないが、多額の対外債権を持っている。その結果、購買力平価に比べて円高になる傾向が強い。為替操作国との非難が聞こえる中で、日銀の異次元緩和でノーマルな為替相場を実現してきたのだと思う。

財務健全化は必要だが、それを増税でやるのは非常に非効率であると三橋氏は言っているのである。政治は、企業が投資を積極的に行い、国民は無理に消費を控えないような、明るい未来を感じさせるものでなくてはならないのである。

国債の金利の急上昇という言葉がよく出る。昨日の日銀総裁の言葉の中にもあった。それは、北朝鮮などの核の脅威がたかまり、日本脱出を富裕層が考える時に懸念されるのではないだろうか。つまり、国債の信用には、外交が非常に大事だと思う。

「円」は現在高い信用を得ている。その円を守るのに、国家がすべきことは主婦感覚の節約ではなく、外交と明るい内政で守るのが正道だと言うことだと思う。逆に言えば、増税をそのまま実行することは、財務省の財政健全化=節約という頼りない親父の家庭の主婦感覚をそのまま受け入れて、下手なことはせずに自分の政治家という職業を守ろうとする無能な国会議員が、政府や国会を占めていることを証明しているのだろう。

理系の素人なので、特に3)の部分について、間違いがあれば指摘してほしい。 (編集:9月22日午前8時)

補足:
1)中国や日本も夫々1兆1000億ドル前後持っており、米国以外の国全体で6兆2500億ドル前後である。http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt
米国の中央銀行であるFRBも数兆ドル(2.5兆ドル)持っている。http://www.investopedia.com/articles/economics/10/understanding-the-fed-balance-sheet.asp

2017年9月21日木曜日

安倍総理の国連演説は極めて愚かなものだったと思う

安倍総理の「世界は歩調を合わせて北朝鮮に圧力を掛けるべき」との国連演説は、北朝鮮の核の標的に名乗り出るようなものである。しかし、それでも玄人筋の評価は高い。例えば、クレムリンメソッドという本をかいた北野幸伯氏は今朝のブログで、安倍演説を高く評価している。 https://jp.mg5.mail.yahoo.co.jp/neo/launch?.rand=66e9jedpmse1j#tb=qljv0rs6

その圧力が重要だとする主張の根拠として、1994年10月の米朝合意で、核兵器開発をやめるという約束で軽水炉支援をしたが、その約束を破ったこと;2002年に北朝鮮がウラン濃縮をしていることが明らかになり、6カ国協議をつくって対応を話し合い、2005年に6者は一度合意に達し、声明を出すに至った。

北朝鮮は、全ての核兵器、既存の核計画を放棄することと、核拡散防止条約(NPT)と、IAEAの保障措置に復帰することを約束した。その一方、同年「我々は既に、核保持である」を宣言した。さらに2006年の10月第1回の核実験、2009年に2度目の核実験行い、その年北朝鮮は6カ国協議からの脱退を表明した。そのような経緯から、安倍総理は「対話とは、北朝鮮にとって、われわれを欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と結論した。

その演説の中で、安倍総理が北朝鮮の核兵器開発はNPTへの挑戦であり、それは世界平和体制への挑戦であるというロジックで、世界を味方につけようとした点を高く評価している。

しかし、そのロジックは双刃の剣である。つまり、日本は自らNPTからの脱退のチャンスを逃すことになるからである。それは、1971年に中国を訪問したキッシンジャーと周恩来の間で約束したと言われる、日本に決して核武装はさせないという米国の一貫した戦略である。

その戦略を逆手にとって、北朝鮮から核兵器開発を早期にやめさせる手段があった。それは日本の核武装の検討である。周辺国であり国交のない北朝鮮が核武装すれば、日本に取って危機的状況であり、NPTにあるように脱退の権利を得る。

日本に核武装させることには、中国もロシアも大反対するだろう。そして、米中露は歩調を合わせて、北朝鮮の核開発を潰すだろう。その最も有効な手段と、日本の核保有の潜在的権利をわざわざ放棄して、米国の尖兵となって北朝鮮と対決するのは非常に愚かな外交である。

また、佐藤勝氏が言及している核の共有は、ある意味で核の拡散である。NPTに高い価値をおいた演説は、その案も放棄するということなのか? もしそうだとすれば、全く最悪の演説と言わざるを得ない。

北野幸伯氏はそれが全くわかっていない。

13歳の日本人少女(横田めぐみさん)拉致に言及したトランプ大統領の国連演説

拉致被害者に言及したトランプ大統領の国連演説トランプ大統領が国連総会で、北朝鮮による横田めぐみさんの拉致に言及した。これを評価し喜んでいる日本の方が多いが、それが本当に横田めぐみさんの救出に役立つだろうか? 確かに、北朝鮮を非難する格好の話だが、良い結果には繋がらないと思う。

すでに北朝鮮は、横田めぐみさんは死去していると日本に報告している。その上で、この問題は解決済みとの態度を表明している。

そのような状況下で、もし北朝鮮が米国と戦争になり日本も戦線に加わるとなれば、北朝鮮に存命中の日本人の命が無くなる確率の方が、無事帰還する確率より大きくなるのではないだろうか?

私が拉致被害者の家族なら、中距離核を持ったままでも良いから米国と講和し、そして日本も北朝鮮と国交を回復する方向を期待する。私には、拉致被害者の家族の方々の考えが、北朝鮮憎しの方向で政治化しているような気がする。

もう一つ:佐藤勝氏が、トランプ大統領の横田めぐみさんへの言及は、外務省と米国との交渉の結果だろうと言っている。佐藤氏は、日本国政府はそれに対する交換条件を飲んだ上で、米国にこの件を要求したのだろうと言っている。

もしそうなら、結果としては日本は踏んだり蹴ったりではないのか。(補足1)その交換条件の一つの可能性は、集団的自衛権の具体的運用における確認である。つまり、「米国の北朝鮮攻撃の第一撃は米国がやるとしても、その後の後始末で先頭に立つのは自衛隊である」ということの確認をされた可能性があると思う。

先に書いたように、「拉致問題の最大の責任者は、自国民を自国の領土内で他国に拉致された日本国政府である」との指摘について、拉致被害者家族などを含め評論家諸氏は、十分考えてほしいものだ。

補足:
1)この日本語は、「踏まれたり蹴られたり」が正しいと思う。日本語は言語としての出来が悪い一つの証明だろう。

2017年9月19日火曜日

北朝鮮のICBM抜き核保持と日本と米国の核共有:佐藤優氏の北朝鮮問題解決法の影

1)佐藤優氏は北朝鮮問題に関して面白い考え方を紹介している。
米国と北朝鮮との交渉は、北朝鮮にICBMは許さないが、中距離ミサイルと核兵器までは認めるという条件で、決着するだろう。その代わり、日本は米国と核兵器の共有(補足1)をする形に、同盟関係を深化してそれに対する抑止力を持つしかない。https://www.youtube.com/watch?v=lzlkDxbExLQ

10分ほどの動画なので、先ずは是非上記サイトにアクセスしてもらいたい。

この核兵器の米国との共有は本ブログで何度も主張したことである(補足2)が、私は北朝鮮と米国が上記のような合意をする前で無いと、核の共有すら実現しない可能性があると思う。その当たりを明確に言わないところが、上記佐藤氏の考えは不自然な粗雑さを持つ。

日本との核の共有の発表前に北朝鮮と合意すると仮定すると、その時米国は中国とロシアの強い反対を押し切ろうと努力するが、結局その反対に屈するだろう。そして日本には、「核共有が無くとも日本への核の傘は非常に強靭である」と強調することで、話を済まそうとするだろう。上記前後関係がどうなるか分からないが、全て予めシナリオを作りその通りに進めるだろう。(この2文、18:00修正)

次の段階として、佐藤氏は北朝鮮への積極的な経済進出を議論している。
北朝鮮の人たちが、日系企業やその他の外国企業で働き、経済的に自立した場合、国民の心はキム王朝から離れるだろう。その経済的な繋がりは、戦争の動機を消滅させる。その後、核兵器の廃棄に向かわせる。

この考え方も、佐藤優という知の巨人の考えにしては、不自然なレベルで粗雑だと思う。先ず、佐藤優氏は北朝鮮の国民の気持ちはキム王朝を支持していると前提しているが、その根拠が示されていない。テレビ討論などで良く聞く意見は逆であり、国民の気持ちは今でも殆どキム王朝から離れているというものである。

もし、佐藤氏の言うように金正恩が国民の心を掌握しているのなら、米国の脅威がなくなれば政権は安定に継続できる筈であり、命を賭けたチキンレースなどせずに、核兵器抜きの平和条約締結と国家承認を得る道を選ぶ筈だと思う。自動的に日本や韓国も、北朝鮮との平和条約締結をする筈である。半島の統一は、その後経済力が付けば自然に進むだろう。西側の国をしっかりと見ている金正恩が、今更、社会主義に拘る筈はない。拘っているのは、自分と家族の命であり、それと不可分な自分の独裁体制である。

北朝鮮のGDPは日本の茨城県くらいであり、田園部では年により餓死者がでるという状況である。それにも拘らず、核ミサイルの開発など軍事力強化の道をひた走る金正恩体制が、国民の心を掌握している筈がない。

2)次に、日本などの経済協力による北朝鮮の軟化政策であるが、これも欠陥だらけの議論である。勿論、日朝間で国交を樹立し、日本が支払う経済協力金とそれを足場した経済振興は、関係を良くするように見えるだろう。しかし両国の関係は、中国との国交回復後と似たプロセスで進むだろう。つまり、独裁体制には敵国が必要であるから、そのうち経済力がつくと、徐々に日本に対する牙が現れる筈である。現在中国に見せているらしい敵対心は、成長期の子供が親に見せる類のものだと思う。

米国の核付き国家承認と、日本との国交樹立と経済協力という佐藤氏の考えは、日本にとっては中国のケースと較べものに成らない位に悪い結果を招くだろう。それは日本国にとって致命的と言える位だろう。(補足3)

その第一の理由は、北朝鮮にとって中国的な共産党支配の資本主義経済体制を実現することは難しいからである。中国では毛沢東が皇位を子孫に継承したわけではないので、共産党独裁という集団指導体制ができた。しかし北朝鮮の体制は、共産主義国家を標榜しながら経済的には後進国であり、その国家権力がキム一族で相続される、キム絶対王制である。

絶対主義体制は、経済が発展し貿易や人の出入りなどで国際交流が盛んになれば、潰れることになる。それがあの国が信奉する共産主義の教えるところである。(補足4)その場合、体制維持のために必要なのは、外国との緊張関係と力の内政である。力の内政が国家や国民の経済力がつくと、用い難くなり、前者に一層頼る。それが現在の中国であり、未来の北朝鮮である。

その対立関係の維持のために格好の対象となるのは日本である。その際の強力な手段は核兵器と、韓国と共同で歴史問題を捏ち上げて脅すことである。現在韓国が利用している従軍慰安婦問題という日本イジメの道具は、挺対協という北朝鮮のオルグ機関製であることを、佐藤氏は知らない筈はないだろう。つまり、今となっては核兵器は体制の柱であり、廃棄することはキム絶対王政の崩壊と同義であり、あり得ない。

もし、そこでキム王朝から共和制への革命ということになれば、その中で日本に核兵器の2-3発は落とされ、千万人レベルの死者が出る可能性が高いと思う。

3)拉致問題の解決と日本と北朝鮮との関係正常化は、米国の邪魔が入らなければ、小泉政権の時の交渉で成功していただろう。それは、北朝鮮経済の発展を促進し、その結果中国のような集団指導体制の国にまで進んだ可能性がある。その際少なくとも、対立関係の方向を、韓国に向けることが出来ただろう。(補足5)

その時に要する米国の決断は、今回佐藤氏が予言するようなレベル以下のもっと軽いものだっただろう。その結果は、日本と半島の関係も今ほどギスギスしたものでは無いだろう。小泉総理が米国の相談抜きに話を進めたのは、最初から米国と話をした場合には、その段階で話が潰されると読んだからだろう。

現在のような情況下で、北朝鮮が核付き軟着陸を果たし、韓国との関係も穏やかなものになれば(連邦制が実現する可能性もある)、両国は一緒になって日本を敵対視する筈である。その練習は、ミサイル発射まえの脅しでも分かるように、今回十分した筈である。北朝鮮が現在非難しているのは、米国と日本である。文在寅韓国大統領は賢明にも、北朝鮮への人道支援を口にしている。

この北朝鮮問題の本質は、米国が北朝鮮を作ったということを理解しなければ分からない。つまり、前回のブログで書いたように米国が北朝鮮と朝鮮戦争を必要としていたのである。例えば、下に引用した馬渕睦夫氏の話を聞いて欲しい。https://www.youtube.com/watch?v=cEyuDPPVK-4&t=320s

兎に角、佐藤優氏の上記動画での意見はまともではない。佐藤氏は智者である。私は佐藤氏の近くに米国の影を見る。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42023202.html

補足:
1)核兵器の共有は、米国とNATO諸国との間で行われている。米国から核兵器の提供を受け、それを米国と共同管理する方式である。そこで核兵器のボタンを押す権利は、米国と核共有する国にも存在する。しかし、NATO諸国と違って日本の場合は、独自核保有しか安心できる防衛手段はないと考えるべきである。米国は人種の違いと文化の違いなど、更には、過去の歴史的経緯から、日本を本当の意味での友邦とは考えていないだろうからである。
2)佐藤氏は、核兵器の共有が米国との交渉で可能になるように言っているが、それは中国やロシアの強烈な反対を招くだろう。その前に、日本国内で強烈な反対運動が、中国等によりオルグされるだろう。
3)この危機的情況から日本を救うのは、日本に核のボタンが存在することと、巧みな自立外交である。特に国際社会へ正しい歴史認識を提供すること、そしてそれを上手に宣伝することなどは不可欠である。
4)マルクス思想の基本である唯物史観では、国家の上部構造である政治構造は、下部構造つまり経済構想に依存するということである。それで絶対王政から市民革命を経て資本主義国家ができ、その後、経済の高度な発展が進めば、資本家も力を失い、共産革命が起こる。
5)キム絶対王政は、金正恩への世襲譲位により完成した。2代だけなら、絶対王政と共産党独裁の中間状態である。もし、金正日の時に北朝鮮が軟着陸したとすれば、差し当たり韓国と敵対するだろう。しかし、現在のような韓国の政権ができれば、他国に大きな影響を及ぼさずに、連合国のような体制に移れるだろう。(補足5は、19時修正)

2017年9月17日日曜日

日本封じ込めがこれ迄の米国の戦略だった:元米国高官の二、三の発言

昨日試聴版として配信された、危機管理が専門で日本戦略研究フォーラムの政策担当委員(http://www.jfss.gr.jp/home/index/yakuin)の丸谷元人氏の動画を参考にして、ネット検索などで調べた日本の周囲に関する情報を紹介したい。もちろん、話は既に一度は聞いたことだが、より具体的であり、説得力がある。

先ず、北朝鮮は米国が作ったという話が紹介された。北朝鮮及び朝鮮戦争は米国が東アジアの戦略の一環として存在するらしいことは、馬渕睦夫氏の本「国難の正体」などで述べられている。丸谷氏は新たな”裏付け”を紹介している。

それは、ブッシュ(父)大統領時代の駐中国大使のジェームズ・リリー(補足1)の発言である。CIA高官の時代からブッシュ大統領と親交のあったリリーは、「もし冷戦終了時に北朝鮮が無ければ、米国は新しく北朝鮮を作ったであろう。北朝鮮は、米国第七艦隊の常駐のために必要だったからである」と語ったという。

この発言は、ウィキペディアなどネットを探しても見つからなかったが、リリーは回顧録を出版しているので、そこに書いてあるだろう。因みに、リリーは天安門事件に関して中国政府に批判的であったが、中国高官には尊敬されていたという。中国の青島生まれであり、幼少時から中国社会に親しみを抱いていたのがその理由の一つだろう。(補足2)

次に、日本人の多くは、李承晩が強引に竹島を占領した(1952)と考えているが、丸谷氏によればそれはアメリカが承認したことだという。李承晩は日本の敗戦まで米国に逃げていた。その後米国により最初の韓国大統領に指名されたが、側近には元CIAの人間がいたという。そのような身分で、米国の管理下にある島を独断で奪い取ることなどできそうにないからである。

更に、1971年の周恩来とキッシンジャーの会談で、キッシンジャーは「日本に様々な領土問題を残したのはCIAのアレン・ダレス(補足3)であり、それは日本と周辺諸国の間にトラブルを残すためだ」と漏らしたという。その際、キッシンジャーは日本が再度暴走したら、中国と米国の古い友人関係で封じ込めれば良いとも発言したという。

このように裏の世界で重要で激しい外交が展開されている国際社会に関して、日本人要人の多くの理解は、冷戦時のまま止まっていると指摘する。昔、鉄の壁で隔てられていた間柄でも、時間が経った現在ではその壁跡を超えて交流が進んでいると指摘する。例えば、フランスとロシア、ドイツと中国、英国と北朝鮮などは、親密な関係を構築しているという。

日本では、米国と北朝鮮との交易などないと思われているが、米国は裏で英国やタックスヘイブンを利用して、武器などを北朝鮮に売っている。例えば、「北朝鮮の沿岸警備艇には自衛隊も持っていないかもしれないGE製の高性能12.7 mm砲が搭載されている。これは北朝鮮に英国などを経由して輸出された筈である」という。

その一方、日本の政治家や外交官のナイーブさを指摘する。元大使のある方と話をした際、「君、ワシントンでアメリカの要人と付き合ったが、彼らは皆紳士だよ。いい加減なことを言う筈はないじゃないか」と言ったという。これではダメだと思ったという話を丸谷氏は紹介している。

日本の政治家には、北朝鮮の核の脅威に対する対策として、米国との安保体制の強化や、米国から提供されるミサイル防衛システムの拡充で対策するしかないと考える人は多い。しかし、米国と関係を強化することのみに日本国の安全を掛けることは、上記例を考えれば、全く不十分且つ危険であることがわかる。 自民党政治家の多くの国際的認識も、上記大使のものと対して変わらないのではないかと思う。

補足:
1)James Lilley氏は、30年間CIA勤務のあと、韓国大使(1986-1989)、中国大使(1989/4/20-1991/5/10)を務めた。なお、天安門事件の期間は(1989年4/15-6/4)。
2)このように親中的な人は相当多い。中国生まれの人などの他、例えばパール・バックの小説などで親しみを持つ人が多いと聞いたことがある。
3)アレン・ダレスは、元CIA要員からCIA長官になった。在位は1953-1961。アレン・ダレスの 兄は、ジョン・フォスター・ダレスであり、アイゼンハワー時代の国務長官(在位、1953-1959)であった。

2017年9月14日木曜日

日本の北朝鮮核装備への対応は根本的に間違っている 

安倍総理はインドで、北朝鮮への制裁を強めるべきだという共同声明を発表した。私は、何故日本が対北朝鮮制裁の先頭に立つのかさっぱりわからない。強大な軍事力を持つ米国の前にたって、十分な報復能力もない日本が北朝鮮の矢面に立つのは愚かなことである。

北朝鮮の当面の敵は、朝鮮戦争の当事者である米国及び韓国である。従って、米国が攻撃された場合、集団的自衛権の規定により日本も参戦する必要があるが、最初の一発が撃たれない限り、日本は当事者ではない。もちろん、国連加盟国として、国連の制裁決議があったと言う点では、制裁の当事者である。その場合は、英国やフィリピンなどと同程度に制裁を主張すればよいことである。

日本が今後取るべき方向は二つある。一つは、現在の憲法に従って平和主義を完徹する方向である。日本では核保持はおろか、国際紛争を解決する手段としての軍事力さえ持たないと言う憲法を、未だに堅持している。もし、そのような憲法を持つ平和主義をとるのなら、集団的自衛権の行使は明らかに憲法違反である。

日本国民の総意がそのような平和主義なら、安倍総理の国連で制裁決議を出したり、各国を回っての制裁強化をすべきとの声明は、非難されるべきである。野党は不信任決議案の提出を直ちにすべきである。集団的自衛権行使を可能にした法は廃止すべきである。日米安保条約も、日本が米国の戦争に巻き込まれるだけであるから、解消すべきである。

二つ目は、憲法を改正して自衛軍を持ち、歴史的経緯と一国だけの軍事力の限界も考えて、米国との軍事同盟を対等な形に強化する方向である。その場合、核兵器とそのボタンの両方を完全に米国に依存するのは、対等ではないので、自国で核軍備をするか、核兵器を米国にシェアさせてもらい、核のボタンを我が国が持つべきである。

これらのうち、最初の方向は非現実的であるのは言うまでもない。国際政治においては、軍事力があってこそ、対等な立場でのの交渉外交が可能となるからである。もし、そのような状態であれば、中国に沖縄までの領土領海は、2-3年で奪い取られるだろう。数10年すれば、日本民族はかつてのユダヤの民の様に世界に散らばり虐待の対象になるだろう。

結局後者の方向しか、日本には残されていない。その方向を明確にとり、日本の独立性を確保すれば、米国の操り人形のように、各国を回って北朝鮮の制裁決議を宣伝する必要がなくなるのである。その方向に米国の同意がただちに得られないのなら、交渉すべきは米国であり、インドなどの国ではない。(補足1)

上記の様な二つの道を敢えて書いたのは、現在の日本は論理的には本来あり得ない二つの道の混合状態をゾンビ国家のように歩んでいる。それは言葉を話す人間を構成員とするまともな国家の採る方針ではない。そのいい加減な状態が、現在単に敵対する可能性しかない国(北朝鮮)から訳もなく脅されたり、現在一応同盟国となっている国から軽蔑され信用されない原因となっている。そのことに何故、政治家たちは、そして彼らを選ぶ国民は気づかないのか。

兎に角、憲法9条二項を完全に自衛軍を持つと言うふうに変更する議論を、国会だけでなく国民とともに始めるべきである(補足2)。そして、米国とも核のシェアリングについて話し合うべきである。論理的で信用のある国家としての再出発を演出すべきであると思う。

もちろん、いろんな方向で国将来を考えることは、米国の姿勢が内向きになる場合などを想定すれば、非常に大切であると思う。そのためには、ロシアとの関係や中国との関係なども考えるべきだろう。しかし、その際、両国の歴史や文化、考え方の日本との違いなど、両国を十分研究して戦略をたてるべきである。

第二次大戦で大敗を喫したのは、相手の研究や多くの知性を持つ個人の考えを集積して戦略を立てるという普通の方法が、日本では取れなかったからである。その状態は今も変わっていない様に思える。

(加筆修正:9/15 am) 補足:
1)もちろん、インドから核兵器をこっそりと調達するために訪問したのなら、そしてそのための日印同盟の雰囲気作りのためなら、評価できるのだが、おそらくそのようなことではないだろう。
2)下らないJーアラートを鳴らして、国民を脅すよりも、国民に憲法を考えさせるCーアラートを鳴らすべきである。Cが憲法(英語)のCである。

ユダヤ人の反日感情の原因か? 満州でのユダヤ人移住者への対応

1)日本人のほとんどは、ユダヤ人が親日的感情を持っていると考えている。それはリトアニアで日本通過ビザを多量に発行した杉原千畝(1940年頃)や、上海等においてシベリア経由で逃げてきたユダヤ人を多数救ったという話(1938-41)があるからである。更に、日露戦争の際に日本に巨額の融資をした米国のヤコブ・シフも思い出す人が多いかもしれない。戦費の4割を公債購入という形で貸し付けてくれたのである。

しかし、ユダヤ人資本家たちやそのエージェント達は、日本に強い反日感情を持っていると考えている人がいる。この文章を書くきっかけは、その一人スタンフォード大の西鋭夫氏の無料動画(試聴用)であった。実際、キッシンジャーやブレジンスキーなどの米国支配層のユダヤ系の人をみると、その様な見方が正しい様な気がする。

その理由は、“日本のシンドラー”などがユダヤ人救出に貢献する数年前に、満州の日本軍はユダヤ人に対して酷い扱いをしたからである。つまり、杉原千畝や樋口李一郎や安江仙江(ユダヤのゴールデンブックに記載されている)などの話が始まる前、1930年代の始めからユダヤ人と日本人の関係を見なければならない。

日本人は自分たちに都合の良い話ばかり語り、全体像を伝えないのである。例えばネットには、ユダヤ人を救った日本人の話が満載だが、虐待したとかロシア人を使って、身代金誘拐を働いたというような話はほとんどない。http://blog.goo.ne.jp/ss007_2007/e/3e641909f291165c7fd4a434db5b193d 

以前、渡部昇一さんが東条英機も”シンドラー”だったと言う様な話をされていたが、それも多分に誤解だろう。http://jjtaro.cocolog-nifty.com/nippon/2012/02/post-d3d7.html

2)1930年のハルビンには一万数千人のユダヤ人が住んでいた。ロシアでの計画性をおびたユダヤ人虐殺である“ポグロム”(補足1)から逃れて来た人たちが住み着いたのである。ハルビンには革命で追われたロシア人貴族や反革命軍の所謂白系ロシア人も住み着いていたが、満州事変で占領される1932年2月までは、ハルビンは極東アジアにおけるユダヤ人社会の中心として栄えていた。

日本が占領すると、外国人の経済活動を封じるだけでなく、彼らにたいするテロ行為も行った。多くの例があるが、最も衝撃的だったのは、ユダヤ人ピアニストであったシモン・カスペの誘拐殺人事件であった。シモンの父である富豪ヨセフ・カスペ(国籍フランス)は、日本の警察が解決するから身代金は支払わないようにというフランス領事の勧めを聞いて、その支払いをためらっている内に、ピアニストとして大事な指の爪が剥がされ、両耳が切り取られ、ガリガリになった傷だらけの死体となって発見される。

犯人の白系ロシア人はフランス副領事の努力もあって逮捕され、最終的に日本人による裁判に掛けられるが、有罪の判決の後保釈されてしまった。背後には、日本軍がいたからである。

この事件などで、ユダヤ人はハルビンから上海などへ逃げて出ることになった。以上は、九州大学の阿部吉雄氏の論文「戦前の日本における対ユダヤ人政策の転回点」に記載してあったことである。http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac/repository/100000/handle/2324/5463/slc016p001.pdf この事件の概要は、後述の「フグ計画」について書いた英書にも詳細に書かれている。 所謂“河豚計画”は、日本は欧州で差別されているユダヤ人を勧誘して、満州に移住してもらい、ユダヤ人の資本と強い(と日本人が考える)政治的影響力を利用する計画を進めようとする作戦である。それは、満州三介の一人鮎川義介の発案によるとされ、1938年に五相会議で承認された正真正銘日本国政府の政策である。日本の関東軍が中心になって、満州にユダヤの国を作るという計画であり、実際にそれを進めたのは、陸軍大佐安江仙弘である。

これにより、アメリカのユダヤ資本とアメリカ政府に対するユダヤ人の影響力を利用して、アメリカの対日政策を日本にとって有利な方向に導こうと考えたのである。(上記論文、p10)しかし、それはユダヤ人に対する基本的知識を欠いたまま立案され、当然の帰結として失敗に終わった。

ざっと眺めただけであるが、英語の本「The Fugu Plan」に(補足2)はそのプロセスを1930年代の初めから詳細に記述している。ユダヤ人に対する、担当した安江や樋口を含めて日本人の誤解は、現在は偽作だと考えられている「シオン賢者の議定書」を信じてしまったことによる。更に、ユダヤ人の経済力や西欧における政治への影響力に対する過大視(更に、米国への忠誠心を軽視してしまったこと)である。

1937年からユダヤ人保護政策をとるが、それがハルビンでの残虐行為の後のことであるから(その償いだとしても)、現在日本人が考えるほど、ユダヤ人の日本への好感は期待できないのではないだろうか。

3) 蛇足:
昨今のテレビ番組では、日本が国際的に良い印象を持たれていると感じさせて、自己満足を提供する番組がおおい。日本の技術を学びに来る様に、外国人をテレビ局が招待してその様子を取る番組、あるいは日本を旅する外国人を取材する番組(Youは何しに日本へ?)などである。

テレビ局の動機が、日本人の自尊心を満足させようという浅はかなものであり、非常に醜い作りの番組である。

補足:
1)ポグロムとはロシア語で「破滅・破壊」を意味する言葉である。17世紀からロシア等で行われたユダヤ人の虐殺行為を指す。1543年にマルティン・ルターがユダヤ人の迫害を理論化して提唱する本「ユダヤ人と彼らの嘘について」を出版したという。
2)Marvin Tokayer and Mary Swartz, “The Fugu Plan”, Weatherhill, NewTork, 1979.

2017年9月13日水曜日

政治を大衆に任せて良いのか?

1)現在多くの先進国は、民主主義政治を採用していると言われている。民主主義とは英語のdemocracyの翻訳であり、普通の人々が国を統治するシステムのことである。(補足1)

“複雑で高度な社会構造をもつ現在の国家を、どうして民主主義という大衆に最終権力を置く統治方法で運営できるのか?”と言う疑問に対する答えを見つけようと考えても、あまり優秀でない頭の所為か、どうしても見つからないのである。半年前にニーチェの“アンチクリスト”を読み、その感想をブログに書いた。その中での議論を少し繰り返すところからスタートする。

人間は自然と三つの異なるタイプに分かれる。精神が優れた少数の人、筋肉や気性が特別に強い人、それ以外の大多数は凡人である。ごく少数の選ばれた精神に優れた人には「幸福」、「美」、「善意」などを地上に実現させたり味わったりする義務と特権がある。一方凡人には、社会が定めたルールに従う義務と、自分たちの生命に基づく醜さを鋭く捉える眼、社会に対して不満をいう“特権”がある。

もっとも精神的な人間は、自分の立場に対する自覚を持っている。所謂ノブレスオブリージュ(noblesse oblige)である。彼らは、担う重い課題を、自分たちの特権と見なす。彼らは人々(社会)を支配するが、彼らがそうしたいからではなく、彼らの存在がそもそもそういうものなのである。その下に、支配を行う時のゴタゴタした問題を引き受ける人(専門家)が存在する。

このように人間が区別され、其々に義務と特権があるのは自然である。何故なら、人は社会を作って生きる遺伝子を持って生まれ、高度な社会は必然的にピラミッドの様な構成を持つからである。これら全ての人は、社会の歯車になって働くのは自然であり、何かをする能力があると感じる幸福感がそれを支えている。その共通した特性は、社会を作って生きるヒトの遺伝子に由来する。ニーチェの批判の対象は、その健全なる社会に、悪しき平等の原理を多数の下層の人間に教え込み、この自然な社会を破壊する宗教であった。

ところで、全く同様の記述を別の著者の本にみた。オルテガ・イ・ガセットの「大衆の叛逆」である。そこにはこう書かれている。“ある少数者たちが、全ての人間は生まれたと言うだけの事実によって、ある種の基本的な政治的権利、つまり、いわゆる基本的人権と市民権をもっているものであり、その為には何ら特殊な資質を備える必要がないこと、しかも、それら万人に共通した権利こそが存在しうる唯一の権利であることを発見した。

かくして、特殊才能に関連した他の一切の権利は、特権として非難されることになった。”(大衆の反逆、P28)前節の語尾“発見した”は、オルテガがその少数者とは別種の人間であると主張しつつ、批判的に述べていることを示している。(補足2)

2)文明が飛躍的に発展した18-19世紀において、人類は新しい社会を探すための旅を開始した。しかし、目的地が明確でないため、古い社会の否定の反跳とする他なかったのだろう。ニーチェは、共通の時間座標に於いてキリスト教を批判するのではなく、過去においてキリスト教の果たした役割を認め、その退役すべき時が訪れたと書くべきだったのだろうと私は思う。

オルテガの本に戻るが、そこには以下のような記述(要約)がある。“我々人間の生とは、あらゆる瞬間において自分の可能性を意識することである。そして、そのあらゆる生の可能性を集積したものが、世界である。つまり、世界とは我々の生の外周である。”(同PP54-55)

文明の飛躍的発展(19世紀)以前の民衆にとって生とは(経済的にも肉体的にも)重苦しい運命だったのである。生まれながらにして、生きるということを耐え忍ぶ以外方法のない障害の堆積という風に感じ、それら障害に適応する以外に解決を見いだせないままに、自分たちに残された狭小な空間に住み着く以外に仕方がないと感じていたのである。(同P77)

これらオルテガの人間の生に関する思想を受け入れ、その上で上記一神教を考えると、それは大昔に「選ばれし智者により考え出された大衆のための物語である」との結論を得る。つまり、それには重苦しい運命を耐え忍ぶ大衆のために壮大な物語を提供して、生きる勇気を与える役割があったと私は考える。

科学技術文明の飛躍的発展は、人の生を飛躍的に増大させた。つまり、上記選択肢としての世界の拡大である。自分たちの生の外周を十分意識するまでに至っていない人間は、“今日の人間が古い伝統をもった文明の真只中に突然飛び出した原始人といった感じを与える”ことになったのである。

換言すれば、科学技術文明は大衆に近代生活の技術しか教えず、大衆を敎育することはついにできなかったのである。大衆はより強力に生きる道具は与えられたが、偉大なる歴史的使命にたいする感受性は授けられなかった。(同、P70)

つまり、精神的少数者により考え出された至上の特権である、人権と市民権を持ちながら、その行使の方法をしらないままで大衆は主権者の位置に座っているのが、現在の民主政治の形だと思う。20世紀にその不安定な社会の政治制度は、大衆に悲劇をもたらした。共産主義やファシズムの誕生と戦争による社会の破壊である。

その失敗と並行して作りだされたのが、世渡りに長けた人たちによる、慎重で欺瞞的な国家支配の方法である。現代という時代は、それら支配者が大衆に主権者という幻の椅子を提供し、大衆にマスコミを用いて民主主義の劇を見せることで、大衆の怒りと不安を最小にすべく統治のシステムを改良するという保守主義の時代なのだろう。

労働時間の短縮と高等教育の浸透が行き渡った現在あるいは近い将来、上記“歴史的使命に対する感受性”を獲得することはありえないだろう。何故なら、人(つまり大衆)は益々傲慢になり、与えられた人権と市民権に酔っているように見えるからである。最近も話題になった、「保育園落ちた、日本死ね」の言葉はそれを暗示している。

その中で新しい政治システムの実験が中国で行われている。一部エリート層が政党をつくり、そのなかで支配者を選ぶというシステムである。このシステムは共産主義から鬼子的に誕生したため、その経験から脱却できる期間が必要である。現在は、大衆を支配する大きな力が必要だが、それが暴力的なものから法や規則によるものに変化して、成功をおさめるような気がする。

(正直言って、大衆の反逆は読了していない。読み終わった時に必要を感じたなら、再び書いてみたいと思っている。)

補足:
1)democracyは語源としてdemos(普通の人々)とkratos(ルール、力)を持つ。普通の人々が国家権力を構成し、統治する意味になる。
2)微妙なレトリックであるが、同種の用法として「コロンブスはアメリカ大陸を発見した」がある。つまり、ネイティヴ・インディアンはアメリカ大陸を当然知っているのだが、文章を書いた主は彼らを別種の人間と認識しているからである。つまり、オルテガは精神的に優れた人として、この本を書いていると言う意味である。

2017年9月12日火曜日

北朝鮮問題に関する昨日のBSプライムニュースでの不毛な議論(9月11日、ゲストは外務省元高官と櫻井よしこ氏)

1)昨夜のBSプライムニュースでの北朝鮮問題に関する議論を聴いた(ネット配信版)。ゲスト出席者は櫻井よしこ氏、田中均氏、武藤正敏氏(元駐韓大使)であった。88分間の議論前半の55分間は視聴したが、本質的な話が出来ていないように思ったため、その後は見ることが出来なかった。

ゲスト達の議論の前提には、幾つもの欠陥がある。その前提でいくら議論しても正しい、つまり日本国民にとって有益な、結論には到達しない。従って、私にとって非常に退屈な話でしかなかった。

田中氏が後半部分で、六者協議での2005年9月の合意として以下のようなことを紹介した。それは「北朝鮮との米国等との平和条約締結、国交正常化及び経済協力は、検証できる形での核兵器放棄を条件に行う」ということであった。しかし、この紹介にはいろんな歪曲がある(補足1)。この重要な話を、歪曲して紹介するようでは話にならない。

彼らは、緊急的課題となった北朝鮮の核兵器による威嚇に関して、もっと踏み込んだ話をしなければならない時に、上記田中氏が六者協議の合意事項として紹介した話を周って堂々巡り的議論をしていたのである。

それは、不可能だと分かったことについて、それをどう可能にするかと議論するようなものである。つまり、最初に書いたように、狭い枠内に問題を閉じ込めて議論しているから堂々巡りになるのは当然なのである。

2)以下にゲスト達の議論の不十分な点をあげる。

①オバマ政権のときの米国大統領補佐官であった、スーザン・ライスの「現状の核装備は認めるということでしか、解決できないのではないか」という話を誰か紹介していたが、「それでは、日本はどうしようもない」と話すだけであった。現在、北朝鮮問題を議論する場合、それが一つのメインな話題である筈のことを、いとも簡単に捨て去っているのである。

②北朝鮮の核武装&威嚇問題についての中国の責任については重要だとして議論されているが、ロシアについては単に付け足しとして、言及されているだけであった。現在、北朝鮮問題解決の鍵はロシアが持っていると思うのだが、それを全く無視しては話にならない。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43398865.html

③中国を単一の人格的に扱っているが、北朝鮮に近い北部戦区では江沢民派が力をもち、そこの軍は習近平の意思では自由に動かないという話など、無視している。

④米国は朝鮮戦争を何故今まで引きずって来たのか、休戦協定に平和条約の締結についての話が書かれているにも拘らず、何故いままで講和しなかったのか等についての議論を避けている。つまり、体制保障のための米朝直接会談が、金日成と金正日時代の北朝鮮の要求だったのだが、それについては殆ど何も言及していない。

3)この番組の評価:

つまり、このような議論をテレビで放送するのなら、ゲストの人選をもう少し慎重にすべきである。何故、馬淵睦夫氏や孫崎亨氏など米国の政治の裏を議論している人たち、そして東アジアの近代史に詳しい人達、中国やロシアの国情に詳しい人などを加え、全角度から問題を眺め議論する番組を作らないのか。

米国大好き人間ばかり集めて、しかも日本の核装備の可能性を排除して、現在の北朝鮮危機を議論しても何も出てこないだろう。つまり、米国は今まで東アジアで覇権を確保するために、朝鮮戦争を終結しなかったことが、北朝鮮を威嚇してきたのである。それが北朝鮮が核兵器開発に国家の命運を賭ける理由である。それを全く無視して、まともな話など出来る訳がない。

昨日配信された田中宇氏の国際ニュースでは、現時点では日本と韓国の核武装を議論する段階であるとの話が、米国の外交専門家の間で次々と出ているという。しかし、日本でこの議論を避けるのは、対米従属による権力維持の永続を望む官僚機構が、日本独自の核武装に反対しているからだと書いている。対米従属型の官僚独裁を主導してきた日本外務省とその傀儡「専門家」たちは、核武装論になると、急に平和主義者として振る舞い、核武装に強く反対する。http://tanakanews.com/170910japan.htm

実際、自民党次期総理かと噂されている石破茂氏が、日本への核持ち込みを議論している。そんな時に、米国大好き人間の元外務官僚と櫻井よしこ氏のみを招いて、北朝鮮問題を「北朝鮮に核兵器を放棄させるにはどうするか」という視点からのみ議論する意図は何なのか。

補足:
1)合意事項を要約すると、①北朝鮮は、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、米国と韓国は韓国内に核兵器を持たない、米国は北朝鮮を攻撃したり侵略したりしない。②北朝鮮と米国は国交を正常化するための措置をとる。北朝鮮と日本は平壌宣言に従って、国交正常化の為の措置をとる。③6者は二国間、多国間で経済協力を推進することを約した。④六者は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束した。直接の当事者は、適当な話合いの場で、朝鮮半島における恒久的な平和体制について協議する。ただ、時期については明確な合意はなされていない。
また、それらの間の前後関係や相互関連は書かれていない。ただ、5番目の項目に、“「約束対約束、行動対行動」の原則に従い、前記の意見が一致した事項についてこれらを段階的に実施していくために、調整された措置をとることに合意した”と非常に分かりにくい書き方で関連性が無いわけではないと記しているだけである。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/ks_050919.html

(21:15分に編集:本文最後の節の一部修正、補足の文献引用の位置を変更)

2017年9月9日土曜日

政治大国は民主政治を採用しない :民主主義はモルヒネである

1)「政治大国」は、人口、経済力、軍事力、政治力(外交力)、国富(土地、資源、インフラなど)などにおいて大きく、且つ、国際的に影響力のある国とでも定義できるだろう。そう考えると、現在政治大国のトップスリーは米国、中国、ロシアとなるだろう。これらの国は全て、民主政治を採用していないと思う。

  中国が独裁国であることに異論はないだろう。しかし、米国が民主主義の国家でないことは、素人には最近まで明確ではなかった。しかし、最近、完全に民主主義的手法で選ばれた大統領を主要メディアが一致団結して引き摺り下ろそうと画策しているところを見て、別に支配層が存在することに気づいた人は多いだろう。これら二つの国の中間にあるのが、ロシアである。

  民主政治は、リンカーンの有名な言葉がその定義となるだろう。「Government of the people, by the people, for the people(人民の政府、人民によるその運営、人民のための政府)」である。この言葉が実現しておれば、民主政治がまともに機能しているということになるだろう。しかし、人民の運営による政府が人民のために働かず、人民を苦しめ多数殺してきたのが、近代史である。つまり、民主政治は本質的欠陥を持つ政治制度である。(補足1)

  上記言葉で「人民のための政治」が最重要であり、その他の「人民の政府」や「人民による政府」など、どうでも良いと多くの「人民」は考えるのではないだろうか。つまり、人民(あるいは大衆)の望みはリンカーンの民主政治などではなく、自分たちは政治に無関心でも政府がしっかり自分たちのためになる政治をしてくれることだと思う。そのために納税などの最小限の義務は果たすのである。

  このタイプの政治は、要するに、「人民が政治の結果に対して不平不満を言う権利が保障され、政府の運営は選ばれた一人または少数の人が行う」政治(by the peopleの否定)である。政府は人民の所有ではないので、政治の詳細を調査する権限も放棄し、情報も人民の不平不満と関係する部分(として要求すること)のみについて明らかにするのである(of the peopleの否定)。

大国は概ね以上のような政治形態を持っている。国益とは長期的にみた人民の安全や福祉を含む利益であり、国益追求が政治のもっとも大事な目標である。民主政治は人民が非常に賢明でなければ、そして、社会という広場において政治参加をしなければ、まともな政治家は選ばれない。それは通常不可能な要求である。更に悪いことに、不足の時代には大衆は集団発狂する可能性が極めて高いのである。

既に、民主政治とキリスト教との関連についてのニーチェの考えは、ブログに書いた。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2017/03/blog-post_31.html

 2)米国の現在の政治は、当に上記のような政治である。伝統的な支配層とそれをバックアップする戦略家やシンクタンクに非公開の組織などを駆使して、最高の知性で国を操縦している。政府は多くの極秘情報を持ち、選挙などもマスコミなどをつかって人心を誘導することで、「by the people」や 「of the people」を否定している。

  そのような米国だから、2,3日前に書いたと思うが、民主主義は知恵に乏しい人類の「絵に描いた理想論」として、飾り棚に置くだけが丁度良いことを知っている。それは他国に宣伝し売るための、モルヒネの様なものである。それを使えば、大衆迎合主義となって国を荒廃に導くことを熟知している。昔、アジアや新大陸を植民地化する時にイエズス会をまず派遣したことと相似的である。

  具体的には、マッカーサーがフィリピンで痛い面合わされた日本への復讐として、戦後の統治で華麗に民主主義を投与し、廃人的な国家にしたのが良い例である。また最近では、「アラブの春」が良い例である。そして、一昨日も書いたが、自国で民主主義が間違って本来の機能を回復し、トランプ大統領が選ばれたので、なんとか排除しようと全てのマスコミをつかって潰しにかかっているのである。

中国とロシアは、命を賭けた厳しい競争に打ち勝つことで、その優秀さが証明されている人物が政治を担っている。賄賂等の問題はあるが、それは程度の差はあっても何処の国にもある。それを浄化するメカニズムを持つことが必要だが、無くすることは不可能である。それは日常生活の殺菌作業と同じだと思う。

中国人評論家の柯隆氏(富士通総研)はこの問題をあるテレビ番組で、”文化的なものであり、経済活動が滞るような腐敗防止活動は中国にとり却ってマイナスである”と議論していたのが非常に印象に残っている。(西欧のチップや日本の心付けの類かもしれない)

  3)日本の政治は、上記のように腑抜け状態である。人民の船であるべき国家さえ、まともなものではない。海賊がきても話し合いを行って平和的に帰ってもらうべきだと本気で考えている人がほとんどである。一旦民主政治が植え付けられると、モルヒネと同じで依存症から抜け出ることが単独では無理であることを見事に証明している。

  その日本の本質を見抜いていた中国の首相李鵬は、1993年訪中したオーストラリア首相に「日本は取るに足るほどの国ではない。30年もしたら日本は大体潰れるだろう」と言ったとされる。李鵬の予言によれば日本が潰れるまでに、あと6年しかない。

  昨日のBSフジのプライムニュースでは、内閣参与の飯田勲氏が「北朝鮮問題は年内に解決するだろう。安倍総理は北朝鮮を訪問し、拉致問題を解決するだろう」と述べた。(補足2)現在の北朝鮮問題は一歩間違えば数百万人が日本や韓国で犠牲になる可能性がある。それと数十人程度の拉致問題を並列に話す飯田氏の態度にはがっかりである。そのように大衆に気を使うのが民主政治という愚かな政治制度である。

  拉致問題は非常に大事な問題(補足3)だが、現在の“北朝鮮危機”に比べれば、取るに足らない問題である。100人の命は1億人の命の1.0ppmに過ぎないからである。政治家は1億3000万人の命の行方を考えなければならない。その大きなスケールを持たねばならない公人の立場で話している時に、私人のスケールを持ち出して話すのは、馬鹿と阿呆の典型でないとしたら、民主主義の欠陥の所為である。

  40年前にも日本国の民主政治に毒された本質を世界に知らしめた人がいる。福田赳夫内閣総理大臣である。1977年の日航機ハイジャック事件(ダッカ)で、日本政府は10月1日に「一人の生命は地球より重い」と述べて、身代金の支払いおよび超法規的措置として、収監メンバーなどの引き渡しを決断した。そうしなければ、自分の内閣だけでなく、自由民主党そのものが日本の大衆により潰されることを恐れたのである。

  この民主主義中毒症状からの脱却は非常に難しいが、北朝鮮の脅威を全国民が感じる今がチャンスかもしれない。しかし、脅威を国民が感じなければ、李鵬の予告が当たるだろう。

  補足:
1)チャーチルの「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」という言葉が有名である。これを民主主義が最良の政治形態であることを逆説的に言った言葉だと取る向きが多いが、それは違うだろう。この言葉は、「自分が民主主義的手法で選ばれ、自分の考えがベストであるにもかかわらず、自分の思った通りにはなかなか政治が動かない」という本音というか愚痴を言っただけだろう。
2)この番組の感想は、昨日番組終了後に姉妹サイトに投稿した。https://blogs.yahoo.co.jp/hetanonanpin/64751923.html
  3)この問題は5年前にヤフー知恵ノードに投稿した。多くの人に閲覧されている。https://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n62832 (知恵ノートは11月に閲覧できなくなるので、その時までに別のサイトを用意する予定。)

2017年9月7日木曜日

朝鮮半島の統一は当分無くなったのでは?

馬渕睦夫先生の動画を見ながら、以下のようなことを考えた。この考えは、先日のロシアの寄与についての考えと異なりますが、それは並列思考ということで御考えください。批判など歓迎しますが、自分の意見に採用される場合は自己責任でお願いします。

1)北朝鮮の核の脅威が高まる中、韓国にTHAAD(高高度迎撃システム)を急ぎ追加配備することになった。中露は猛反対しているが、その反対も国際世論を動かすまでには高まらない。例え、北朝鮮から韓国へ発射されたミサイルの迎撃には高高度迎撃システムはいらないと言ってみても、民主主義の所為で低脳化している国際世論には説得力はない。

これで、文在寅と雖も北朝鮮との宥和姿勢をこれ以上採ることができなくなった。米国の戦略の通りである。

文在寅氏が大統領選で有利だという情報が出て以来、これで韓国は終わりだとか、北朝鮮主導で統一朝鮮ができるという話が方々でなされた。しかし、その企みを破壊すべく米国が戦略を立てるのは当然だろう。そのために採った手段は、北朝鮮の核軍備を急がせることではないだろうか。

つまり、北朝鮮は元々米国が作ったという馬渕睦夫氏の説を元に考えるのが最もわかりやすい。朝鮮半島を南北に分けたのは第二次大戦後の戦勝国だが、朝鮮戦争を起こしたのは明らかに米国であり、それは当時の国務長官アチソンの演説が、金日成に南進のチャンスを与えたことでわかる。陰謀論だとしてその考えを排斥する人たちは、あの演説はアチソンのミスだというが、日本の大臣ならともかく米国の国務長官がそのようなミスをする筈がない。https://www.youtube.com/watch?v=h72Gh0DWpoY

朝鮮戦争は、米国に韓国や日本に軍隊を置く口実となり、今日に至っている。米国が北朝鮮を国家承認しないのは、その口実がなくなるからである。評論家の人たちは、それ以外のモデルがあるのなら、北朝鮮問題を論じる時最初に言うべきである。しかし、まともな理由など言えないだろうし、言ってこなかった。

今年の韓国大統領選挙でその口実がなくなる可能性が出てきた。それが文在寅氏の当選である。その結果とは無関係に、過去から一貫して、米国は北朝鮮に核開発を許して来たのだろう。上記馬渕氏の説明の通りである。

北朝鮮の核兵器は、日本や韓国を操縦する上で非常に強力な道具になるからである。また、上述のように中国とロシアを監視するステーションとして、THAADの設置もできるようになった。ICBMまでは行き過ぎなので、金正恩は諦めるだろう。それを条件に、朝鮮問題は方がつくだろうが、北朝鮮の米国による国家承認はされず、合意形成の段階でストップするだろう。

日本でも時々、北朝鮮は核兵器とミサイル開発のお金をどのように捻出しているのかが話題になる。迎撃ミサイル一発撃つだけで数十億円必要だといって財布の中をみる日本と違って、随分と金持ちのようだ。外国で働く北朝鮮人からの仕送りだとかなんとか言っているが、そんな金であれだけのことができるとは思えない。

このあたりの深い考察がマスコミ等にあらわれないのは、日本の軍事評論家や外交評論家のほとんどは米国の支配下に置かれているからだろう。米国の潜在敵国はやはりロシアであり中国である。そのためには、韓国と朝鮮戦争は必要な道具なのだろう。

更に、極東に駐留して北朝鮮の核から守ってやるという口実で日本の軍備増強に蓋(瓶の蓋論)をすることができる。そうすれば、恐ろしい核兵器を持った日本が地球上に現れない。(ピーター・ナバロの本など)

2)米国は民主主義の国ではない。民主主義は単に理想論として、飾り棚に置いておくだけが丁度良いことを知っているからである。それは他国に宣伝し、売るためのものである。飾り棚から降ろして使えば、大衆迎合主義として国を荒廃に導くことを熟知している。自国は伝統的な支配層が、それをバックアップする戦略家やシンクタンクに非公開の組織など、最高の知性を動員して操縦している。

そして、民主主義が選んだトランプ大統領はなんとか排除すべきだと、全てのマスコミをつかって潰しにかかっている。日本でも、デイブスペクターや宮家邦彦氏などテレビに現れる評論家は、口を極めてトランプ批判をやっている。

2017年9月5日火曜日

北朝鮮を訪問するアントニオ猪木氏を応援します

1)アントニオ猪木氏が明日北朝鮮を訪問されるようである。30何回目かの北朝鮮訪問だということで、北朝鮮政府関係者と直接話ができる数少ない国会議員である。官房長官は自粛するようにと言ったらしいが、敢えてそれを無視する形の訪門となる。

アントニオ猪木氏はイラクでの人質救出に私費で飛行機を準備するなど、国会議員として国民の為に努力する姿は、他の議員達も見習うべきだと思う。http://president.jp/articles/-/11960?page=4 今回の猪木氏の北朝鮮訪問は、細くとも対話のルートを持つという意味で大変意味深いと思う。立場上反対する官房長官も、その意味は理解されている筈である。

北朝鮮問題では、米国が攻撃されたときにのみ集団的自衛権の行使という形で当事者になるが、現時点では日本は当事者ではないので、調停役が出来る立場にある。ロケットが上空500kmを通過したことで騒ぐ人はいるが、そのような人は無視すれば良い。彼らは、人工衛星が通過したときも騒ぐべきである。

今回のケースは米国と北朝鮮の講和を長期間怠った米国に本来非がある。今からでも北朝鮮がギリギリ歩み寄れる部分を確かめて、調停役が出来れば良いと思う。北朝鮮には同胞の拉致被害者が大勢居ると考えられ、彼らの救出も考えるべきである。

日本が対米戦争になる一年ほど前に、米国から宣教師が調停に現れ、それを切っ掛けに野村大使とハル国務長官の間で長い間話し合いが持たれた。この時、近衛首相の側近に尾崎秀実が居なければ、その調停が成功していた可能性もある。その時と似たような情況に思う。

2)核兵器の放棄は恐らく現状では無理であり、差し当たりICBMは開発しないということと、核兵器製造は現在までのところで中止するという条件で講和出来れば良いと思う。互いに信頼感ができる中で、核兵器の廃棄なども可能性としては考えられる。過去に、南アフリカやウクライナが核兵器を国内から全て運び出したので、全くあり得ない話ではない。

ただ、ロシア、中国、米国の巨大な国家の中で、独立国としての体裁を保つのは容易ではない。従って、核兵器の保持は北朝鮮だけでなく、日本や韓国も行う権利を有すると思う。

もし、核保持を小国だからということで禁止するのなら、小国の連合体が共同で核兵器を保持するなどの代替案が無ければならない。兎に角、上記条件程度で講和し、その後平和な時代が続けば、北朝鮮もロシアと同じような、選挙で政治家を選ぶ体制に移るだろう。経済の自由化は既に始まっていると、今日のゴゴスマで訪問した方が言っていたので、独裁からの脱却は特権階級が現れない内に行えば、不可能ではないと思う。金正恩氏にもそのように伝えることを期待する。

朝鮮民族の統一も、中国と米国、或いは中国とロシアなどの対立が無くなる中で、時が来た時に考えれば良いと思う。その時には是非、法治国家としての体裁や、時代を遡って裁かないなどの国際標準を身に着けれもらえば、日本国とも対立する理由は無くなるだろう。

兎に角、大勢の犠牲者を出す戦争による解決は出来るだけ避けるべきである。そのためには三方一両損を実行すべきだと思う。この三方一両損という考え方を是非、猪木氏から金正恩に伝えて欲しいものだ。三方一両損は、戦争を避ける鍵となる非常に有効な考え方である。米国にそれを教えるのは、非常に困難かもしれないが、総理に頼めるだろう。三方の一つには日本が成らなければならない。

日本が損をする理由などないと怒るひとも居るだろうが、戦争になれば日本人も何万人と死ぬことになるだろう。それを考え、そして、北朝鮮と講和する時にはいずれ経済協力金を用意する立場にあるのだから、その際に精算することも可能である。

兎に角、和平に向かって努力される猪木議員を、私は応援します。

北朝鮮の核とロシアの関係は?(北朝鮮問題を考える際にはもっと広い視野を持つべきである)

以下はふと思ったことである。根拠もあまりないのだが、北朝鮮の核開発があまりにも早すぎると思ったのである。 ーーーーーー

北朝鮮の核軍備は長足の進歩を遂げている。その背後にひょっとしてロシアがいるかもしれない。我々日本人は北朝鮮の背後に中国が居ると常に考えてきた。それは朝鮮戦争のときに人民解放軍が北朝鮮軍と一緒に戦った中であり、且つ、これまで経済的に強い繋がりがあったからである。

しかし、最近の核技術での速い進歩は、何処かが本質的な協力をしていると考えた方が分かりやすいのではないのか。核の小型化や水爆開発まで済ませるのは、独力では考えにくいのではないのか。また、最近の金正恩に反習近平の姿勢がかなり鮮明に見える様に思う(補足1)。習近平の大事な時期に核実験やミサイル実験を繰り返している。

ロシアは中国と長い国境線を持ち、その周囲での人口や経済力を見ると相当中国に有利である。もし、極東との間を切られると、ロシアはポーランド二個分位の国でしかないと、どこかに書いてあった。最近は習近平とプーチンの関係はかなり親密なように見えるが、それはプーチンの戦略ではないのかと思う。その間に北朝鮮を親露の核保有国に育て上げるのである。(補足2)

もし、米国も北朝鮮の力を認めて、朝鮮戦争の終結と講和を実現すれば、東アジアから米国の力が徐々に消える。そこでの覇権を中国ではなくロシアが北朝鮮を配下にして獲得すれば、日本は自然と北朝鮮の開発とロシアの極東開発に協力せざるをえない。

そして、将来の中国との力の差も縮小或いは逆転出来る可能性が高くなる。丁度米国が日本と中国との間に楔を打ち込んだように、21世紀後半からはロシアが日本と中国との間に楔を打ち込むのである。

その為には、朝鮮半島を先ず手に入れなければならない。韓国は北朝鮮といずれは統一する筈なので、そこをロシア圏とするか中国圏とするかは大きな差が生じる。朝鮮半島を抑えた側が日本も勢力圏に抑える事ができるのである。


再びこの絵を挿入する。中国と朝鮮半島を取り合いしているのは、日本ではなく今度はロシアかもしれない。日本は橋の上で心配そうに丸腰で様子をみているか、或いはKoreaという魚がKorea and Japanなのかもしれない。


2)安倍総理が9月上旬にウラジオストクでの東方経済フォーラムに参加する。そこでプーチン氏に会って北朝鮮の件について話し合う可能性もある。その足でインドに向かうと以前のネット記事に書いてあった。

そこで、プーチン大統領に北朝鮮の経済制裁を厳しくするように要求するだろうし、プーチン氏は同意するだろう。しかし、海千山千のプーチン氏はドイツのメルケル首相に異邦人と言わしめた多重舌の持ち主であることを安倍総理は肝に命じて置くべきであると思う。以前、そのように指摘したのは、北大名誉教授の木村汎氏である。 http://www.sankei.com/column/news/170904/clm1709040006-n1.html

安倍総理が何回目かにプーチン大統領に会った時の顔を見ていると、ウラジミールとは友達だという風に見えた。安倍総理も日本人の一人であり、「日本人の弱点は一旦信用すると、最後まで信用してしまう」可能性がある。日本人の弱点をそう指摘するのは、日中両国を良く知る柯隆氏であるし、私もそう思う。(補足3) 尾崎秀実を最後まで信用した近衛文麿の失敗が、日本を第2次大戦に導き日本を殆ど破壊してしまった歴史に学ぶべきだと思う。

プーチン大統領を責めているのではなく、プーチン氏は近現代世界史の“二枚舌が常識”の風潮に合った、ロシアの国益を第一に考えている優秀な政治家であると言っているのである。しかし、日本人は公職にあっても、私的な感情が抜け切らないというのが、上記柯隆氏の指摘である。そして、政治に命を懸けていると我々国民に思わせる久々の安倍総理も、その傾向を加計問題などで一度暴露している。

事ここに至っては、日本が為すべき事は米国の信頼を大事にすることである。それはトランプ大統領だけでなく、伝統的な米国の支配層を含めての話である。米国とロシアとは長年のライバルであり、日本の総理がロシアの大統領と何やら秘密めいた話をするのは、避けた方が良いと思う。良い結果など期待できない。

対核の脅威を考える場合、日本の核武装か東アジア条約機構(NATOの東アジア版)を作り、米国の提供による核シェアリングが第一である。その対象国は、中国、ロシア、北朝鮮である(一応米国は除外)。中国やロシアはそれなりに大国の風格があり、歴史的にも大国として振る舞ってきたので、核兵器を道具として使うだろう。それも日本が敵対する場合は非常に厄介である。

しかし、朝鮮半島の複雑な歴史と“混乱した論理”を考えると、韓国や北朝鮮にとって核兵器は最も危険な“玩具”である。それは日本の息の根を止める可能性すらあると思うのである。如何に北朝鮮の核の脅威に備えるかは、日本の今後の死活問題である。

補足:
1)金正男をトップとする北朝鮮の亡命政府を中国内につくる話があったと聞いたことがある。張成沢が処刑された原因の一つだと何処かにあった。
2)ロシアが中国に対して恐怖に似た感情をもっていると、ピーターナバロの書いた「米中もし戦わば」に書いてあった。例えば中国は満州の北をロシアに獲られた記憶があるはずであるし、ロシアもそれを覚えている。
3)「爆買いと反日」柯隆著、時事通信社(2016)209頁。 柯隆氏はこのなかで、「日本の政治家は戦い(政治闘争)と言っても(中国と違って)死活問題ではないためか、真剣さが見られない。日本の政治家と直接接しても軽さが目立つことが多い」と書いている。安倍総理は、真剣に政治に向かっている殆ど数人しか居ない日本の政治家の中の一人である。何とか、尾崎秀実を最後まで信用した近衛文麿のような失敗をしてほしくない。

2017年9月4日月曜日

北朝鮮が行った核実験:核爆弾の大きさ

1)今回の北朝鮮の核実験による地震の大きさに関して、BBCニュースではマグニチュード6.3と発表し、小野寺防衛大臣はマグニチュード5.7と発表している。防衛大臣は同時に、核爆弾の大きさとしてTNT火薬換算で約70 ktonと発表している。広島での原爆のエネルギーはTNT換算で15ktonと言われており、防衛大臣の発表では広島型の約5個分、BBCの発表の値だと約45個分という大きな核爆弾だったことになる。

地震の大きさから核爆弾の大きさを推定するのだが、先ず地震のマグニチュードとエネルギーの関係を知る必要がある。マグニチュード(M)と地震エネルギーE(ジュール)には、Log E=4.8+1.5xM の関係式がある。単位ジュールは、約1/4.2カロリーである。この式を用いれば、マグニチュードが0.2上がると、エネルギーは約2倍になる。

地震の大きさから地下核実験の核爆発の大きさ(核爆弾の威力)を正確に計算する方法はない。何故なら、核爆発の大きさと地震の大きさは、核実験空間の大きさやその場所及び近辺の岩盤の機械的性質に大きく依存するからである。(下図参照)
例えば、地盤が緩ければ、発生する地震は小さくなる筈である。従って、類似の実験場での二回の核爆発の大きさの相対的比較は、地震の観測結果からかなり正確に出来るだろうが、地震のマグニチュードから核爆弾の規模を予測するのはそれほど容易ではない。つまり、地震のマグニチュードが幾らだから、核爆弾の規模は何キロトン位だろうというのはかなり荒い予測である。

ウィキペディアには、米国の実験では、5000ktonの核爆弾でマグニチュード7.0の地震が観測されている。ロシアの実験では、4200ktonの核爆弾でマグニチュード6.97の地震が観測されたと記載されている。20%程度の差しかないのは、不思議なほど良い一致である。その点は議論せずに米国の実験結果を用いる。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%9C%B0%E9%9C%87

マグニチュード7が5000kトンの核爆弾での地震だとすると、マグニチュード6.3(6.1)なら、446kton(223kton)規模の核爆弾だったということになる。マグニチュード5.7でも、56ktonというかなり大きな爆弾の実験だったということになる。

比較すべきは広島と長崎の原爆である。それらの大きさは、夫々TNT火薬換算で、約15kton 及び22ktonと言われている。今朝のNHKニュースによると、核融合を利用したブースト型原爆と呼ばれるものだった可能性があるとしている。つまり、金正恩の発表通り水爆の可能性があるということだ。(補足1)

2)防衛大臣が記者に向かって言ったTNT火薬70ktonというのは、どの程度のエネルギーなのだろうか。ウィキペディアによると、TNT火薬1トンによる発生エネルギーは、42億ジュールである。或いは、TNT火薬1グラムで1000カロリー(4200ジュール)のエネルギーが発生すると言う方が分かりやすいかもしれない。70ktonは700億グラムだから、そのエネルギーは約3000億kJ(キロジュール)になる。

この数値がどの程度のものなのか。太陽が地球上に降り注ぐエネルギーと比較してみる。太陽が真上から地球上に放射するエネルギーは、1分間1平方センチメートル当たり約2カロリーである。これは小学校でも教育されていると思う。

広島大学のサイト:http://home.hiroshima-u.ac.jp/mfukuok/er/ES_KK.htmlの図中に記載された数値を用いると、1.37kW/m2 (殆ど同じで、2cal/cm2より少し小さい)という数値になる。この値を用いれば、一秒間だけ10km四方(100平方km)で太陽が1100倍明るくなる程度のエネルギー放射となる。

もう少し分かり易く3000億キロジュールがどの程度なのか説明する。私の使う1.2kWのトースターは、25cm x 20cmの金網の上でパンを加熱する。上記核爆発のエネルギーの半分は上空に向かって放出されると考えると、そのトースターと同じ加熱を10km四方で10分間行うことに相当する。外にいる人間はほとんど焼け死ぬことになる。

核爆発のエネルギーは当然、爆心地で非常に強くなると考えられる。上記エネルギーが1km四方に注がれたと考えると、爆心地の大凡の様子が想像できる。つまり、厚さ数cmで水が存在しても、それが瞬時に蒸発してしまう位の熱が発生するだろう。

補足:
1)ブースト型原爆と言うのは、原爆と同時に核融合を起こすことで威力をました爆弾という意味である。つまり、原爆を起爆装置に用いた水爆ではなく、水爆も補助的に追加して威力を増した原爆という意味である。

2017年9月3日日曜日

北朝鮮は核の小型化を完成した模様である

北朝鮮による核実験が今日だけで2回行われた様である。この際に放出されたエネルギーは前回の核実験より相当(30倍程度)多い様である。これは専門家の分析を待たなければならないが、核兵器の小型化を目指すものなのか、大型の核兵器の開発の為なのかわからない。

しかし、北朝鮮が開発したいのはICBMに搭載できる小型の核爆弾の筈である。水爆などは差し当たり特に必要な兵器ではない。前回の核実験のエネルギーが核兵器にすればどの程度の大きさになるかによって、今回の実験の意味が異なる。つまり、同じ大きさの核兵器でも核爆発が完全に起こる場合と、不完全な場合とではエネルギーが異なるからである。

今回の地震エネルギーがミサイル搭載型の核爆弾のエネルギーの最大値より小さいのなら、今回の核爆発は完全に核分裂が起こったことになり、これで核の小型化が完成した可能性が高い。この成果が今までの中距離ミサイルに搭載されると、日本全土が核兵器の射程内に入ったことになる。PAC-3やイージス艦などでの迎撃は実戦的な証明はされておらず、限界がある。迎撃は鉄砲玉で鉄砲玉を落とす技術であり、直感的に役にたたないだろう。

これで、米国が何もしなければ、日本はなんとか核武装の道を取らなければならない。NHKが中国は北朝鮮の核実験に反対しており、今回の核実験は中国の顔に泥をぬることになると放送している。しかし、それは全くのデタラメである。中国は北朝鮮に核実験を止めさせる予定はないだろう。

つまり、北朝鮮と関係の深い中国の北部戦区は江沢民派が抑えているという、川添恵子氏の説を取り入れると、習近平政権にはその力が無い可能性が高い。顔に泥を塗られたジェスチャーは、単に国際社会への協調の姿勢を見せる為だけのものである。

河野外務大臣は安保理を開催して、国際社会と協力し、更に厳しい制裁を取ると言っている。しかし、国連の安保理は何の役にも立たないのは明らかである。全ては米国の単独行動に掛かっている。米国が単独で、ロシア及び中国に通告を行うだけで軍事行動をとるべきだろう。

これで、米国が軍事的対応を取らなければ、全ての手段がテーブルの上にあるというのは米国の嘘であることの証明となる。そして、米国との同盟は、日本の防衛には役立たない可能性がたかい。中国はそれを見て、近いうちに尖閣諸島の占領をするだろう。

追加: 今日の核実験は一度だけで、2度目は岩盤の崩落か何かだという。北朝鮮は今日午後3時半の放送で、ICBM搭載型の水爆実験に成功したというが、真偽のほどは明らかではない。

米国の為に日本のマスコミを利用して活躍する人たち

佐藤優氏と宮家邦彦氏の政治解説には、何時も米国の利益を代表しているような違和感を感じる。それについては既に書いた。 https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42023202.html

昨日配信の動画でも、佐藤優氏の北朝鮮問題に関する解説は、従来の米国支配層の利益を代表しているように思える。題目は「正恩はアメリカの恐ろしさを理解していない! 国連が最上級の制裁を検討⁉︎日本はどうなる! 佐藤優徹底解説!」である。 https://www.youtube.com/watch?v=Jj8-YMRCYnU

この動画での、最初の地政学的な話は説得力があり大変有用であると思う。流石にプロの政治評論家だと思う。そのほかの話や著書をみても、佐藤優氏は凄い人であることは間違いない。

ただ、上記のような疑いを持つ。つまり、佐藤優氏は従来の米国支配層の利益のために、それに従順だったオバマ政権を持ち上げ、トランプ政権を批判している。出来るだけ早期に、トランプ政権を潰したいのだろう。デーブ・スペクター氏なども同様の活動をしている。

話のなかで、北朝鮮の生存を保障できるのは米国だけだと言うが、そこに朝鮮戦争との関連に言及すべきだが、それをしていない。国連軍を名乗る米国軍と未だ戦争状態にあるから、北朝鮮は国家の生存を米国に要求しているのである。この大事なポイントをわざと避けているのは、非常に不自然である。

朝鮮戦争を温存して、東アジアに居残るというのが米国の戦略であった。それをストレートに言う馬渕睦夫氏を、宮家邦彦氏と一緒に「陰謀論」という黒い衣を着せて批判した。その件について紹介したのが、最初に紹介したブログである。

米国は、日本にも北朝鮮との講和をしないように圧力や工作をしてきた。そのことについても、佐藤氏はここでもだんまりを決め込んでいる。三年ほど前に、ソニーピクチャーエンターテインメントが金正恩の暗殺映画を作った。http://jp.wsj.com/articles/SB11780535754685564831004580358272810214314

ソニーという日本を代表する企業の子会社に、そのような映画を作らせたのは米国国務省の差し金だという話がある。それを、評論家の田中宇氏は日本と北朝鮮を近づけ無いための工作の可能性があると言っている。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/41924555.html

また、小泉政権のときの拉致被害者の奪還の際、講和の話が進んでいた筈で、それを潰したのは米国だろう。そのあたりを日本政府は明らかにしていない。トランプ大統領が自分の考えをストレートに出せるなら、北朝鮮と直ぐに講和するだろう。

2006年以前にトランプ政権ができていたら、北朝鮮と講和し、北朝鮮は核開発を止めさせることは現在よりもはるかに簡単だっただろう。日本も北朝鮮との講和を進めて、拉致被害者が全て帰国できただろう。北朝鮮の人たちも、日本からの経済援助を利用して途上国的経済から脱却していただろう。

北朝鮮の核保持について、「オバマなら、北朝鮮が中距離弾道ミサイルに核を搭載して、日本が攻撃させるのは構わないという様なことにはしないが、トランプはやりかね無い」と佐藤氏はオバマを持ち上げて、トランプを否定的にいう。

しかし、トランプの本音は日本も核を持ちたければ、持てば良いという考えである。その場合、日本は米国から自立でき、日本の将来を日本独自に決められる。一方、オバマは日本には絶対に核を持たせ無い。それは北朝鮮の最初の核実験後に、ライス国務長官が直ちに日本に飛んできて、「米国が日本を核攻撃から守る」と言ったことでもわかる。その場合、日本は永久に米国の属国のままである。しかも、核の傘など、中国の核に対してはなんの保障もない。

「トランプは儲かる戦争をする」といかにも日本人請けの悪口だが、それは伝統的な米国の姿勢だった。 佐藤優氏が、ここまで言っても正体がバレ無いと思ったのなら、視聴者を馬鹿にしているのだろう。

===以上は政治の素人の私的メモです。適当に読み飛ばして下さい===

2017年9月2日土曜日

北朝鮮は核兵器の小型化を本当に実現しているのか?

北朝鮮は核兵器の小型化に成功しており、ミサイルに搭載済みであると、北朝鮮および米国は言っている。しかし、それは本当か?

日経新聞の8月9日配信の記事では、米国ワシントンポスト紙の記事を引用して、アメリカ国防情報局の発表によれば、北朝鮮は既に弾道ミサイルに搭載可能な核兵器開発に成功していると報じた。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN09H13_Z00C17A8000000/ また、北朝鮮も既に米国を核兵器で攻撃するという脅しを用いている。

この二つの情報から、純情な日本人は北朝鮮が核兵器の小型化に成功して、既に実戦配備していると信じるのは無理がない。しかし、私はこの情報を疑っている。つまり、北朝鮮が更に核実験がしたいのは、この小型化のためであり、従ってまだそれに成功していないと思う。

米国ワシントンポストが上記報道をしたのは、いざとなった場合の北朝鮮爆撃の口実を準備するためであり(補足1)、北朝鮮の発表は空のポケットに手を突っ込んで、ピストルを握っているフリをしていると考えるべきだろう。つまり、必死に時間稼ぎをしていると見る。場合によっては、馬渕睦夫さんがいうように、両者が連んでいる可能性すらある。

8月末の根室沖へのミサイル発射が、どうも失敗だった模様である。多弾頭ミサイル実験かと思ったが、予定よりも飛行距離が短いという話を信じれば、大気圏に突入の際に分解した可能性がある。断熱圧縮された空気による弾頭の加熱を克服できなかったのかもしれない。

そう考えると、核兵器をミサイルに搭載するには、未だ二つの障壁が残っている可能性もある。核の小型化と大気圏突入の際に弾頭部分を守る技術である。

マティス氏やティラーソン氏が対話を重視する発言をしているのは、伝統的な米国支配層の考えで、それはトランプ大統領の強硬解決の考えとことなる。両者が役割分担をしていると見る向きもあるが、そうではなく政権内の綱引の可能性がある。

もし、北朝鮮がミサイルに核兵器を搭載する技術を完成していないのなら、トランプ大統領の強硬策の方が問題を大きくしないうちの解決につながる。日本は独自に、もっとも大事なその情報を得る努力をしているのだろうか?

補足:
1)イラクが大量破壊兵器を保有していることを理由に、戦争を始めた米国を思い出すべきである。http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Iraq/duelfer_report.htm

2017年8月31日木曜日

北朝鮮問題:チキンレースの終結は、米国がアメリカファーストを具体化することで行うべき

1)北朝鮮問題が、一昨日のミサイル発射により時間軸上をかなり進んだ。それに対してトランプ大統領は29日、隣国や国連に対する「侮辱」を意味するもので、国際社会での孤立を深めるだけだと批判し、米国の対応には「全ての選択肢がテーブルの上にある」と述べた。http://www.bbc.com/japanese/41091853

安倍晋三首相は30日深夜、トランプ米大統領と電話で約30分間会談し、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮にさらなる圧力が必要との認識で一致した。http://www.sankei.com/politics/news/170831/plt1708310003-n1.html

金正恩朝鮮労働党委員長は、「恥辱的な韓国併合条約」が発効した1910年8月29日から107年に当たる29日に「日本人を驚がくさせる大胆な作戦計画」を立て、発射を承認したという。そしてその発射訓練は、「米国グアム島をけん制する前奏曲となる」と強調したという。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170830-00000007-jij-kr

更に、国連安保理は緊急会合を開き、北朝鮮による日本上空を通過した弾道ミサイル発射を非難し、発射の即時停止を求める議長声明を全会一致で採択した。https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN30H26_30082017000000/

これらの北朝鮮問題を巡る各国と国連の反応は、全て従来の姿勢の延長上にある。時間軸を進めたにも関わらず、全てが従来の延長上にあるということは、それだけ選択肢の幅を狭めたことになる。それを各国や国連は、どう考えているのか?

2)直線上を動くことは、パチンコ玉でも出来る。慣性の法則に従えば良いだけである。それぞれの国の内部での、思考も計算もいらない。それで良いのか? 北朝鮮、米国、その衛星国である韓国と日本、ロシア、中国や国連に、何か最終的な図面ができているのか?

金正恩は若い世襲の指導者である。いままで、同じ方向を進んできたので、方向を徐々に変えることの難しさを実感しているだろう。おそらく打つ手がないのではないか。世間ではチキンレースというが、別の路に飛び移る方法を当事者が知っている場合がチキンレースである。本当にチキンレースなのか?両方とも、飛び移るべき別の道がわからずに、ただ前に進んでいるだけではないのか?

金正恩は国内での権威を保つために側近の粛清を繰り返して来た。張成沢など中国との太いパイプを持つ者も失っている。そのような状況では、金正恩個人が天才的であれば良いが、いろんな意見を周囲から聞き、それをヒントに道を選ぶというタイプの政治家なら、新しい発想に至らないのではと心配する。

ひょっとして、米国の大統領も類似の情況にあるとした場合、結末は非常に深刻なことになるのではないだろうか。つまり、トランプ大統領は、大統領になるまで東アジアでのこれまでの米国の政治には知識がなかった。それは、「韓国も日本も核兵器を持つのなら持てば良いではないか」と安易に発言したことからも明白である。そして、次々と側近の名前が変わるところを見ると、ギリギリのところまで“チキンレース”が進んだ段階では、国防長官や国務長官の助言も機能しないのではないのかと心配する。

3)解決のシナリオ:

私は、以下のよう考える。つまり、①北朝鮮を核兵器保持(中距離ミサイルまで)のまま国家承認することと、その後のシナリオが書けていないのなら、はっきり言って、金正恩の暗殺以外にこの“チキンレース”から降りる道はないのでは。

①のシナリオで、日米韓がNATOと同じように、②韓国と日本を対象に核兵器の共有を持ち出す場合、金正恩の暗殺は中国によってなされる可能性もあると思う。なぜなら、中国およびロシアは自分たちが巨大な核軍備を持つことで、日本などから得られる間接的利益を、既に予定利益として計上している可能性があるからである。

もちろん、①と②をそのまま中露が受け入れるのなら、北朝鮮問題は半ば解決したも同然である。また、トランプ大統領が当初考えていたアメリカファーストの政策、在外米軍の縮小も同時に達成できるのである。更に、米国は核兵器共有の代金を日韓に請求して、毎年固定した利益を計上できるだろう。

米軍が日韓両国に存在するのは、米国の西太平洋地域における覇権確保が理由である。冷戦が終結して、その最後の象徴的な朝鮮戦争を完全終結してしまえば、米国が西太平洋に残留する理由はない。http://www.mag2.com/p/money/290808?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_thu&utm_campaign=mag_9999_0831&l=qux0596bfd

しかし、覇権を中国に移動させることは、新たな悲劇を産む可能性が高い。そこで、その覇権の空白を埋めるのが核兵器の共有であり、西太平洋条約とでも呼ぶべき条約再編だと思う。一方の中国やロシアには、北朝鮮という核保持国が緩衝帯として温存され、安全保障上の問題は大きくはならない。(補足1)

ロシアと日本は海を隔ててではあるが、直接国境を接っしている。そこで、北海道の一部と北方4島を非核ゾーンとして、平和条約を締結する。また、北方4島は、日露経済協力特別区として、日露の経済協力の基地的存在にすれば、ロシアにも日本にも利益は大きい。この際、領土問題などは小さいと考えて、日ソ共同宣言時の取り決めをそのまま両国が受け入れるので良いと思う。(上記、非核ゾーンを非核&非軍事ゾーンに改正;9/2/am)

この新しい覇権構造における中国と日本の関係は別途交渉すべきであるが、おそらく尖閣諸島の譲渡ぐらいは日本もすべきであると思う。

以上、素人の意見をそのまま書きました。適当に読み飛ばしてください。

補足:
1)この場合、文在寅韓国大統領は、今までの韓国の反日プロパガンダの真相を韓国国民に説明する必要がある。京城が火の海になり、100万人が死亡することを考えれば、出来るはずである。

ある原爆被爆者の死と日本の平和主義

これは前回の記事の焼き直しです。一定期間後、前回記事は削除の予定です。

1)30日に十二指腸乳頭部がんで亡くなった日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表委員、谷口稜曄さん(88)は癒えることのない傷を負いながら核兵器廃絶を訴え続けてきた。時事通信の配信したニュースである。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170830-00000052-jij-soci

1945年8月9日、16歳だった谷口さんは郵便配達の途中、爆心地から1.8キロの長崎市住吉町で被爆した。背中一面に大やけどを負い、生死の境をさまよった。2010年に米ニューヨークで開かれた核拡散防止条約(NPT)の再検討会議で、被爆者代表として「核兵器は人間と共存できない」と訴えた。(30日19時のNHKニュース他)

上記時事通信の記事には谷口さんの言葉:「アメリカではなく、核兵器が憎い。二度と被爆者を生まないために運動してきた」が引用されている。核兵器で一瞬の内に数万人を焼き殺す爆弾を同じ人間対して使うことを決断する指導者が、この世界にいるということがどうしても信じられないのだろう。

しかし、核兵器は日本人が憎くて、天から落ちてきたのではない。落としたのは紛れもなく人間なのだ。勿論、アメリカを憎むのは何の解決にもならないし、現在のアメリカ人の半数以上も核兵器の日本への使用を正しいとは言わないだろう。しかし、戦争を早期に終わらせる為に正しかったという人も大勢いることも事実である。

昨日の文章では、「日本人ほど論理的思考が出来ない民族はいない」と書いた。しかしその後、それは大半の日本人には当てはまっても、谷口氏には当てはまらないと思うようになった。あれほどエネルギッシュに核兵器廃絶運動が出来た人が、その程度の知性の筈がないからである。ただ、「世界の人も日本人と同じように考えてくれる」と思って、上記のような発言をしたのだろう。

17条憲法の第一条に「和を以て尊しと為し、さからうことなきを宗とせよ。人みな党あり、また悟れるものは少し」と書かれている。これは2000年近く言い伝えられた言葉であり、現在の日本人の骨となり血となっている。何度もブログ記事でそれは甘い考えだと言及してきた。

この言葉の意味を敢えて言い換えて見る。「人々は現時点では十分知恵がなく真理を知らない。その結果、異る主張のままグループに分かれている。だから、今の知恵のままに争うのは得策ではない」と説いている。聖徳太子は、一方が他方に屈するべきだとは考えていなかったのではないだろうか。

つまり、谷口氏の発言は、「米国が憎いと言ってしまえば、自分の運動の目的である核兵器廃絶は出来ない。米国も日本人も共に同じ人類の仲間であり、協力して核兵器廃絶に向かわなければならない」という戦略的なものなのだろう。それは、上記17条憲法第一条の考え方そのものである。

しかし、米国を始め一神教の文化圏の人たち、つまり世界の先進国の大半は、異る主張の者たちを抹殺してしまえば問題は解決すると考える傾向があると思う。それは、17条憲法と数百年しか違わない時に編纂された聖書の中の記述として屡々出てくる、“異教徒”との戦いと同じものである。日本国民一般も、性悪説と力の論理、或いは「戦争にチャンスを与えよ」が依然として国際政治の標準であると理解すべきである。(補足1)

核拡散防止条約は単に核兵器保持国のエゴイズムを裏書きするための条約である。そうではなくまともな条約なら、核保持国の核兵器保持の特権に等価な重い責任が無ければならない。つまり、北朝鮮への核兵器拡散を防止する責任があるのだ。しかし、それはできないだろうし、そのことはNPTは欺瞞的条約であることの証明となるだろう。

2)エドワード・ルトワックの「戦争にチャンスを与えよ」と言う本の中身は、欧米が中東やアフリカでの戦争に介入するのは得策ではないという意味である。それは単に“戦争ビジネス”に協力することに成ってしまうという警句であった。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43331789.html

19世紀のクラウゼビッツの戦争論にある、“戦争は外交の延長上にある”という考えは、今でも良く使われる。上記ルトワックの本の表題にある“戦争”も、そのような意味の戦争であり、それは現代発展途上国にのみ残された戦争だと思う。

何故なら、20世紀後半になって、核兵器の使用と国家体制の破壊が日本において行われ、“戦争”の意味が先進国では全く異なったものになったからである。第二次大戦は、ハルマゲドン的な21世紀型戦争への、遷移的な戦争だったと思う。

その巨大な武器による戦争と日本の徹底的な敗戦、そしてその後のマッカーサーの統治(補足2)は、明治維新以降自分のものだと思っていた国家の枠組みが、本当は偽物だったということを明らかにした。つまり、大日本帝国は西欧からの貸衣装を着ただけで、江戸幕府の日本と本質的に変わらなかったのである。(補足3)そしてその証明は、マッカーサー憲法を変更すら出来ない現在までの国会と日本国民の姿により為された。

谷口氏の考えは、経済のみならず世界政治までがグローバル化されていたのなら、有効だったかもしれない。未だ経済的にも政治的にも、世界は混乱の中にあり、唯一国家のみが民を“溺死”から守る船的存在である。従って、「アメリカではなく核兵器が憎い」という言葉は、日米の同盟関係強化の為なら、非常に有効だろう。

何故なら、米国の日本に対する憎しみと哀れみが混在した複雑な感情を消し去るのに寄与する可能性があるからである。米国にそのトラウマ的感情がなくなれば(補足4)、日本からは憧れと親和的感情が既に勝っているので、日米関係はより一層深くなる可能性が高いと思う。

兎に角、日本は平和的解決を全ての紛争や戦争において期待する国である。お目出度い国だというのも当たっている。しかし、日中和平交渉のときに鄧小平が田中角栄に言った言葉「今我々には尖閣問題を解決する知恵がない。将来の優れた知恵に期待しよう」的な対応、或いは上記17条憲法第一条の精神を、一神教の国も学ぶべきだと思う。

補足:
1)後述のようにルトワックの本の表題から採ったが、意味は多少ことなる。
2)第二次大戦後の連合国軍というか、実質的に米国軍の日本統治は、ある意味温情的なものであった。連合国軍司令長官のマッカーサーは、自分の考えた理想的な憲法を日本に与え、最終的には米国議会で日本の戦争動機を自衛の為だったと証言する程になった。
3)日本の再出発は、明治維新以降の歴史を再点検することに依ってのみ可能である。これは多分原田伊織氏の最近の雑誌サピオの記事の内容と同じだろうと想像する。(読みたいとは思っても、内容が想像の範囲だろうと思い買えなかった。)
4)第二次世界大戦は米国にとっても大変な戦争だったと思う。それは、日米ともにトラウマを抱えることになったとしても不思議ではない。しかし、日本国民が、憲法の非武装中立にしがみつく姿勢はトラウマではなく、上記のように江戸以前への本来の日本に戻ったと私は考える。

2017年8月30日水曜日

北朝鮮のミサイル発射は何故重大な脅威なのだ

昨日の北朝鮮のミサイル実験を、安倍総理も菅官房長官も、重大な脅威のように言っていた。しかし、日本の上空(100km程度以上)を通る物体は人工衛星など色々あるが、元々問題でもなんでもない。北朝鮮も日本を標的にしたとは言っていないし、その理由もない。何故なら、日本はこの件の直接的な当事者ではない。朝鮮戦争の北朝鮮以外の当事国は米国(名目は国連軍)、韓国、中国である。

日本にとって北朝鮮の核は重大な脅威というが、中国の核の脅威の方が大きい。北朝鮮が吠える犬だというのなら、それを吠えさせたのは米国なのだから、米国が北朝鮮を国家承認すれば、すぐおとなしくなる。北朝鮮が国連に加盟した段階(1991)で、国家承認しておれば問題は大きくならなかっただろう。北朝鮮の核武装も防ぐことができただろう。

核兵器の放棄は、中国、米国、ロシアが大量の核兵器をミサイルに乗せて仮想敵国に向けて居る限り、説得力はない。もし、北朝鮮の核兵器が脅威だと日本が感じるのなら、日本も核開発すれば良い。もちろん、実際に着手すれば米国は猛烈に反対して、経済制裁などで日本経済は潰れるだろう。しかし、その前に北朝鮮の核開発はつぶされていただろう。中国も米国も日本の核装備ほど恐ろしいものはないからだ。

要するに、北朝鮮と対立しているのは米国などの核保時国である。自分たちの軍事的優位性を守ることを目的としたものであり、日本とは無関係である。わざわざ、北朝鮮の核兵器の標的になるべく、米国の飼い犬として、最初に撃たれる国として名乗りを上げるのは馬鹿馬鹿しい。何を考えているのか日本政府は。

国民を北朝鮮の核兵器の標的として並べることで、政治家たちは米国から一定の評価を貰いたいのだろう。もちろん、米国は強大な国で、現時点では日本は米国の言うとおり動くしか無い。しかし、徐々に米国離れを味方を得ながら実現するのが政治だろう。吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、(中曽根康弘)らのエゴイズムと無策が日本をこのようにしたのだ。

マスコミも朝鮮戦争の歴史との絡みで、今回の問題を議論しない。休戦協定にはどのような記述があるのか(特に外国軍の撤退など)、国連が休戦協定に対してどのような声明をだしてきたか、それに対して米国や中国はどう対応したかなど、しっかりとまとめて国民の前に出すべきだが、一切そのような努力はしない。

この国の政治と歴史敎育は、連携して国民を白痴化している。それはどうも、薩長の新政府に始まる古い政治家とその家系の者たちを中心とした「政治貴族」の私的利益と関係しているのではないのか。

兎に角、日本の近代政治の歴史を考える上での鍵は、明治維新以降の政治家の質の低下だろう。その原因は、世襲政治と仲間内政治である。それを可能にしたのは、国民に歴氏の真実を隠したことである。第二次大戦との関連で言えば、日露戦争後に日本は列強の一角を占めたと考えたのが原因であり、その間違いを分析して冷静に国民に明らかにしていれば、中国本体への侵略などはなかっただろう。それが出来なかったのは、政治家の質がそれほど低下していたのだろう。勿論、憲法の統帥権に関する部分の修正すら出来なかったのも、政治家の質が低かったからだろう。

日本の再興を考えるのなら、明治維新以降の歴史の再評価を、例外を一切設けず、明治維新の際に薩長が利用した天皇の評価もふくめ、徹底して国民とともに行うことだと思う。

2017年8月29日火曜日

言葉の記述には時間的空間的限界がある:一神教の人たちと言葉の無限適用

1)「言葉」の伝達範囲には、時間的空間的に一定の限界がある。つまり、言葉には刹那的な言葉や永遠の言葉、自分や家族の範囲の言葉や全人類に向けた言葉など様々な言葉が存在するということである。それら範囲は通常言葉の中に示されているか、受け取る人間が容易にそれを感じ取る。

例えば、ジョンレノンの歌にイマジンというのがある。「想像してご覧、天国なんて存在しない。地の下には地獄など存在しないし、上には(天国ではなく)空があるだけ」で始まる。3番の歌詞で「あなたは私を夢を語る人だというだろう」と歌う通り、ジョンレノンは夢を語っている。

それは:
Imagine there’s no Heaven (all the people living for today)
Imagine there’s no countries (Nothing to kill or die for)
Imagine no possessions (Sharing all the world)
国家なんか存在しないとしたら、殺したり殺されたりの戦争などない。何かを所有するということがなくなれば、皆が世界を共有すれば良い。

このジョンレノンの言葉は、広い範囲を対象にし、長い時間を生きる言葉である(ただし、未だ訪れていない時が起点であるが)。勿論、それが価値の証ではない。

井上陽水の有名な歌に、「傘がない」がある。
都会では自殺する若者が増えている、
今朝来た新聞の片隅に書いていた。
だけども問題は今日の雨傘がない。
行かなくちゃ、君に逢いに行かなくちゃ、
君の町に行かなくちゃ、雨に濡れ

この歌詞は、ジョンレノンの歌と違って、言葉は自分の中だけか、或いは広くても「君」までしか存在する空間は広がらない。意味を持つ時間も今日だけかもしれない。しかし、だから利己主義で刹那主義の価値の低い言葉という訳ではない。

言葉は、本来の存在すべき空間と時間の中で解釈すべきであるし、そのように限定されていれば問題は起こらない。しかし、その範囲を超えて主張したり、働いたりしては問題の原因となりうる。前者のジョンレノンの歌では、イマジン(空想)の世界に限定されるべきであり、現実の世界に出てくれば大きな問題の原因となる。また、井上陽水の歌では、二人の間に存在する限り、その言葉は生き生きと若者の気持ちを表し伝達する能力を持つが、広い社会の中に出てもらっては困る。

そして、これらの言葉を発する(歌う)人は、それを十分に理解しているので、実際には問題にはならないし、立派な芸術作品として後世に残る。それは暗示的に、これらの言葉には時間的空間的限界があると示されているからである。

決して明示的ではないとしても、言葉の時間的空間的限界を、それを話す人間は意識しなければならないというのが、ここで言いたいことである。(補足1)

2)ところがこの言葉の暗示的“原理”を全く受け入れない立場が存在する。それは原理主義に染まった人たちや一神教を信じる人たちの立場である。

一神教の場合、教祖の言葉にもそれが発せられた時には、同じ限界があった筈である。それにもかかわらず、信者たちはその限界を時間的にも空間(人間社会の)的にも無限大に拡大して理解している。それは信者個人の問題ではなく、宗教の本質である。

また、社会主義思想や民族主義などを信奉する原理主義の人たちの立場がある。これも思想や主義に問題があるわけではなく、それを永遠不変の真理と考えてしまう無理解がそのような立場の原因である。従って、国民全てを対象に政治を考える議会の席に、これらを信奉する人たちは席を得る資格などない。

具体例を挙げると、人間社会の中で善と悪という重要な言葉がある。社会の偉大なリーダーが善と悪について語ったとしても、それはその時代のその地域或いは人たちの間の善と悪であり、他の民族や他の時代にはそのまま通用するとは限らない。

その結果、そのリーダーに率いられた部族は、他の部族などにより迫害を受けることになる。古代はそのような部族衝突の時代であり、部族の生き残りはリーダーの資質と戦略的思考力に懸かっていただろう。そこで、道は二つに別れる。迫害を跳ね除けて、自分たちの善と悪の基準を死守するか、或いは、迫害するものと平和共存を選ぶかである。

非常に優れたリーダーに率いられた部族は、前者の道をとる可能性が高いだろう。そして、その教えは信者の団結を一層固くし、心と頭の中に絶対的真理として徐々に変質するだろう。それが多くの一神教の発生の原点ではないだろうか。

つまり、教祖は一神教の種ではあるが、本体ではない。キリスト教の場合、イエスが教祖だが、パウロとその一派がそれを協会という組織を持つ大きな宗教に育てたのだろう。(補足2)

多くの宗教において、教祖とされる人は一般に聖典を残さない。聖典はその後その宗教を育てた人が、教祖やその教えを語る弟子の言葉をまとめて作るのが普通である。何故、教祖は聖典を作ったり作らせたりしないのか。それは教祖の時代には、その考え方は宗教にまで成長していなかったからだろう。

つまり、一神教は常に戦いの中にあった、或いは戦いの中で一神教が発生し成長したのではないだろうか。(補足3)その一神教の戦いの遺伝子が、豊かな時代の現在でも残る多くの戦いの重要な原因なのかもしれない。

3)全ての異教徒とその言葉の多くは、彼ら信者の中では悪の中に放り込まれ、自分たちの言葉は永遠の言葉、地の果てにまで通用する言葉と考えるのである。極端な言い方だが、人間としての条件が同じ宗教の信者であることなのである。従って、異なる宗教の者や全く土着の宗教の者は、人間では無いという感覚があるのだろう。(補足4)

神が決める善悪は、永遠普遍であり、変更の余地はない。それに従わないものは、暴力で従わせる以外に方法はない。それが一神教の世界で、争いが絶えないことと関係がありそうである。一方、日本では何が善で何が悪かは、人が決めるのである。従って、善悪は時代によって変化する。17条憲法の第一条の「和を以て尊しと為し、さからうことなきを宗とせよ。人みな党あり、また悟れるものは少し」の部分は、まさにそれを言っている。

北朝鮮問題の主なる原因も一神教の世界の人たちが作った。(補足5)事情がわかった人たちが仲介に入らなければ丸くは収まらないだろう。「島根、広島、高知の上空を通ってミサイルと飛ばす」という言葉の中に、「日本よ仲介を引き受けてくれ」という意味が含まれていると私には思えるのである。

一神教の方達は、議論という戦いが得意である。どんなに偉大な国の人達でも自分が受け持つのは弁証法の片方(テーゼかアンチテーゼ)であり、統合する役者が居ないと話がまとまらないようだ。

補足:
1)このことを考えれば、自民党議員たちの多くの失言は、その発言の場所を考えれば(正確に報道すれば)問題にすべきでないケースが相当含まれている。
2)ニーチェ著「アンチクリスト」ブログ、3月31日の記事参照(3・31)
3)武田邦彦氏の動画、私はこの考え方に反対(コメントと残した)だが、この方の知識は我々より遥かに多いので参考になるかもしれない。 https://www.youtube.com/watch?v=J1c-5SzzfGk
4)日本人は、米国人を猿やゴジラといったことはない。しかし、彼らは日本人のことを黄色い猿としばしば言った筈である。聖書の中の異教徒という響きは、同じ人間という考え方には共鳴しない。
5)今年5月18日に朝鮮問題を解決する第一歩は、米国が踏み出す義務を持つという記事を書いた。

2017年8月28日月曜日

日本人は国内の報道だけに頼るべきではない。英語の力をつけて海外の報道にもアクセスするべき

時々BBCニュースの画面をパソコンで見る。今朝のホーム画面では、ヒューストンでの洪水がトップニュースだった。その下にいくつかのニュースへの入り口(ヘッドライン+写真)があった。

一つ目はコロンビアのFarc( Revolutionary Armed Forces of Colombia;コロンビア革命軍)が和平交渉の結果、議会に参加することになったニュース。二番目がミャンマーの暴力事件で数千人がバングラデシュに逃げ込んだというニュース。そして、インド人の女性だけのメンバーが、世界一周の航海に出発するというのと、英国の化学ガス漏れの事故のニュースである。

それらの内の一つを開いた時に、サイドに元日本の慰安婦だという韓国の老婦人の写真が、中国の人気のSNSでバカにしたように映され、それに対して大勢の人が怒っているという記事があった。(Chinese users of the popular social network QZone are furious after stickers, or memes, that seem to poke fun at World War Two "comfort women" emerged on the platform.)

そこを見ると慰安婦の説明があり、「推定で20万人(その多くは韓国人)の女性が、第二次大戦中日本軍の性奴隷にされた」と記されている。http://www.bbc.com/news/world-asia-china-41026049 

腹立たしいが、韓国による慰安婦の宣伝が完全に国際的に認知されている。日本の評論家たちの多くは、国内で嘘だとか捏造だとか言っているが、そんなことは外国まで聞こえない。(英語で説明している人も少数いるが、量的に負けているだろう)

米国が戦後韓国人捕虜に聞き取り調査したが、殆どが父親など家族に売られて慰安婦になったと書かれている。また、給与も士官以上の額がでていた。

上記二つ目の記事は、コロンビアの武装ゲリラが、交渉の末武装を解除し、政党をつくって来年の選挙に候補者を立てるという話である。Members of the Farc in Colombia have begun discussing the group's future in its first congress since the conclusion of a historic disarmament process.

その次の記事は、ミャンマーの西海岸Rakhine地方で暴動が起こっているらしい。その結果数千人が隣国に逃げ込んだという話である。日本では、ミャンマーと言えばアウン=サン=スーチーしか知らないだろう。私も、そんな深刻な地域があるとは全く知らない日本人の一人である。

日本の報道といえば、ヒューストンのハリケーンについては書いてあるが、他の記事はどこにもない。タイの前首相がドバイに逃げ込んだというのがニュースになっているが、ちょっと美人だからだろう。

兎に角、日本の報道機関は、隣国など他国に牛耳られているとしか思えない。日本人を国際情報からシャットアウトし、国家の危機感から遠ざけ、国内の下らない政治劇とエログロナンセンスのみ報道している。

また、兎に角を連発するが、俳句や短歌、それに。漢文や下らない小説などの敎育時間を減らして、英語教育に充てるべきだ。英語を徹底的に敎育して、日本国民の全てに外国のメディアにアクセス出来る程度に、最低限の英語力を着けさせるべきだと思う。

2)蛇足: もう10年ほどになるが、ノースウエスト航空で名古屋からデトロイトの便に乗った。私の斜め後ろの方で、米国の旦那を訪ねての旅なのか、一人の夫人が赤ん坊をつれて搭乗していた。我々の周りの他の乗客の大半はフィリピン人(マニラからだろう)のように見えた。その婦人が赤ん坊にミルクをやったり、世話をしていたところ、アテンダントの女性は言葉が通じないのだが、それでも赤ん坊と彼女を助けるべく頑張っていた。

ところが、どうしても意思が通じない場面となり、同じく一人旅の私に日本人らしいと気付いて、通訳を頼んできた。そこでその方の意思を何とか伝えたが、その通訳もあまりスムースでなかったのか、フィリピン人が何かヒソヒソと話して笑っているように見えた。その対象が、その英語が喋れない日本人女性なのか、通訳に苦労している様子の私なのか、日本人全体の英語能力の無さなのか分からないが、どれかだろう。プライドを傷つけられた苦い経験であった。

空港とホテルを結ぶ交通手段は、ホテルのシャトルバスであった。来る時は泊まるホテルのバスが出発したあとで、次の日に泊まる予定のホテルのバスに乗せて貰った。帰国の時には、早朝の飛行機に乗るので、タクシーしか手段がない。フロントで予約したのだが、乗り込んだタクシーには料金メーターがなく、途中から別の客を拾っていくのにはびっくりした。日本の様に公的バスや電車があると思い込んでいたのは、甘い考えだった。下手な英語でも、救命胴衣のようなものであった。


2017年8月25日金曜日

中国の習近平は何を目指しているのか?:一帯一路構想と腐敗追放の目的

1)先日の「世界は今、21世紀の新しい勢力均衡に向けて最終局面に入ったかに見える」と題した読売新聞のコラム記事の中で、JR東海の葛西敬之氏は中国の一帯一路構想は新しい中華共栄圏の構築を目指すものであるとしている。

そして、一帯一路構想の実行によりインフラ支援の名目で、周辺国へ失業者と在庫の排出を行う一方、戦略的に重要な港湾などをその経済支援のプロセスの中で、中国の支配下に置いている。更に、西太平洋とインド洋への海洋進出に乗り出し、いわゆる第二列島線までを中国の覇権下に置く計画のようである。その時尖閣はおろか沖縄まで中国の支配下にする計画のようである。

また、これらの中国の世界戦略構想について、葛西氏は国内の矛盾から目を逸らせることが主要な目的であり、国際的にトラブルの種になる可能性が大きいと見る。この記事について、このブログでも議論した。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43383117.html 純粋に国内問題なら、別の解決手法がある様に思う。

何故、中国はこのように拡大しなければいけないのか。

それについて明確な答えが、石平氏がある動画で語った話の中にあった。 https://www.youtube.com/watch?v=fTKYx5hfoIs (32分から) それは、習近平が中国の毛沢東以来の英雄になること、そして長期独裁体制を目指しているというのである。

中国共産党の最高指導部には、68歳で定年というルールがある。それによれば、習近平は2022年の政権2期終了時点で定年となる。その定年制の枠を超えて更に長期の独裁政権を習近平は目指していると言うのである。そのためには、習近平は毛沢東に並ぶ実績をつくり、それを習近平思想の実践という形に作り上げたいのである。それは、鄧小平の改革解放路線で国を富ませたという実績以上のものでなくてはならない。それが葛西氏が言う、新中華共栄圏構想、つまり一帯一路構想や西太平洋での覇権拡大である。

その前に、もう一つ重要なことを達成する必要がある。それは、政敵の追放である。

2)中国は現在、集団指導体制にある。現在7人いる中央政治局常務委員会の常務委員が、集団で国を率いている。この常務委員は江沢民時代に7人から9人に増やされ、2012年までチャイナ9と呼ばれていた。習近平が主席になった5年前に、それが二人減らされチャイナ7に戻ったのである。

今年9月には5年に一度の共産党大会があり、そこで習近平と李克強以外の5人が定年になるが、そこで定員が7人のままなら、入れ替え組の5人の内出来るだけ多くを習近平派で抑えたいのだ。常務委員には、現在18名いる政治局委員の中から選ばれるとすると、その有力候補で習近平が気に入らない人を追放して置く必要がある。

今回も共産党大会の前に、長老を集めて行う長老会議、「北戴河(ほくたいが)会議」が開かれた。この会議で人事の概略の了解を長老から得て、公式の会議である共産党大会で決定するのである。

その北戴河会議が開催される直前に追放された人物がいる。次期国務院総理の最有力候補(李克強の後任)と見なされていた孫政才である。追放の理由やはり腐敗である。全てのお偉方は腐敗しているので、事実上周囲の人間の強い反発を避けることができれば、罪状は既に準備されている。(補足1)北戴河会議の前にそれを実行したのは、そこで孫政才は政権の中枢に引き上げられる可能性があるからである。

習近平は江沢民とその派閥により引き上げられて、主席の地位を得た。そして、自分が江沢民の操り人形にならないために、習近平は江沢民派の有力者まで腐敗追放運動の一環で追放した。石平氏は、「権力闘争では恩人一派こそ、早めに追放するのが鉄則だ」という。

遠藤誉氏によると、江沢民派は元々腐敗の巣窟だったので、単に共産党政権の安定のために追放されただけだと言う。その考え方の正否も十分考察しなければならないので、石平氏の「」内の言葉を受け入れるのは、もう少しあとにしたい。http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8058.php

その共産党幹部の腐敗摘発運動を指揮したのが、政治局常務委員の王岐山(党中央規律検査委員会書記)であった。そのため、王岐山は江沢民派など粛清の対象になった人たちとその周囲の恨みを買う一方、影で大きな権力を得た。そこで、習近平は王岐山を腐敗しているということで追放する動きを始めているという。

王岐山の腐敗情報の発信は、既に米国に住む元中国共産党幹部関係者からだという。今回の党大会での人事の焦点は、王岐山にある。上記遠藤氏の理論では、この動きは説明できないだろう。

敵対者とライバルを追い落とす一方、習近平は自分への向心力をつける必要がある。そのための偉大な構想が一帯一路構想であり、西太平洋やインド洋への海洋進出など、新中華共栄圏の建設である。そして、それを習近平思想の具現化とすることで、習近平は毛沢東以来の偉大な指導者になれるというのである。

以上、素人であるが、中国の政治を考える取っ掛かりを得た気がする。今後もう少し、勉強したい。
 (以前、腐敗追放運動の元祖薄煕来の失脚について書いた記事を引用しておきます。 http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2015/10/blog-post_10.html) 補足:
1)遠藤誉氏のブログでは、孫政才の腐敗はそれほどひどいのだと書かれている。石平氏の考えと全く異なっているようだ。 遠藤氏は、次の様に書いている。「習近平がやっていることは、腐敗によって、共産党の一党支配体制が崩壊するか否かの闘いに過ぎない。ラストエンペラーになりたくないだけだ。だから一帯一路やAIIBなど外に向かって突っ走り、人民の不満をかわそうとしている。それを見誤ると、中国の大局を見間違え、日本の国益を損ねる。」
しかし、遠藤氏は習近平自身が腐敗しているという事実をどの様に説明するのだろうか。習近平の腐敗摘発を人民は応援している筈である。それなのに、人民の不満をかわすために対外進出するという論理は、私にはわからない。 https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20170718-00073393/

急上昇する日本のエンゲル係数と一人当たりGDPなどのデータ紹介

最近、日本のエンゲル係数(食費の消費支出に対する割合)が上がっている。株価やGDPの統計値と異なり、日本は豊かになっていないように思う。図にこの10年ほどの2人以上世帯のエンゲル係数を示す。
この変化は、食料品価格の上昇、高齢者世帯の増加など、説明はいろいろ考えられる。しかし、図中のサイトに紹介されている世代別のエンゲル係数では、30歳以下の世帯で急上昇していることから、やはり、日本は貧困化しているのではないだろうか。その他分析はそのサイトを見ていただきたい。

諸外国のエンゲル係数がどの程度なのかを次の図に示す。これは2011年のエンゲル係数とその中身、飲食料費、外食費、酒類費を示したものである。米国の低いエンゲル係数が目立つが、ヨーロッパの先進国は大体20%くらいであり、日本の23.6%と大差ない。米国の低い値は、近代産業とともに農業も強い国であると考えれば、理解できる。例えば、米国では牛肉などは非常に安いのだ。このグラフで、エンゲル係数が大きくなるに従い、比較的貧しい国が現れる。
ここで、注目すべきは日本の外食費比率の低さである。日本は豊かな国なのだろうかという疑問が生じる。その点を明らかにする目的で、一人当たりGDPとジニ係数を前のグラフと同じ国順で並べてみたグラフが下図である。これは世界経済ネタ帳などから数値をとり、今回グラフ化したものである。
大凡の傾向であるが、一人当たりGDP(青い棒グラフ)が小さくなるに従って、エンゲル係数が高くなっていることがわかる。この図の中で、周囲と比較してGDP/人の値が飛び出ている4カ国であるが、これらは食品価格あるいは物価全体の価格が高いことが予想される。例えば、ビッグマックの値段は日本では380円だが、ノルウエーでは669円、アイルランドで525円もするのだ。

ジニ係数富の分配の不公平性を表す指数であり、一般に開発途上国では大きな値になる。それは、資本家とその周辺が富を独占するからである。図中ではメキシコ、アメリカ、ポルトガル、日本、イスラエルの順で高く、日本は富の分配が不公平な国ということになる。

このグラフにない国で、ジニ係数が大きい主な国をあげると、南アフリカ(63%)、香港(54%)、ブラジル(52%)、中国(47%)などがある。一人当たりのGDPが小さくジニ係数が大きい国は、おそらく治安も悪いだろうと想像される。先進国では、数値だけの比較だが、イタリア、日本、イスラエル、スペインなどがその候補である。日本の最近時々起こるテロ的な行為は、経済データ的には十分予想される範囲の出来事だと思う。

経済的な豊かさのもっと広い範囲で、家計支出の比率を示した興味あるグラフを見つけたので最後に紹介したい。
一番右にある食料品と、次の飲酒、最後から二番目の外食・宿泊などを足せば、ほぼエンゲル係数が出ると思う。この図では、日本はまだまだ豊かな国であることがわかる。いろいろ面白いことがわかるが、その一例をあげる。先進国で被覆・履物への出費の割合が大き国をみると、英国、ドイツ、韓国、イタリアなどが5.0%を超えている。韓国の方がフランス(4.2%)よりずッと大きいのが印象的である。貧しい国で被覆費が大きいのは、単に必須品だからだろう。

以上、データを並べただけだが、参考になれば嬉しい。

2017年8月23日水曜日

日本人は戦争に向かない(百田尚樹氏の言葉)のか:日本人と言霊信仰

1)百田尚樹氏が、最近「戦争と平和」という題目の本を出版した。その本の説明をラジオ(you tube)でしている。その中で百田氏は、日本は戦争に向かない国であると語っている。その根本的理由として、日本人は最悪の場面の想定をしない性質があるからだという。

米国などは戦争を攻撃と防御を含め総合的に捉えて、その戦争全体が有利になる様に、戦争の構成要素である作戦や道具だてなどを考える。それに比べて日本は、構成要素を独立に最適化するという。その違いは例えば、太平洋戦争の時の日米の戦闘機である零戦とグラマンの全く異なった設計方針として表れたという。https://www.youtube.com/watch?v=KWVi0dnka6M

グラマンは戦争全体を視野に入れて設計されており、戦闘中のパイロットの保護や製造時間を短くして補給と改良をし易くすることなどまで考えてあった。ゼロ戦は戦闘、中でも攻撃に成功することに集中して設計されていたので、撃たれた時のパイロットの保護などはあまり考えられていない。そして、戦闘の場面ではゼロ戦はグラマンより強かったが、一発の流れ弾でゼロ戦のベテランパイロットの命が無くなる事もあったという。

その結果、戦争初期にはゼロ戦は活躍したが、そのうちベテランパイロットの多くを失い、機体数も減少して補給が間に合わず、特攻作戦でしか相手にダメージを与えられないようになったのである。

何故、そのように攻撃性能だけを考えて、防御に弱い戦闘機を設計することになってしまったのか。百田氏は、日本人は悪い場面、その中でも最悪の場面を想定することを嫌がるのだという。つまり戦闘員が打たれてしまうことまで考えない(嫌う)からだという。

それに対して米国人は、撃墜されてもパイロットを助けて、グラマンの弱点をその証言から得て、短期間に最新式のグラマンを作れば、やがて有利になると考えるのである。以上が百田氏の話の概略である。

2)私は、最悪の場面の想定を避ける日本人社会の性質&文化はその通りだと思う。しかし、それは組織として何かを考える時の話である。個人では、日本人は最悪の場面を考えすぎる位に考える悲観的な人がむしろ多いだろう。また、最悪の場面を考えることを嫌うのは西欧人でも日本人でも同じだろう。

日本社会では、単に最悪の場面だけでなく、全てにおいてまともな議論が出来ないのだと思う。最悪の場面を想定しての議論は、一層その傾向が強いだけだろう。

新しく戦闘機を設計製作する場合、エンジン、機体、計器など多くの専門家の知恵を集めてなされるだろう。その際、部下或いはその部下、更に現場の搭乗員などの設計チームの全ての考えが、意見を述べた人に無関係に純粋な情報として全ての人に伝達され、設計が最終的に多くの知恵を結集する形でなされなければならない。

言葉が純粋に情報伝達の手段として存在するのなら、人の口から出た後にその言葉の意味は誰から出ても同じでなければならない。また、議論の場にある人は平等に抵抗なく、自分の考えが発言できなければならない。しかし、日本ではどうもそうではないらしい。一つは百田氏の指摘の最悪の場面など、①縁起の悪いことばは避けられる傾向にあること。もう一つは、②言葉がそれを発した人により意味が大きく異なるということがある。

つまり、②のケースは、例えば現場で働くパイロットが、「撃たれた時に搭乗員を守るために、この部分の鋼板をすこし厚くすべきだと思う」という意見がなかなか出せない。その言葉はパイロットの分身であり、自分可愛さの言葉として発言されたと取られるからである。日本社会では、言葉はそれを発した人間と対になって人の間を伝搬する(補足1)。

その傾向は多分何処の国でもあるのだろうが、その程度は社会の中での個人の自立の度合いにより異ると思う。日本では、一人の人間を取り出してみて、プライベートな部分と社会に属する部分を分けると、後者の方がずっと大きい。たまたま同じ会社の取締役の隣に住むことになった課長さんは、一生その地位の差がつきまとうだろう。会社の関係はプライベートな時間にまで及び、その結果、退社後の一杯が会社での出世を決めることになるのだろう。

そのような社会では、言葉はそれを発した人の分身となる。それでは、議論にはならない。日本では議論がその役割を全く果たしていないのは、国会中継を見ても分かる通りである。その社会で支配的な教訓は、「沈黙は金」であり、「口は災いの元」である。衆知を集めてグラマンを設計する様なことは不可能であり、個人の職人芸として究極の戦闘機ゼロ戦をつくるのがやっとである。百田氏が言うように、「ゼロ戦は日本刀に似ている」という動画の中での言葉の意味が分かると思う。

3)日本社会が最悪の場面を想定できない理由は、言葉がそれを発した人の分身であり続け、純粋に情報伝達のためだけの言葉にならないからだと上に書いた。それは、別の表現を用いれば、言葉にはそれを口にした人の霊が乗るからである。つまり言霊である。

素人であるが、私が理解したところによると、ソシュールの言語学に以下のような考えがある。「言葉の体系(ラング)は、カオスのような連続体である世界に、人間が働きかける活動を通じて産み出される。それと同時にその連続体であった世界もその関係が反映されて非連続化し、概念化する。この“相互異化活動”が「言葉(ランガージュ)」の働きである」

ソシュール的に考えれば、日本人の言語とその(相互異化活動の結果生じた)世界は、西欧のそれらとは全くことなる。言霊とは、西欧の言語感覚で日本文化&日本語を見た場合、あたかも言葉に霊が存在するように見えると言う意味である。日本人は言霊を信じないし、そんなことを言い出すと異端者扱いされるのがオチである。日本語とそれが記述する対生成された“日本人の世界”の中で生き思考する日本人が言霊なんかに気づかないのは当たり前である。触った感覚がないのだから、気づく筈はない。(補足2)

しかし、受験生がいる家庭では、「落ちる」という言葉を嫌う。また、合格祈願の饅頭(合格饅頭)が東京大学の近くの店で売られており、かなりの東大受験生やその家族が買う。しかし、日本人はそれを不思議な現象だとは思わない。「言霊信仰ですか」と問えば、「言霊なんかある筈ないじゃないですか」と、怒られるだろう。http://www.enjoytokyo.jp/kuchikomi/297179/__ngt__=TT0d6c8123c002ac1e4a5ba59J5vHfUHv7A8QDlJslp3uN (補足3)

そして、最悪の場面を想定して議論する場合、議論するメンバーがその前提となる場面に、言霊故に立てないのである。そして、「縁起でもないことを言うな」という言葉が、発せられるだろう。仮にそれらのメンバーが沈黙した状態で、議論が始まったとすると、その場の空気が徐々に重苦しく変化してくるのである。その息苦しさに辟易として居る頃、「撃墜された場面まで考えて戦闘機の設計など出来るか!」という上司の一喝で、その議論は中断してしまうだろう。

論理を軽視するのは、日本語(日本語という言語活動)が一つ一つの言葉に価値(=言霊)を持たせてしまう結果、それらを繋ぐジョイントである論理が上手く機能しないのである。その日本語の発生と同時に出来た日本人の世界(ソシュールの相互異化プロセスで生じた世界)は、当然言霊による支配を受けるのである。

その結果、仮に米国大統領が広島に現れても、原爆が憎いが米国やその代表には、その憎しみは全く投影されないのである。大勢の人間を焼き殺した原爆、その原爆を投下した者、原爆を投下されるまで戦争を継続した者、その戦争を始めた者、その戦争を始めさせた者、それらの間を論理で繋ぐ言語環境にあれば、オバマ氏が訪問した時のあのような光景はなかっただろう。

また、日本は戦争に負け何百万人が殺されたたが、そのプロセスに関する上記論理展開はないため、戦争が全ての責任を取らされ、日本人の敵となったのである。日本人の敵は原爆であり戦争である。日本人が一億人いても、ルトワックの「戦争にチャンスを与えよ」(文春新書2017年4月)という発想は誰ひとりとしてもたないだろう。

補足:
1)You Tubeのコメントなどで、喧嘩的になる場面をよくみる。それは言葉が発言者の分身だからである。
2)不思議なことだが、言霊信仰を西欧風の「論理」を重視して分析すれば、あまりにも非合理的であり、それ故、そんなものに縛られている筈がないと信じてしまう。それは、「論理的に言霊信仰の実態を考える」のは、所詮借り物の道具をぎこちなく使うことであり、その上手く行かない経験はすぐに頭から消え去るからである。つまり、言霊を信じることは、あまりにも日本人にとって自然なことであり、それ故気がつかないのである。
3)プロ野球の選手の背番号に4や42はない。それは「死と死に」だからである。何十年のプロ野球の歴史の中で、4番や42番を着けた日本人選手は居ないだろう。それは4や42は元々無色中性の言葉ではないからである。一方、上述のように元々無色中性であっても、発言した人の霊が着くタイプもある。上記背番号のように、語呂合わせ的な要因で言霊が生じるのは、元の死という言葉に強い言霊が乗っているからである。このような単語だけでなく、文章となって始めて言霊を帯びる場合が、最初の「もし撃たれた場合」など多いだろう。

2017年8月20日日曜日

中国の「天動説」的国際戦略に対抗する為には何が必要か:読売朝刊一面の葛西敬之氏の論文を考える

1)今朝の読売新聞一面の「地球を読む」に、中国の世界戦略についてJR東海名誉会長の葛西敬之氏の解説記事が掲載されている。「世界は今、21世紀の新しい勢力均衡に向けて最終局面に入ったかに見える」で始まるこの解説では、中国の世界戦略の概略とそれに関する中国内外の不確定な部分、それに対抗する日米の取るべき戦略などが議論されている。ただ、その妥当性については衆論の一致を見るまでにはなっていないだろう。

中国の基本的戦略は一帯一路構想である。国際的には、2014年11月に中国北京で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議で習近平主席により提唱された。
https://thepage.jp/detail/20150511-00000006-wordleaf
一帯とは21世紀のシルクロード、一路とは21世紀海のシルクロードである。(上図参照)

葛西氏は、この構想を中国を中心としたユーラシア大陸及びアフリカ大陸に広がる「中華共栄圏」を建設する計画と見る。そして、その特徴を「民主主義、自由主義、法治主義、人権尊重と言った価値観を標榜することなく、巨大な経済力と軍事力により支配圏拡大を志向する点にある」と解説する。

その一帯一路と共に、中国は海洋進出、つまり太平洋とインド洋への進出、の意思を明確にしている。中国が米国に提案している太平洋を米国と二分するという構想は、日本には受け入れがたい話である。(補足1)

ただ、これらの中国の世界戦略構想について、葛西氏は国内の矛盾から目を逸らせることが主要な目的であり、国際的にトラブルの種になる可能性が大きいと見る。

中国は平等が原点の共産主義を標榜しながら、国家資本主義とも言える体制で国を運営し、大きな経済格差と大勢の失業者や無戸籍者を生じるという矛盾を抱えている。それによる国民の不満を吸収するためには、高い経済成長を実現しなければならないが、国家の計画で独力でそれを達成することは、世界のデフレ傾向や国内賃金の上昇などもあり困難である。

そこで、一帯一路構想の実行によりインフラ支援の名目で、周辺国へ失業者と在庫の排出を行う一方、戦略的に重要な港湾などをその経済支援のプロセスの中で(債務が履行できない場合などに付け込んで)、中国の支配下に置いている。一帯一路構想は新しいタイプの植民地支配の構想とも言える。(補足2)そのように、葛西氏は書いている。

更に葛西氏は、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発も、中国の世界戦略の中でその一翼を担っていると考えている。つまり、中国の太平洋進出戦略の地ならし的役割を果たしているというのである。

以上のような中国の「天動説」的国際戦略(一帯一路構想、太平洋及びインド洋への強引な進出、北朝鮮の核武装への協力と利用)等に対応するためには、日米の同盟強化(とそれによる中国への圧力)が唯一の方策であるとしている。

2)私には、葛西氏の北朝鮮問題の解釈が当たっているとは思わない。この問題は、このブログ・サイトでも何度も書いたように、朝鮮戦争の終結と講和を渋っていた米国に主な責任があると思うからである。一方、それ以外の中国の世界戦略については、上記の通りだと思う。

太平洋方面への海洋進出については、中国はどのような利益を目指しているかを慎重に考えるべきだと思う。また、現時点でその対策を考える際には、中国の覇権に対抗するという視点ではなく、日本の領土領海にたいする防衛という視点で考えるべきだと思う。その様なレベルでの米国との防衛協力でも、日本と米国、双方の太平洋諸島の防衛に役立つだろう。

具体的には、尖閣諸島周辺での侵略行為や、沖縄に対して独立を促すという政治干渉で、日本は中国から大きな脅威を受けている。それに対抗するために、日米関係の一層の強化は大切であると思う。

また、一帯一路構想が新しいタイプの植民地支配の構想だとしても、或いは、民主主義、自由主義、法治主義、人権尊重と言ったことを政治の枠組みとしていないことに奇異な感じを受けるとしても、現状では、日本は自国が直接関係する部分においてのみ、その様な考え方の受け入れを拒否すべきだと思う。つまり日本には、世界の警察官的にそれに対抗する姿勢を明確にする必要も実力もない。そして、米国との同盟関係を強化してそれに対抗する立場にも現状では無いと思う。

植民地支配的な関係で国際的なトラブルが生じたときには、国連の場でそれに対抗すべく諸外国と協力して行動すべきだと思う。南シナ海での中国の軍事的進出に対抗するために、日本ができることは限られている。また、他国の港の運営権を得て軍港化するなどの不穏な動きが見られた場合にも、日本は国際社会を巻き込んだ形での対策を考えるべきである。(補足3)

もし、現状を超える形で、アジア地域全体での中国の覇権拡大を監視及び制御する役割を日本が米国と共に果たすのなら、従来の形での日米同盟の強化だけでは、日本の外交的リスクを担保するものにはならない。

つまり、戦後の日本と米国の間の同盟関係は、敵対関係であった過去の関係の修復を十分行った後に結ばれたわけではなく、いわば基礎工事なしに掘立小屋的に構築しただけの同盟関係である。従って、日本側にはいつ何時ハシゴを外されるか分からないという不安が常に残る。

具体的には、太平洋戦争になった時の経緯(補足4)や、米国の戦中戦後を通した中国との密接な関係、戦後占領政策におけるWGIPなどによる日本政治の破壊、40年ほど前のニクソン大統領とキッシンジャー補佐官及び国務長官と中国の対日密約、更に、日米安保条約は日本の軍国化を防ぐ瓶の蓋であったという在日海兵隊司令官の証言(補足5)などを考えれば、日米同盟には確固たる基礎が欠けていることは明白である。

そのような歴史を持ちながら、日米が本当の意味で巨大な「共産党中国」に対抗できる同盟関係を現在の同盟関係の強化だけで築けるかといえば、誰もが疑問に思うだろう。

仮に、米国との関係を共産中国の世界戦略に対抗できる程度に深化させる方向に両国が舵を切るとした場合、日米同盟も新たな段階に進めることが必須だと思う。その一つとして、日本の他国による核攻撃に対する防衛に対して、米国が本格的な協力をすることなどが考えられる。それは、他の核保有国により警戒される程度のものでなければ、意味がないだろう。従来の核の傘は、全く不十分だと思う。

以上から、現状の延長上での日米同盟強化と対中国世界戦略への対抗という葛西氏の考えは、危険だと思う。

(以上は国際政治の素人によるメモです。適当に読み飛ばしてください。)

補足:
1)その構想の最初の目標が尖閣の占領だと考えられる。更に、沖縄を独立させて中華圏に抱き込むことや、小笠原諸島を支配することが次の段階である。第二列島線以西は、中国が支配するというのが最終目標である。周知の様に、小笠原支配の演習は既に済ませている。
2)日本の大東亜共栄圏構想を思い出す。
3)スリランカの港の運営権を99年間中国企業が借りる契約を結ぶようである。そこが軍港になる可能性もある。 https://mainichi.jp/articles/20170208/k00/00m/030/129000c
4)最近のフーバー元大統領の著書「裏切られた自由」などに書かれていると言われる日本に対する戦争誘導戦略(渡辺惣樹著、「誰が第二次大戦を起こしたのか」に記載)、マッカーサー司令官の帰国後の米国議会での証言など。
5)1990年3月27日付ワシントンポスト紙に日米関係の歴史に残る発言が載っている。「瓶のふた」発言である。在日米海兵隊ヘンリー・C・スタックポール司令官(少将)による次のような発言である。「もし米軍が撤退したら、日本はすでに相当な能力を持つ軍事力を、さらに強化するだろう。だれも日本の再軍備を望んでいない。だからわれわれ(米軍)は(軍国主義化を防ぐ)瓶のふたなのだ」。http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0302S_Z00C12A2000000/

TV番組「時事放談」のゲスト達の知性は劣悪

今朝の時事放談のゲストは武村正義氏と石破茂氏であった。6時15分頃、この番組のことを思い出して久しぶりにテレビのスイッチをいれた。そこで、トランプ大統領の白人至上主義を批判しなかったというテレビ報道の件について、少し議論があった。

武村正義氏の話は、マスコミ報道と同様、リー将軍の銅像撤去に反対するグループのデモと、そのデモを批判する人たちの衝突を、”白人至上主義”を周ってそれに賛成するグループと反対するグループの衝突に、完全に取り違えている。マスコミの取り違いは作為的であるが、武村氏はそれを一片の疑いも持たずに受け入れている。

この問題把握の段階で間違ったのでは話にならない。トランプ氏が両方共悪いといったのは、その歴史的な記念物に対する姿勢に関する両派の衝突を言ったのだが、それが全く判っていないのである。勉強も新聞の読み込みも十分していないのか、或いは武村氏個人の知性の問題なのか、どちらかだろう。

一方、石破茂氏は、一度もあって話をしたことがないので批判する立場にないがと前置きして、間接的なトランプ批判を行った。その根拠として上げたのが、トランプ氏が大統領になった時の演説に、歴代の大統領就任演説に必ずあった「自由とか平等とかの言葉」(オバマ氏が好きな言葉)が無かったということである。トランプ大統領になんとなく違和感を感じたと発言して、武村氏の発言に一定の配慮を行った。

この件に関して、米国共和党高官らが武村氏と同様に反応しているのは、政治的な態度であり、沈没船からは逃げた方が得だというポピュリズムの時代の政治家の行動であると思う(補足1)。日本の政治家はもう少し客観的に発言できる立場にあるが、それでも現職の政治家は慎重でなくてはならない。石破氏の発言は、敢えて直接的なコメントを避けている風に見えた。

一方、武村氏は既に退職していて、自由な立場にあるのだから、純粋に自分の意見を述べる事ができる。それでも、上記のような発言に終わるのは、この方には知性が欠けているということになる。その程度の知性と予備知識でテレビに出演するのは、止めてもらいたいものだ。

南北戦争の時の南軍の英雄であったリー将軍の銅像撤去問題と今回の騒動についての議論は、昨日のこのブログサイトに掲載しているので、そこを見て欲しい。まあ、何時もながらこの程度の番組なので、スイッチを切った。

補足:
1)人種差別やナチスのユダヤ人虐殺行為については、西欧の政治家は思考の枠外に追放しようとする姿勢がある。「大衆の気持ちの揺れ」をまるで怪獣の様に恐れ観測するのが、西欧の政治家として生きるイロハなのかもしれない。その件について、2年ほど前に考察したことがある。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42302353.html

2017年8月19日土曜日

「白人至上主義者を非難しない」というトランプ大統領に対する難癖

1)南北戦争の南軍の英雄であるロバート・リー将軍の銅像を撤去する件で、米国が揺れている。この8月12日には、撤去に反対する人たち(白人至上主義者だと言われている)とその反対勢力との間で衝突が起き、死傷者をだした。

トランプ大統領はツイッターで「偉大なるわが国の歴史と文化が、美しい彫像や記念碑の撤去によって引き裂かれるのを見るのは悲しい」と発言。更に15日、シャーロッツビル(バージニア州)の事件は白人至上主義者と反対派の「双方」に責任があると発言して批判を浴びている。

トランプ大統領は17日夜(日本時間)更に書き込んだ。「歴史は変えられないが、そこから学ぶことができる。ロバート・リー、ストーンウォール・ジャクソン、次はだれだ。ワシントンやジェファーソンか? 本当に下らない。(筆者の訳)」(補足1)

トランプ批判の理由は、白人至上主義を徹底批判しないのはおかしいということである。 その背景には、南北戦争の目的=奴隷解放=人種差別主義の克服、という単純な理解がある。つまり、この騒動の原因のには、南北戦争に対する解釈が米国民の間で十分共有されていないことがあると思う。

現在の通説では、南北戦争は綿花を作り自由貿易主義を主張した南部と産業成熟を目指し保護貿易主義を主張した北部の戦いであった。リンカーンが突然、戦争目的に『奴隷解放』を置いて宣伝したため、南部を応援する欧州エリート層は戦意を萎縮させ、北軍の勝利となった。つまり、奴隷解放はリンカーンが利用した“錦の御旗”にすぎない。つまり、上記の単純な南北戦争の目的=人種差別主義の克服という理解は成立しない。(補足2)

確かにリー将軍が戦った相手は、奴隷廃止を旗頭にした北軍であった。そして、嘗て黒人を奴隷として持ち、それを米国は廃止した。内戦の中で奴隷廃止が片方の旗頭になった歴史を持つ。その歴史を経て、現在のアメリカが存在する。国家を一人の人間に置き換えれば、今回の騒動が如何に馬鹿馬鹿しいかがわかる。善悪の堺で揺れた男が、心の葛藤を経て善を選んだ。その当時の悪の方向に揺れた自分の思い出を全て捨て去ることが正しいのか?

現在のアメリカは、当時の南北アメリカを引き継いで存在している。歴史は紆余曲折を経て今日の世界につながっていると思う。その曲がりくねりは解釈する者によって千差万別であるので、その歴史と文化を独自に裁くことはしてはならないと思う。つまり、当時の視点から離れて歴史上の事件や人物を現在の視点から評価するのは全くの間違いである。(補足3)

像の撤去に反対してデモを行ったのが、白人至上主義者だったので、リー将軍が白人至上主義の象徴になってしまったようだ。そこで、人種差別に反対する人が集まって衝突したのである。2日程前のツイッターで、トランプ大統領は両方を批判したのは、歴史を簡単に現在の視点で勝手に裁くなという意味だと思う。

南北戦争を奴隷解放の戦争と考えるのは間違いであるにも拘らず、両方のグループが、南北戦争の南軍の英雄であるリー将軍の像が、現在この時空で奴隷制度賛成をとなえている様に錯覚しているのではないだろうか。

2)この件に関して外務省主任分析官だった、作家の佐藤優氏はこの時の白人至上主義者の行動(デモ)に反対しないトランプ大統領を非難している。https://www.youtube.com/watch?v=pUIrj-RWtGo (8:40以降)

このラジオ番組では、先ず事件の概要が東京新聞の記事から引用して以下のように紹介されている。
「トランプ米国大統領は17日、南北戦争で奴隷制存続を主張した南軍兵士らの記念像などを撤去する動きが各地で広がっている現状につき、ツイッターに偉大な我が国の歴史と文化が引き咲かれるのを見るのは悲しいと書き込んだ。更に、歴史はかえられないがそこから学ぶ事ができると主張し、南軍司令官のリー将軍などの記念像撤去を例示し、次は誰か、初代大統領ワシントンか、本当に馬鹿げていると批判している」。

この紹介には、リンカーンの戦術であった「奴隷解放の旗を掲げること」をそのまま、南北戦争の目的ととらえる誤解(多分作為的)がある。

この紹介に基いて、歴史的建造物の破壊を主張するグループとそれに反対するグループの衝突を、衝突した二つのグループの特徴から、白人至上主義者とそれに反対するグループとの衝突と捉え、白人至上主義者の方を非難しないのはおかしいと言っているのである。これは論理的に破綻していることを補足に示す。(補足4)

南北戦争の理解や今回の衝突に関するトランプ大統領の指摘は、恐らく米国の知識層には常識的だろうし、博識の佐藤優氏も理解しないはずはない。しかし、佐藤氏は「トランプ氏が大統領にになって、アメリカで克服されたはずの人種差別主義が吹き出し始めている」と言ってトランプ批判をしている。更に佐藤氏は、聞き手との対話で、ロシアとイスラエルは白人の国だから、トランプ大統領は親和的であると言って、トランプ大統領を白人至上主義者と乱暴に決めつけている。

3)南軍のリー将軍の銅像が現在まで存在したのは、それなりに偉大な人だと考える人がかなりいたのだろう。その銅像をこの時期に撤去することを決めたのは何故なのか。それは、おそらく上記のような騒動を起こすことや、それに対するトランプ大統領の態度を予想して、トランプ氏を大統領の座から引きずり下ろそうとする一派の企みの可能性が高い。 それをそのまま認める佐藤氏の言動には、その一派と同じ政治的な意図を持っているのだろう。

トランプ大統領の指摘は、「奴隷制度は歴史的事実であり、ワシントンは奴隷を使役する大農場をもっていた。その理由でワシントンの銅像を破壊するのは愚かなことだ」という極めて常識的なことである。歴史的な記念物の撤去は、慎重にやるべきであり、現在の政治に影響しないようにするのが鉄則だろう。

佐藤氏は、米国は人種主義を克服した筈だというが、そんな筈はない。何故、今でも丸腰の黒人青年が白人警官に射殺されるのか? そして、その警察官が重罪に問われることは殆ど無いのは何故なのか? 米国は異る人種が混ざって住み、時々人種間の憎しみが事件として現れる。しかし、米国民はそれを克服して、全体としてまとまろうと努力している。

人種差別主義との戦いは、世界の人間が共有する問題でもある。そして、今後も人類はそれと戦い続けなければならない。それは異なる人種が存在する限り、永遠の戦いである。その戦うという気持ちの共有が大事なのであり、人種主義の象徴を破壊することが大事なのではない。

「人種差別主義との戦い」を安易に政治利用することは、慎むべきだ。

補足:
1)ワシントンやジェファーソンが出てきたのは、それなりにエピソードがあるからである。つまり、米国の初代大統領のワシントンは、大農場で大勢の奴隷を所有していた。3代大統領のジェファーソンは、政治姿勢は奴隷制に反対だったが大勢の奴隷を所有していた。そのほか、微妙な話があるようだ。
2)元々奴隷の少ない北部が、命をかけて南部の奴隷を解放するために戦争を行ったというのは、民主党的美談ではある。
3)イスラム過激派が、占領地の異教の歴史的建造物を破壊するのは従って間違いである。
4)交通法規の厳格化を主張する人たちとそれに反対する人たちが衝突したとする。前者が老人たちであり、後者が若者達であったとした時、その本来の問題を捨て去って、「どこそこで、老人と若者の衝突があり、けが人がでました」と報道しているようなものである。だからといって、そこで敬老精神のない若者を非難しない安倍総理はおかしいと、流石の佐藤さんも言い出す筈はないだろう。

2017年8月18日金曜日

大学授業料無償化は、学生と大学の両方をスポイルする

1)安倍政権が大学の無償化を考えているらしいが、本当に愚かな人だ。大学無償化で喜ぶのは加計学園の理事長だろう。くだらない大学に無限大の補助金を与えるような政策には断固反対する。安倍さんはやっぱり何もわかっていない。こんな政権は早く潰れた方が良い。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170817-00050040-yom-pol

全ての人が大学教育を受ければ、それだけで社会の平均の労働生産性が高くなると思っているのだろうか?多くの人が安易に大学に行くことになり、大学教育にふさわしくない人は単に遊び癖をつけることになるだろう。それは社会に役立たない人の大量育成になってしまう。現状では、高い授業料を払ってでも行きたいと思う人のために、各大学は教育に特色をつけたり、高度な看板学部を持つなどの努力をしているだろう。大学授業料無償化は、学生と大学の両方をスポイルするだろう。米国の大学を考えれば良い。一流の大学はその高度な教育研究環境にふさわしい授業料をとっている。

この大学授業料無償化は元々、維新の政策らしい。こんなことを言い出すとは思わなかった。橋下徹氏は本当にその政策を正しいと考えているのなら、これまでの橋下氏に対する評価を取り消さなくてはならない。大学授業料の無償化ではなく、奨学金の拡充という形で、教育費負担軽減を考えるべきだろう。一部は給付型にし、残りについては、卒業後の給与にかかる所得税相当分をそのまま奨学金返還金とするなどの方法により、優秀な学生の負担を軽減すると良いと思う。

2)現在日本は知的デフレスパイラルにある。その原因は正に大学のレベル低下である。2013年1月27にヤフーの知恵袋にこの件について投稿したことがある。https://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n150047ここにその考えを再録するが、その結論は、「大学への助成金を大幅に減額すべし」である。無償化の全く逆である。「大学への進学費用は、それにより得る利益を受ける側が負担すべきであり、それにより、まともな大学のみが生き残り、従って大学はその人事(教員の人事が知的デフレの元凶だと考えている)を必死に考えるだろう」と結論している。

今朝のニュースステーションでは、桜宮高校での体罰事件から、小学校からの英語教育、更に学校の教育行政まで広範な議論がなされていた。その最後の部分で、出席者の一人である大学の先生から、今一番改革を要するのは大学であるという意見もあった。つまり、大学が終着駅と見なされているから、その終着駅がいい加減だから、高校以下の教育が上手く行かないのだという考えである。

大学で教育を受けた人が社会に出て、その一部が小中学校から大学の教員になる。大学でいい加減な教育を受けた人間が小中学校の教員になるのだから、そこでの教育レベルは低下するのは当たり前。つまり、日本国は知的デフレスパイラルになっているのである。つまり、大学を改革出来れば、そのデフレがインフレに転換できるかもしれないという意見だと思う。

日本の経済対策として聞いた話に似ている。更に、日本の小中学校長には人事権や予算執行権がないので、組織のトップとして何もすることが出来ない。その原因は米国が戦後作った教育行政の枠組みがそのままにされているからであるとの話。あれもこれも全て、戦後の枠組みから脱却しないで米国依存を決めこみ何もしなかった自民党政治と、その中で育まれた霞ヶ関官僚たちの独裁体制の相互依存制に問題の根幹があるようだ。

この知的デフレスパイラルも経済的デフレスパイラルも、今まで何もしなかった自民党が生まれ換わって改革できるというのだろうか?このような議論を展開すると最後は、日本の文化にまで話が及んでしまう。

元に戻って、日本の知的デフレスパイラルの原因としての大学の能力低下(注1)であるが、その原因は大学の人事にある。大学教員の実質的な人事権を教授会が持つことがこの知的デフレの出発点である。より具体的には、その人事制度により、助教(昔の助手)が出身講座の大学院修了者から選ばれることになり、その大学助手が最終的にどこかの準教授や教授になり、大学のレベルを決めることになるのである。一旦レベルが低下し始めると、際限なく低下する。

そのプロセスは、英語の諺「一級の人間は一級の人間を選び、二級の人間は三級の人間を選ぶ」(注2)を思い出すと容易に想像できる。問題は、その大学出身者が大学だけでなく日本の全ての分野でのレベルを決める点である。 このデフレスパイラルを改革するには、出発点である助教の人事を、例えば客観的指標を決めるとともに人事プロセスを公開するなどで改革する必要があると思う。更に、もっと根源的な部分で、大学行政への国の関与の仕方である。

私は、大学への助成金を大幅に減額することを提案する。大学への進学費用は、それにより得る利益を受ける側が負担すべきである。それにより、まともな大学のみが生き残り、従って大学はその人事を必死に考えるだろう。

注釈:
注1) 日本はノーベル賞をかなりとっており、大学のレベルが低くないのではないかという意見が出てくるかもしれない。しかし、ノーベル賞の大半は数十年前の業績に与えられているのであり、現在の大学のレベルを繁栄していない。また、東京大と京都大だけが大学ではない。現在の大学のレベルは、世界の大学ランキングが参考になる。
注2) First rate mathematicians choose first rate people, but secondrate mathematicians choose third rate people. ネット検索ではこの言葉しか出てこないが、NHKビジネス英会話の中で数学者ではなく単に人のpeopleが使われていたと思う。

朝鮮人徴用工問題:強制連行と奴隷労働のでっち上げ

1)戦争の時の徴用工問題では、特別の場合をのぞいて、日本側雇用者に支払い義務はない。特別な場合とは、給与の未払いとか、その企業で特別に半強制的に給与の一部を寄付させられたなどである。

日韓基本条約と付属する協定により、個人補償の問題は韓国により放棄されている。つまり、日本本土の人と同様に徴用工として働かされたというだけでは、日本企業は賠償要求に応じる必要はない。ただし、上記のように私的な貸し借りの清算などがなされていない場合には、国家の枠組みが大きく異なった戦前と戦後の間であってもその債務関係は消えないだろう。

以下のサイトには朝鮮人徴用工の給与等の支払いデータを元に、そのような問題は存在しないと記述している。十分説得力がある。元々この問題は軍艦島のユネスコ世界遺産への登録申請の時に出たようで、その際、韓国が反対するための口実に徴用工問題を出した。http://www.thutmosev.com/archives/36682630.html

この世界遺産登録の際、日本が韓国の申請してきた百済遺産に賛成し、韓国は日本の明治遺産(軍艦島など)に賛成する事前合意がなされていたという。ところが世界遺産委員会で、韓国側が突然日本側申請の施設で朝鮮人が強制労働をさせられていたという主張を出し、外務省役人が日本の明治遺産登録への賛成を得る目的なのか、それを認めてしまったということである。

韓国と何かを協力するという件では、政府高官レベルで慎重に話を詰めなければ、朝鮮系スパイが大勢日本の社会全体にいる現状では失敗する可能性大である。それは今や、外務省の常識のイロハだと思うのだが、要するに役人も人材劣化が進んでいるのだと思う。

2)今年8月8日にも、三菱重工に対して、朝鮮人徴用工の訴訟の判決が韓国で出た。第2次大戦末期に三菱重工に動員された元朝鮮女子勤労挺身隊の韓国人女性と遺族の計2人が、同社に損害賠償を求めた訴訟の判決が韓国地裁であり、地裁は同社に日本円で約1200万円の支払いを命じた。http://www.sankei.com/world/news/170808/wor1708080019-n1.html

この新聞報道によると、“原告女性らは中学生ごろの1944年、名古屋にある三菱重工の航空機製作所で、賃金なしに「強制労役」させられたとして、女性と遺族がそれぞれ、1億5千万ウォンと3千万ウォンの損害賠償を求めて提訴していた”と書かれている。

この場合、賃金が支払われていなければ、通常の未払い賃金の支払い要求として認められるだろう。民法上の時効があるが、国が分割されて三菱重工本社とは別の国に居住するので、今まで諦めていたのかもしれない。その場合でも、「強制労役」についての補償は、通常の徴用工だったのだから根拠はないので、その部分については支払い分は減額されるべきである。

新聞報道では、「給与は支払われていたのかどうか」という重要な問題に対して、何もコメントしない。おそらく、日韓基本条約と付属の協定を十分読んでいないので、その重要なポイントに気づいていないのだろう。こちらは新聞記者の人材劣化である。

2017年8月16日水曜日

中国共産党の街宣車が“解放”を訴える沖縄の現状

日本本土の人たちは、筆者を含めてあまり沖縄の現状に詳しくない。それは日本の報道機関があまり報じないからである。表題に書いたように、沖縄では中国共産党の街宣車が“沖縄解放”を訴え、本来尖閣だけでなく沖縄も中国の一部であると堂々と宣伝しているのである。以下に概要を記す。

現在、沖縄県知事の翁長氏は、中国福建省にある福州市の名誉市民であり、筆者には沖縄を中国の一部にすべく反日及び反日米安保活動を続けている様に見える。勿論、いきなり併合は出来ないので、先ずは琉球を独立させ、その後実質的に併合することを考えているのだろう。実質併合とは、昔の朝貢国のような形にして、中国と琉球との間の安全保障条約などを結ぶ関係の構築である。(補足1)

恐らく、現在の日米関係と相似の琉球中共関係を考えているだろう。その時には、嘉手納から飛行機がとんでも、また、仮に墜落したとしても何にも住民には言わせないだろう。

表題に書いた中国の街宣車のメッセージを一度聞いて貰いたい。https://www.youtube.com/watch?v=lg3XgbM9gJc 私が聞き取った内容の一部は以下のようである。

「中国共産党の最終目標は差別のない格差のない平和な沖縄を作ることです。中国共産党人民軍とともに沖縄を解放しましょう。こちらは尖閣諸島だけでなく、沖縄全体も自分のものだと本気で考えている中国共産党沖縄街宣部の友の会です。オスプレイを配備して基地機能を強化するのは差別以外の何物でもありません。中国共産党友の会と一緒になって、オスプレイ配備を撤回させ、差別のない世界をつくりましょう。普天間飛行場の周辺は住宅が密集しています。オスプレイが墜落したら大惨事になります。」

以下のブログサイトに、街宣車の放送内容の詳細が書かれている。 https://ameblo.jp/the-snark2/entry-12240222439.html

上記内容の内、下線部分の文章は日本人のものではないだろう。特に「本気で」を此処に用いるのは、日本人の発想にはない。つまり、明らかに外国人による作文であり、この街宣活動は沖縄県人や本土の活動家が、中国共産党を名乗って行っているのではない。日本国は、このような街宣車すら取りしまる事ができない情けない国なのだろうか。

そのほかに、日本人でも中国共産党に協力的なデモや騒ぎを起こす連中も多い。その一人が沖縄平和運動センター議長(補足2)の山城博治被告である。彼は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の反対派のリーダーで、その運動は暴力的であり、現在、器物損壊、威力業務妨害、公務執行妨害、障害などの罪で裁判中である。

ジュネーブにある国連の人権理事会では、山城博治氏が「自分の逮捕は人権侵害であり、抗議活動からの離脱を迫られた」と演説した。同じ人権理事会で(今年の6月14日)、沖縄県名護市出身の専門チャンネルキャスターである我那覇真子氏が、彼のような暴力的な運動に反対して、「沖縄では地元住民の人権と表現の自由が外から来た基地反対活動家や偏向したメディアに脅かされている」と訴えた。http://www.sankei.com/politics/news/170615/plt1706150037-n1.html

その中で、我那覇真子氏は「(山城被告は)威力業務妨害、公務執行妨害、不法侵入、傷害など複数の犯罪で逮捕され、現在保釈中である。日本政府が人権と表現の自由を脅かしていると演説しても、それは真実ではない」と主張した。(補足3)つまり、山城被告が公判中にも拘らず、国連で演説することを許されるのは、日本が人権と表現の自由を重視している証拠なのだ。

沖縄の現状は以上のようであり、国連を利用して米軍を追い出そうという企みにまで事態は進んでいることを、日本国民は真剣に考えるべきである。 ちなみに、昨日リリースされたyoutubeでは、我那覇真子さんが靖国神社で感動的な演説をしている。私はこの意見に完全には同意しない(補足4)が、堂々と国家の防衛を口にする彼女の姿に感銘を受けた。https://www.youtube.com/watch?v=hEZ15p6QOls 

補足:
1)朝貢国は、実質的には中国の属国ではない。中国に貢物をする使節を派遣することで、その時の中国王朝の正統性を認める国である。それは中国の王朝にとってはありがたいので、土産物として貢物よりも多く持たせて帰したと言われている。
2)沖縄平和運動センターは、沖縄に存在する日本の社会運動団体である。社民党、沖縄県教職員組合、沖縄社会大衆党などに支援されている。前衆議院議員の杉田水脈氏(次世代の党所属)は、この団体の構成員の多くが社民党所属であり、代表の山城の後援会の活動資金の多くが「社民党からの寄付」で運営されていると述べている。http://www.sankei.com/politics/news/170402/plt1704020001-n3.html
3)そのような我那覇真子氏の国連人権理事会での演説を、琉球新報などの沖縄左翼系新聞は無視して掲載しないと、参議院議員の青山繁晴氏は指摘している。http://japan-plus.net/724/
4)私の意見は、以下のブログに記している。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42916105.html

2017年8月15日火曜日

トランプ大統領が北朝鮮に吠える目的

1)「何故トランプ大統領は北朝鮮を挑発するか:3つのシナリオとその共通項」と言う題目の話を、国際政治学者の六辻彰二という方が、ヤフーニュースに書いている。https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20170812-00074441/

3つのシナリオとは、ロシア疑惑などの国内問題の比重を小さくさせる、ミサイル防衛システムのテストを含めて改良の機会とする、姿勢の異る二人で北朝鮮を話し合いの座につかせる計画で、トランプ大統領が硬派を受け持つというもの。それらの共通項として、北朝鮮はすぐに米国本土をミサイル攻撃しないという目算が存在するという。

素人の私には一番最初のシナリオ以外は、可能性としては無視できると思える。それよりも、これを機に、ミサイル防衛システムの売上をあげようという目論見の方をシナリオに加えるべきだろう。その視点からは、ミサイル防衛システムの実践的試験はやりたくない筈である。

米国の基本的戦略は、自国の防衛は敵地核攻撃能力で達成し、ミサイル防衛システムの整備はそれを補完することと軍需産業の育成が目的だと思う。日本や韓国などの同盟国にミサイル防衛システムを高値で売りつけ、設置したシステムを共同管理して、仮想敵国のミサイルのレーダー検知能力を高めるのである。

「北朝鮮を米国との話し合いのテーブルにつかせる」のが、本当の目的なら、この数十年間何時でもできた。北朝鮮が米国との直接話し合いを要求してきたにも拘らず、それを避けるために、6カ国協議を作ったことを、米国は棚上げにしている。ICBMらしきものを発射したからという理由で、急に「北朝鮮を話し合いのテーブルにつかせる」なんて、よくも言えたものだ。

その言葉を借りて、硬軟二人組の刑事役の硬派をトランプ大統領が演じるなんて、そんなことを言う国際政治評論家がいることが不思議だ。

2)「北朝鮮にとって最善の策は、これ以上アメリカを脅さないことだ」とトランプは米ニュージャージー州にある自分のゴルフ場で記者団に語った。「彼(北朝鮮の金正恩党委員長)の脅しは常軌を逸している。北朝鮮は世界が目にしたことのないような炎と怒りに直面するだろう」

この話を聞いて、そのまま受け取る人は全くこれまでの経緯に無知な人だろう。このような言葉をゴルフ場で語ったことが全てを象徴している。米国民はもっと真面目にこの事態を、歴史的事実の復習から始めて考えるべきである。

ティラーソン長官は「我々はあなた方の敵ではない。我々は体制転換を求めておらず、体制の崩壊を求めておらず、半島の再統一の加速を求めておらず、38度線の北側に米軍を送る口実を求めていない。我々はあなた方の敵でなく、あなた方の脅威でもないが、あなた方は我々を受け入れがたい脅威にさらしており、我々は対応しなくてはならない」と述べたという。そして、どこかの時点で対話をしたい考えも示したという。http://www.bbc.com/japanese/40798738

しかしである。下線部分で、北朝鮮との見解が全く一致しないということを、ティラーソン国務長官は認識している筈である。つまり金正恩に言わせば、「これまで脅してきたのはどっちなのだ」というに決っている。軍事力で言えば、北朝鮮は未だに火縄銃であり、米国は機関銃で装備している。北朝鮮は中国と組んで、38度線近くで毎年演習をしているわけではない。韓国と組んで、毎年演習を繰り返しているのが米国の方である。

因みに、日本国はアメリカ親分の庇護のもとにある。強い親分の下にいることは差し当たり安心だが、その親分が倒れた時、或いは、親分に見放された時には、周囲からのイジメは過酷を極めるだろう。また、親分が行けと言ったら、地獄の中にも飛び込まなければならない。兎に角、親分が一目置く位の存在感を持つ子分に早くならなければ、未来は真っ暗である。

3)同盟国である韓国と日本が、北朝鮮の核ミサイルから受ける脅威について、米国もようやく考えてくれるのなら歓迎である。本当は、日本にも核武装の権利を認めてくれるのなら、もっとありがたい。しかしその前に、北朝鮮との互いに鉾を相手に向むけた対決の姿勢から、両方とも鉾を納めて、話合いにつくのが良いかもしれない。(補足1) 

ところで、話し合いのテーブルに就くつもりなら、鉾を先に納めるのは強い方であることが、米国に分かっているだろうか。それは、農村で生きてきた日本人の文化では当たり前のことだが、遊牧民の文化を持つ米国などでは理解不能かもしれない。 

日本では、相手の面子を考えて、姿勢を低くして相手が望むものを差し出す文化がある。空腹である人に食物を裾分けする時などには、「もし良かったら、貰っていただけませんか?」と言って差し出す。それは、欲望を満たす行為は動物と同じ行為であり、人間であるというプライドを保持できない瞬間を作ってしまう可能性がある。自分のその瞬間を想起させるような形で、食物を差し出されたのでは受け取れないからである。 

つまり、トランプ大統領が吠えるのは、ティラーソン国務長官の一見優しい話し合いの申し出を、「お前が屈服するのなら、話し合いの開始始も考えないわけではない」という言葉に翻訳しているのである。米国が、話し合いなどやりたくないのでなければ、日本人の文化、農村の文化に学んでもらいたい。

このままではトランプ大統領の吠え声は、「ティラーソン長官の言葉は、世界に向けたメッセージであり、北朝鮮向けの言葉ではない」という意味であると、世界は受け取るだろう。  (以上、素人の分析です。適当に読み飛ばしてください。)

補足;(17:20追加)
1)「かもしれない」としたのには訳がある。それについては既に論じた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43365154.html
再度エッセンスをここに書く。北朝鮮と米国が無事講和した場合、必然的に朝鮮半島は連邦制かどうかしらないが統一に向かう。その結果、核保有国で中国よりも遥かに反日的な国家がすぐとなりに出来る。北朝鮮とは日朝基本条約をその前に結び、経済協力金をたんまりむしり取られる可能性が高い。更に、朝鮮半島中のバスの中に慰安婦像を載せて、ゼロから作り上げた慰安婦問題の風化を防ぎ、「歴史認識が足らない」と脅すことで、必要な時に上納金を脅し取られる羽目になる可能性もある。米国は東アジアに居残る根拠(=朝鮮戦争)をなくし、グアムより東に後退しており、日米安保条約も存在するのかどうか怪しい。日本国民はそれでも、非核三原則と非武装こそ平和への道だと議会と放送局を抑えた半島系の人たちのプロパガンダを信じているだろう。

2017年8月14日月曜日

誰が日米戦争を始めさせたのか:現在まで続くゾルゲや尾崎秀実ら共産スパイの日本国に与えた影響

1)元朝日新聞記者で、リヒャルト・ゾルゲ(コミンテルンのスパイ;ドイツ人)グループの一員だった尾崎秀実が逮捕されたのが、1941年10月15日であった。米国との戦争回避のために日米交渉をしていた近衛文麿が、交渉が暗礁に乗り上げたために総理大臣の職を投げ出したのが、翌日の10月16日(事務的にはゾルゲが検挙された10月18日;半島一利著「昭和史」p164)である。

尾崎秀実は総理大臣秘書官であった牛場友彦(補足1)の斡旋で第一次近衛内閣(1937/6/4-1939/1/5)で内閣嘱託となる。その地位は、第二次、第三次近衛内閣(1940/7/22-1941/10/18)まで続く。

近衛文麿は何故、突然総理大臣を投げ出したのか? 半島一利さんの上記昭和史には尾崎のことは書かれていない。しかし、本当はこのゾルゲ事件の発覚だったのではないだろうか。(補足2)何故なら、日米戦争を避けるべく駐米日本大使の野村吉三郎を通じて交渉をしていたが、日本側の考えの全てが、尾崎、ゾルゲ、米国のスパイであるハリー・ホワイトを通して、国務長官ハルに筒抜けだったからである。(この話は、近代史研究家の落合道夫氏の動画による。https://www.youtube.com/watch?v=h4UjCTktbrw

渡辺惣樹氏のフーバー元米国大統領の自伝の解説書「誰が第二次世界大戦を起こしたのか」の中にも、日華事変を終結させることが出来たかもしれない(つまり、日米戦争が避けられたかもしれない)トラウトマン和平工作を、尾崎秀実の工作で近衛文麿が潰してしまったとの記述がある。副島隆彦の「仕組まれた昭和史」の中にも、米国の工作で日華事変が拡大したとの記述がある。

当時の米国政府内にはソ連のスパイが大勢(数百名)いたことは事実であり、後赤狩り旋風が起こるまでその状態が続く。このハリー・ホワイトが実質的にハルノートを書いたことは、多母神氏の講演でも述べられている通りである。https://matome.naver.jp/odai/2130527430107993901

つまり、米国などにあった国際共産主義運動の一環として、中国に共産党政権を実現するため、蒋介石など国民党と日本を戦わせたという筋書きである。この記述は馬渕睦夫氏の「国難の正体」にあったと思う。その作戦で駒として使われたのが、ハリーホワイトであったり尾崎秀実であったりしたのだろう。巨大な陰謀の渦が、米国を中心にして世界に渦巻いていたのだろう。

現在、テレビなどで活躍している米国盲従の外交評論家の人たちは、上記のような陰謀論をまるでインチキ宗教のように毛嫌いし、孫崎享氏や馬渕睦夫氏らという自分たちの先輩までも、落ちぶれ外交評論家のように言う。

そして、現在その最終段階にある朝鮮戦争も、馬渕睦夫氏の本では米国が作った戦争であると書かれている。つまり、マッカーサーによる朝鮮半島を自由主義圏として統一してしまおうという提案を、トルーマン大統領が拒絶したのである。そして、マッカーサーを連合国司令長官の職から解雇した。

どちらが真実なのかは明らかだろう。反日メディアであるテレビなどマスコミに頻繁に出る方が、正統派ぶったインチキである可能性が大きい。 

2)馬渕氏らの本によると、米国の支配層は同じ勢力である。その後戦略は国際共産主義運動ではなく、グローバリズムになっただけである。それらの本質は、国境のない地球国家を目指すものである。オバマ政権までは、米国の戦略はその延長戦上にあった。トランプ政権はそれを180度変更する予定だったが、抵抗が強いようである。つまり、現在の米国に国際共産主義運動はもちろん残ってはいないが、コアを共有するグローバリズムは普遍的である。その時代に作られた考え、その後遺症や破片などは、容易に無くならない。世界で敵なしの状態では尚更である。

先週金曜日に書いたブログで言及したが、北朝鮮がグアムに向けたミサイルに言及する際、何故わざわざ島根、広島、高知の名をあげたのか。これは米国と北朝鮮の合作の可能性もあリえる。つまり、高度の関係で破壊が不可能であっても迎撃ミサイルを日本に撃たせ、北朝鮮の敵国として日本を矢面に立てる戦略である。

北朝鮮は、同じ民族であり、且つ、親北朝鮮の文在寅が大統領になった韓国を攻撃したくない。しかし、振り上げた拳をそのまま下ろすのでは、金正恩はメンツを潰す。もちろん、米国を真正面から攻撃したのでは北朝鮮が潰れてしまう。そこで、北朝鮮と韓国の共通の敵である日本を攻撃するのである。しかし、日本は朝鮮戦争の当事者ではないので、口実がない。その口実を作るのに、丁度良いのがグアム近くの公海に打ち込むと言ってミサイルを発射し、それを迎撃させるのである。

一方の米国であるが、米軍はおそらく自衛隊と共同演習などをしているうちに、青山繁晴氏がしばしば言うように、両軍は互いに信頼感をもっているだろう。しかし、米国の支配層には未だに日本に対する嫌な気分が存在するだろう。それは憎しみというより、生理的嫌悪感的な感情の可能性がある。つまり、日本は米国にとって非常に目障りである可能性がある。

それは、日本が唯一自分の醜さを写す鏡かもしれないからである。日本が存在する限り、毎年8月になると原爆を無防備な都市の無垢な子供や女性までを皆殺しにした、自分たちのナチス以上の人道的犯罪が宣伝される。この感情は、米国人の心の奥底に存在するハードコア(The hard core)だろう。日本は大変な国と戦争をし、その飼い牛になったと思う。

北朝鮮のミサイルを迎撃すれば、日曜朝のサンデーモーニングで、韓国系の二人の評論家の方々が心配された事態(日本にとって悲劇的な事態)を招くだろう。それに比べて、日本の評論家岡本行夫氏は、届かなくても日本は迎撃すべきだと言っていた。この様な米国の犬的人物(ソフトバンクの宣伝の犬:白洲次郎的な犬)が外務省には大勢いる。彼らのような学校秀才のバカが日本を滅ぼすのだろう。

米国は多くの渡来人からなる人工的国家である。そのため、多くの民族と人種を持つ人類が、平和的共存を実現するための戦いのフロントである。その意味で、米国に対し尊敬と期待を持つ人は多いだろう。多民族が互いに理解し合うためには、できるだけ情報をオープンにし、個人の自由と民主主義の原則を守ることが必須条件である。

その正に近代国家(未来国家というべきかも)としての条件を実現しようと、世界で先頭に立って努力している国である。昨日バージニア州であった白人至上主義者とそれに反対する群衆の衝突事件でもわかる様に、米国はその本来人類共通の課題である筈の戦いに対して、日々犠牲も払っている。そのような米国と歪んだ関係しか持てないのは、日本にとって本当に残念なことである。
(これは素人のメモです。適当に読み飛ばしてください。)

補足:
1)実弟は外務事務次官(1967/4/14-1970/7/10)、及び福田赳夫内閣の時に対外経済担当大臣を務めた牛場信彦である。
2)半島一利氏の本では、近衛首相は、ルーズベルト大統領との直接話し合いを希望したが拒絶され、日米和平の試みが消えたと書かれている。

2017年8月13日日曜日

池上氏の「戦争を考えるスペシャル」は、戦争を考えていない

今テレビで「池上彰戦争を考える、特攻とは何だったか」をやっている。先程から見ているが、この番組では戦争を考えていない。戦争を考える時、その中心課題は、一般論なら「何故戦争になるのか」「戦争を避けるにはどうすべきだったか」「戦争が避けられない時には、どうすれば負けずにすむか」「負ける戦争に巻き込まれたのなら、講和を如何に有利にするか」などであるべきである。

対象が太平洋戦争なら、それらのテーマを具体的に考えるべきである。つまり、日華事変というターニングポイントで、日本に何が欠けていたかが重要である。しかし、この番組では単に戦争の悲惨な場面を見せて、人を恐怖に陥れているだけである。これでは戦争について何もわからない。非常に愚かな番組である。池上さんの知性を考えると、要するに反日敎育をしたいだけのようである。

現在のタイミングなら、戦争を考えるスペシャルを放送するのなら、如何にして北朝鮮の脅威から逃れるべきかを放送すべきである。明日にも、日本が第二次朝鮮戦争に巻き込まれる可能性がある時に、何を下らない放送をしているのか。

先日の北朝鮮高官の発表にあった、「島根、広島、高知の上空を経てグアムから30-40km離れた公海にミサイルを打ち込む準備をしている」という表現の裏に何があるのか、それを考えるべきである。国民が十分考えて、日本政府に何らかの意思を表明すべきである。

それが現在、「戦争を考える」という場合のメインなテーマであるべきである。池上は何を考えているのか。

北朝鮮のミサイルがグアムに向かって発射された場合、高度的に日本の迎撃は不可能である。もし、米国が迎撃して誠意を見せろと言って来た時、どうするのか難問である。つまり、日本が無駄な攻撃をすれば、その後は北朝鮮の核の脅威に曝される。その言葉を無視すれば、サンデーモーニングで岡本行夫氏が言っていたように、日米安保体制が崩壊する可能性がある。

しかし、もし米国が不可能な迎撃をしろと強硬に言うのなら、上記「島根、広島、高知」という不可解な言葉の挿入は、米国と北朝鮮の合作の可能性があると思う。その点について熟考すべきであると私は思う。

追加:9:30 1) 今気がついたらNHKでは、731部隊の生物兵器開発の場面をやっている。池上氏の番組より遥かに酷い内容である。研究者向けのビデオなら、このような番組はあり得るが、一般向けに放送すべき内容ではない。つまり、手術や屠殺の場面を一般人に放送してみせることなど、考えられないのと同様の理由である。この件、武田さんが非難しておられ、それに同意する旨のコメントを書いた。NHKは反日分子が放送局を牛耳っているらしいので、総務省が監督官庁なら、早急に解体すべきである。何処もかしこも放送局は全て、反日分子に牛耳られているようだ。嘆かわしい。

2017年8月11日金曜日

米国と北朝鮮の抗争の深部に何があるのか(覚書)

ヤフー知恵袋に投稿した回答を修正加筆し、北朝鮮問題の覚書を歴史的に記します。

1)北朝鮮が核兵器の開発を開始したのは、米国が朝鮮戦争終結の話し合いに応じなかったからである。現在休戦状態だが、休戦協定の中に外国軍の朝鮮半島から引き上げを記した条項があり、それに違反して(補足1)米軍は韓国に居座った。そして、毎年、朝鮮半島有事にそなえて米韓軍事演習をして北朝鮮に圧力をかけている。(http://tafuo.com/archives/441

そこで、核兵器をもって実力をつければ、米国も朝鮮戦争を終わって講和の話し合いに応じるだろうと金日成は考えた。その後を継いだ金正日、金正恩も同じ路線で、核開発を加速度的にすすめているだけである。まるで金正恩を狂犬のように言及する日本のマスコミは、以上の事実にあまり言及しない。

北朝鮮は国連に加盟しており、世界の殆どが承認している。米国韓国日本だけが承認していない主な国である。北朝鮮の核兵器開発に対する国連制裁も、大量破壊兵器を持つのは常任理事国だけだという勝手な理屈を前提にしているだけである。(補足2)

米国は何故、朝鮮戦争を終結しないのか?それは東アジアに楔を打ち込み、それが抜けないように監視するためだと思う。つまり、朝鮮戦争は、米軍を韓国と日本に駐留させる根拠である。

何故そのようなことを米国は考えるのか? それは、東アジアが将来の米国の脅威となると考えているからだと思う。米国が避けたいのは、日本、中国、朝鮮が団結することである。(補足3)それを避けるべく、中国と日本の間、日本と韓国の間に夫々楔(くさび)を打ち込んでいる。日本と韓国との間の楔は、反日の李承晩を韓国の初代大統領にすることで作られた。李承晩は、徹底的に反日宣伝を国民に向けて行った。

ニクソンとキッシンジャーが中国との関係改善に動いた時、田中角栄は素早く日中国交回復を成し遂げた。それをキッシンジャーが「ジャップの裏切り者め」と悔しがったという話を聞く。http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_he/a6fhe650.html そのキッシンジャーが、トランプ政権の外交アドヴァイザーとして居ることに注意が必要である。

米国が日本に対して恐怖を持っているなんて、何を馬鹿なと言う人が殆どだろう。しかし、その感覚は未だ米国一般民からなくなっていない。そのあたりは、元米国海兵隊員のマックス・フォン・シューラー氏の「「太平洋戦争」アメリカに嵌められた日本」に書かれている。そして何よりも、キッシンジャーやクリントンが親近感を持っている(補足4)中国は、経済大国となりいまや米国の第一の脅威でもある。

そして、日本がまともな国家になれば厄介なので、日本のまともな政治家はことごとく失脚させている。(補足5)その結果、吉田茂以下の米国盲従派が日本の与党となっている。尚、日本の官僚は米国従属主義である。それは官僚たちの利益に叶うからである。それについては田中宇さんの記事を読んで貰いたい。http://tanakanews.com/160511trump.htm (最後の2文節)

2)朝鮮人民軍の金絡謙戦略軍司令官は「朝鮮人民軍が発射する『火星12』は日本の島根県、広島県、高知県の上空を通過する。そしてミサイルはグアム沖30─40キロの海域に着弾する」と発言した。わざわざ「日本の島根、広島、高知の上空を通過する」と言ったのはなぜか。それを分析しなければならないと思う。

差し当たり二つの解釈が頭に浮かんだ。一つ目:日本に対する警告であり、事態が急変しないように米国へ働きかけることを催促する意味がある。二つ目:米国に対して日本に集団的自衛権の行使という形で迎撃を要求する根拠を明確にするためかもしれない。

一つ目の解釈であるが、私は北朝鮮の脅しが有る無しにかかわらず、日本は米国に対して朝鮮戦争の終結と講和条約締結を勧めるべきであると思う。北朝鮮が日本の地名をあげて計画を発表したのは、それを日本に進言(依頼)したとも取れる。講和条約と国家承認の後、北朝鮮と韓国は何らかの形(多分連邦制の合併)で合併するするだろう。そして、合併後に核兵器の廃棄を前提に、米軍は韓国から撤退すべきだ。その話は、既に日本を除いた国々の間で出来上がっているかもしれない。(韓国、北朝鮮、中国、米国)

それが現実なら、北朝鮮だけが考えた作戦でないだろう。既に、キッシンジャーの弟子である元国連大使のJohn Boltonらがノルウェーで北朝鮮関係者とこの4月ごろ会見しているという。その際のネットワークで、キッシンジャーらが立案した可能性もある。

後者の場合を以下考えて見る。
朝鮮戦争には日本は無関係である。しかし、文在寅政権になって、北朝鮮に融和的になり、何れ朝鮮半島は統一するだろう。従って、北朝鮮は“米国一味”に対して攻撃をする場合でも、韓国への攻撃はやりたくない。そのために、日本を今回の敵国にしたいのだ。それが日本上空を通ってグアム公海にミサイルを打ち込むという作戦であると思う。

日本は米国の要請に従って迎撃するだろう。しかし、公海上にミサイル発射実験した場合、それを撃ち落とすのは国際法違反である。(昨日の記事にも書いた)従って、ミサイルを日本海で撃ち落とした瞬間に、日本は北朝鮮の明確な敵になる。そこで、北朝鮮の攻撃は韓国ではなく、日本に向かうことになる。キッシンジャーやクリントンが憎む日本(補足4)に制裁を加える良い機会となる可能性が高い。

最後に今日配信され、先ほどみた西村幸祐氏の動画を紹介したい。戦前も今も、日本の敵は同じだという内容である。その敵とは米国の国際資本の影響下にあったコミンテルンとその影響下にあった人たちである。現在の北朝鮮問題も同じ日本の敵の工作である可能性大であると思う。https://www.youtube.com/watch?v=mRK2iInrF1k

補足:

1)朝鮮戦争を戦ったのは国連軍である。しかし、韓国に駐留したのは米国軍である。米国は、一旦国連軍は解体された段階で、休戦協定に記載の条項は実行されたというだろう。尚、中国人民軍は休戦協定に従って半島から引き上げている。
2)その背景にある五大国の了解事項は、日本やドイツに核兵器を持たさないことだろう。尚、国家の存立危機事態では、核拡散防止条約から脱退することが可能である。従って、北朝鮮の核開発が違法かどうかは議論を要すると思う。
3)つまり、大日本帝国が描いたプランである、大東亜共栄圏構想が実現しては、米国の覇権は無くなる可能性が高くなる。
4)クリントン財団やキッシンジャーの財団などの中国関連の稼ぎについての記述は、ネットに多く存在する。
5)孫崎亨(元外務省)著「アメリカに潰された政治家たち」参照。

国家を単一の人格的存在とみるのは間違いである

ニュースやその解説において、「米国は」とか「中国は」とかで始まる文章を使い、まるで国家が単一の人格的存在のように扱うが、それは間違いである。その間違いを今回の北朝鮮危機で犯してはならない。

ヤフーで配信されたBBCnews Japanの記事「北朝鮮と米国との緊張、しんぱいすべきか?」でも、夫々の国家に対しても、大凡そのような扱いが為されている。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170810-40883753-bbc-int

記事の中で、3つのポイントを上げてこの問題を解説している。最初のポイント(1.戦争をしたい人など誰もいない)では、「北朝鮮政府が主に目指しているのは、生き延びることだ。米国との戦争は、その目標を深刻な危険にさらすだろう」と最初に楽観論の根拠を述べている。北朝鮮政府のこれまでの姿勢はその通りである。米国の大統領も、「戦争などしたくない」と言うだろう。しかし、米国は「北朝鮮の生き延びたい」という話し合いを拒否して来たから、問題はこのように大きくなったのである。それについて何も述べないこの文章は、記事というよりプロパガンダである。

「生き延びたい」という、いい加減な表現を用いているが、それは朝鮮戦争の終戦とその後の講和条約&国家承認のことである。その話し合いを米国は拒否し続け、六カ国協議という朝鮮戦争と無関係なメンバー国を加えた訳の分からない組織を作り、そこに北朝鮮の非軍事化という命題を丸投げし、その解決を遅らせた。しかし、その歴史は米国歴代大統領の意見に基づいたのかどうかは分からない。おそらく、朝鮮戦争終結の方向で動きたかった大統領も居たと思うが、動けなかったのだろう。 

また、現在の情勢だが、トランプ大統領の強硬論的発言とティラーソン国務長官の話し合い路線の発言が、単一の人格的存在である米国の硬軟両方の意見であるとの解説も真実なのかどうか怪しい。また、北朝鮮の今回の「グアム周辺へのミサイル発射の準備は出来た。金正恩の命令があれば何時でも発射する」という発表は、金正恩の指示のもとに出されてのかどうかわからないのだ。金正恩の意向を「忖度」するフリをし、金正恩に究極の選択を強要すると同時に、ある勢力の利益を考えてだされたかもしれない。

つまり、国家とは単一の人格的存在ではなく、幾つかの意思ある勢力が国家の方向へ力を発揮し、そのベクトル和で国の方向が決まるキメラ的存在なのだ。従って、国家のとる方向は常に予測不可能な部分が存在し、それが国家の状態により大きくなったり小さくなったりする。米国は典型的なキメラ的存在であり、現在の北朝鮮も殆ど予測不可能な情況なのかもしれない。それを念頭において、観測と分析をしなければならないと思う。

最後に、日本はミサイルが上空を通過したとしても、迎撃すべきではない。北朝鮮は公海に落とすと言っているのだから、もし米国からの要請があっても、国際法を重視して迎撃しないという姿勢を米国に通告すべきである。(補足)米国にとことん付き合うのは危険である。ある時点でゴミのように日本を捨てるだろう。米国の戦後の戦略は、日本を徹底的に無力化するためであり、その一つの道具が朝鮮戦争の継続である。つまり、米軍が東アジアに駐留することである。アホな政治家ども、もっと複眼的にものを考えろと言いたい。 補足:これは前回の記事で言及したように厳密には準攻撃とみなして、迎撃することは国際法に違反するわけではないと思う。(しろうとなので、責任持てないが) しかし、北朝鮮は攻撃ではないというだろうし、それと同じように日本もミサイルのテストであるから、迎撃できないというべきである。米国はグアム近海で迎撃するだろう。日本は、何とかこの機会に自立すべきである。韓国もその路線を現在模索している。日本の方が困難なのは、政界与党には米国の犬状態の人で占められているからである。

2017年8月10日木曜日

北朝鮮のグアム島に向けたミサイル発射計画の深慮遠謀:北朝鮮は敵対国として韓国よりも日本を選びたいだろう

1)グアム近海への軍事ミサイル発射計画の意味:
北朝鮮は昨日、グアム島近くの公海上に四発のミサイルを打ち込む可能性を公表した。そして、アナウンスした北朝鮮高官は、金正恩主席の命令があれば、その計画を実行に移すと宣言した。

軍事ミサイルをグアム島から30-40km離れた公海上に落とすという脅しが、予告の上で実行に移されたとして、それは軍事攻撃なのかどうか明確でないという人が多いだろう。しかし、落下点の予測精度が狂った場合にはグアム直撃の可能性もあるので、米国は迎撃を考えているだろう。

テレビ番組“ひるおび”で、今回の場合公海上へミサイルを落とすのだから、米国による迎撃は国際法に違反すると弁護士の人が言って居た。しかし直感的には、この弁護士は間違っている。国際法はこのようなケースを想定していない可能性もある。つまり、単なる飛翔体を飛ばすということではなく、敵対行為として軍事ミサイルを発射すると、北朝鮮が宣言しているのである。そのことを、その弁護士は判断材料にしていない。

米国は、「公海上に落とす予定と宣言しておけば、国際法の直接的解釈では迎撃は違法になるので、迎撃を避けることができる可能性がある」と北朝鮮側の考えを推測するかもしれない。そこで、「元々彼ら北朝鮮側は、グアムを直撃する予定であり、公海上に落とすという宣言はその爆撃効果を高めるための策略だろう」と推測する権利を米国は持つだろう。つまり、国際法はこのようなケースを想定していないと思う。

それに国際法など第二次大戦以後、違反しながら何の制裁も表向き受けなかった事例が山ほどある。(補足1)国際法など、米国やそのほかの超大国にとっては紙切れのように軽くなっている。

2)迎撃作戦とその効果:
何れにしても、その推測に基づいて米国は日本へ迎撃要請する可能性もある。そして、発射されたミサイルを日本海で迎撃し、日本がミサイルを撃ち落とす可能性も出てくる。その場合、北朝鮮は日本を敵国とすることに成功する。

その結果、主戦場は38度線付近やソウルではなく、米軍基地のある日本という可能性もある。(補足2)その後講和の話になったとしても、日本側の多大な人的並びに諸施設の被害は、植民地支配の酬いであると北朝鮮や中国は主張し、韓国も賛成し、米国は口先だけの日本応援演説をするにとどまるだろう。その結果、北朝鮮とともに多大の損害を受ける国は、韓国ではなく日本となる可能性がある。

平和の時が訪れたとしても、日本国は消滅の危機を物心両面から迎えるだろう。

北朝鮮は既に、韓国を吸収合併することも考えている筈である。韓国の大統領はそれには反対しないだろう。米国と対立して戦端を開くのなら、近い将来自国の一部となる38度線近辺はふさわしくない。

その結果、北朝鮮は威嚇を続けることになるが、万が一戦争になるとしても、その攻撃相手は韓国ではなく日本を選びたい。今回威嚇のために発表した作戦は、そのために工夫されたものではないだろうか。
補足:
1)例を挙げる:広島長崎の原爆による攻撃、都市部の無差別爆撃、ベトナム戦争介入、ウクライナへの介入やクリミヤ問題、イラク問題、南シナ海埋め立てによる軍事基地建設など。
2)共同通信によると、米国共和党のリンゼー・グラム上院議員は8月1日、トランプ大統領が北朝鮮の核弾頭搭載のICBM開発を阻止するため、北朝鮮との戦争も辞さないと述べたとNBCテレビの番組で発表した。グラム氏が話したことによると、トランプ氏が「戦争が起こるのなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と語ったという。

貧乏国の子沢山は世界の傾向

1) 昔から言われている「貧乏人の子沢山」という言葉が気になり、世界の一人あたりのGDP(GDP/h)と合計特殊出生率(=一人の女性が平均何人の子供を産むかという指数;以下単に出生率と呼ぶ)の関係を調べた。データは主に世界経済のネタ帳からとった。http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html

  図(1) 世界各国の合計特殊出生率と一人当りGDP(横軸/1000US$)

GDP/h(名目)が2万ドルを越えると、イスラエル(GDP/hが37000ドルで出生率3人)を例外として、全ての国で2人以下となっている。日本では、GDP/hが38900ドルで出生率1.4である。

出生率4以上の国は殆どアフリカの国々であり、GDP/hは全ての国で2300ドル以下である。出生率の最高はニジェールであり、7.6人であり、GDP/hは411ドルである。この部分の拡大図を以下に示す。
  図(2)世界各国の合計特殊出生率と一人当りGDP(横軸拡大図)

同じくGDP/hが低くても出生率に大きな差がある。しかし、それぞれの国の特徴を見ると、同じ条件では、表題の貧乏国の子沢山は真実であることがわかる。以下にそれを説明する。

2)データの解析

集団から離れて出生率の低い国:
GDP/hが少なく出生率の小さい国として、東欧圏がある。モルドバ、ウクライナ、アルメニア、ジョージアは4000ドル以下で出生率2以下の4カ国のすべてである。ヨーロッパの文明を持ちながら、旧社会主義圏であり、産業の停滞が低いGDP/hの原因である。

その他、GDP/hが少なくて出生率が低い国として、アジアの国がある。ネパール、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、インド、ラオスの六カ国が、GDP/hが2000ドル以下で出生率3以下の全ての国である。恐らく、出生に対する人工的制限が為されているのかもしれない。これらの国では貧富の差(ジニ係数)は小さいので、同じGDP/hでもアフリカ諸国に比較する場合は、右に多少シフトさせて考えるべきである。この中で唯一イスラム教の国は、バングラデシュである。イスラム圏は、仏教圏やキリスト教圏に比較して出生率は高い傾向にあるので、このバングラデシュの小さい出生率は今回の考察では謎である。

集団から離れて出生率の高い国:
イスラエルの高い出生率(3.0)が印象的である(図1参照)。赤道ギニアも集団から離れているが、この国は2017年にOPECに参加した新しい産油国である。また、首都が本土からかなり離れた島にあり、且つジニ係数が65%と極めて高く(南アフリカは0.62)、大半は貧困層である。この非常に高いジニ係数は図(2)で出生率が高くGDP/hの大きいアンゴラ(ジニ係数0.62)にも共通している。尚、ジニ係数(補足1)の出所は以下のサイトである。http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2172R.html

もう一つ出生率が高くなる原因として考えるべきファクターは、新生児死亡率(最大約5%)及び乳児死亡率(最大約10%)である。こられは貧困国では高いので、それが出生率を高くする可能性がある。しかし、それらは無視できないが、それぞれの最大値を見る限り上の統計値を決める主原因ではなく、補正項だろう。

上記特殊例とジニ係数や新生児死亡率などの補正を考えた上での結論は、GDP/hと出生率は逆相関であるということである。

3) 貧困国で出生率が高い理由:
その理由として、バース・コントロールがあまり為されないことや、大家族制で生きる場合には子供は経済的な負担よりも寄与の方が大きくなることなどが考えられる。あまり学校に行かないので就学コストが掛らず、少年期から働き手になる。また、非常に痛ましいことだが、売買の対象になる。女性は性奴隷として、男性は兵士として、夫々売買されて来た。それは現在の先進国では考えられないことだが、人間の歴史である。(補足2)

先進国と貧困国が共存する現代、更に痛ましい例として臓器売買に絡む人身売買もあると言われている。http://blog.goo.ne.jp/grandemperor/e/df1c23e1a03b3f60c9c85b2d55c4eb5c もちろん、これらは出生率をあげる原因なのか結果なのか判らない。

先進国で出生率が低い理由:
先進国ではGDP/hが高くて経済的余裕がありそうだが、出生率が低い。その理由は、やはり子供を育てる経済的メリットがなく、デメリットが多いからだろう。先進国では社会に出るまでに、子供は最低限の敎育を受ける必要がある。もし、高等教育までとなると、親の経済的破綻の原因にもなりかねない。また先進国では、余暇を持つことで生活の幅が広くなるが、子供を持つことによる経済的や時間的な束縛はその恩恵を受けられなくするだろう。バース・コントロールが容易であるので、それを禁ずる厳格な宗教の国(イスラム教やユダヤ教)以外では出生率が低いのは当然だろう。

補足:
1)ジニ係数:所得の低い順に人を並べ、横軸に人口の割合を、縦軸に各人の合計の収入をとり、それぞれを1.0に規格化する図を作る。
上の図で 、ジニ係数はA/(A+B)である。パーセント表示の場合は、これに100を掛ける。なお、上図のAとBの境界を表す曲線をローレンツ曲線と呼ぶ。
2) 現在でも少年が兵士として売られるケースが多いだろう。一例として、ペルー日本大使館人質事件での犯人の少年をあげたい。500ドルでテロリスト集団に売られ、事件では日本人人質の見張り役になった。ペルー当局の強行突入の際、日本人人質に対して銃の引き金を引けずに居たが、当局に射殺された。ペルー事件の真相についての話が非常に興味深いので、是非ご覧いただきたい。報告者は、日本人として唯一真相を知る青山繁晴氏である。https://www.youtube.com/watch?v=ajp41I2p4Ao