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2017年1月20日金曜日

トランプ米国新大統領は、反グローバリストなのかエゴイストなのか?:馬淵睦夫氏の動画に関する感想

1)トランプ米国新大統領は、反グローバリスト(この小文においてグローバリズムに反対する人と定義します)なのかエゴイストなのか?と題をつけたが、私にはエゴイストに見える。それは、米国WASPの利益(トランプ支持者)を、世界を混乱に陥れても最優先する姿勢に見えるからである。(補足1)

それに反して、馬淵睦夫氏は「和の国の明日を造る(36)」と題した動画の中で、トランプ氏を支援している。馬淵氏はトランプ氏を反グローバリストと信じておられるように思う。https://www.youtube.com/watch?v=lWP1oQzpOkg

動画の中で馬淵氏は、伊藤元重氏が雑誌正論で書いた文章「グローバル化が諸悪の根源か?」http://www.sankei.com/column/news/170112/clm1701120005-n1.html を批判している。その批判は、伊藤氏がグローバル化の弊害も議論しているふりをして、理想論を根拠にグローバリズムを支援していると解釈した結果だと思う。動画サイトはコメント禁止であるので、ここに少し議論する。

2)グローバル化とは、言うまでもなく地球規模への拡大の意味である。グローバル化には物品の移動を地球規模で自由にする段階、資本の移動も国境を超えて自由にする段階、そして、人の移動をも自由にする段階がある。

伊藤氏の文章に、「リーマンショックの経験からも分かるように、資金が無制限に国境を越えて動くことが好ましい影響を及ぼすとはかぎらない。だからグローバル化とはいっても、貿易の自由化と国際金融の自由化は同列に議論することはできない。全否定・全肯定は好ましくない」と書かれている。

また、「人が国境を越えて来れば、それは労働力という単純な生産要素ではなく、文化、風習、歴史、犯罪、宗教など、さまざまな複雑な要因を持ち込むことになる。だから移民や難民を制限すべきだということには必ずしもならない。ただ、国境を越えた人の移動については、貿易や国際資金移動の自由化よりも、さらに難しい要因が多くあることを認識する必要がある」とも述べている。

馬淵氏は動画において、特に人の移動に関する伊藤氏の下線部分の表現を激しく攻撃している。これが「ポリティカル・コレクトネス」なのですねという表現を用いている。多分、伊藤氏が言葉の上での反論を受けない様に現実的でないことを語っているという意味なのだろう。

“現在世界で起こっているグローバル化の動きを単純にグローバル化という言葉で一括して攻撃の対象とするのではなく、物、資本、人のそれぞれの移動の自由化ごとに政治的解決を目指すべきである”という伊藤氏の意見には何の新鮮味もなく、当たり前のことを羅列したに過ぎない。要するに伊藤氏はグローバル化を微調整しながら推進する立場であると、見抜いているのだと思う。

馬淵氏の言葉は、もう議論すべき時は終わった、今はトランプ氏とともに行動する時であるという風に聞こえる。

グローバリズムという言葉は、経済および政治におけるグローバル化を進めることが人類の歴史の進む方向であると信じるイデオロギーである。馬渕氏は、「グローバリズムは嘗て共産主義が目指した方向であり、現在の共産主義と言える」と言っている。

この動画で、馬淵氏の非難の的はこの“グローバリズム”であり、伊藤氏がもっと議論して解決法を探すべきだと言っているのは、主に“経済のグローバル化”である。つまり、必ずしもイデオロギーとしてのグローバリズムを支援しているのではないような文章である。つまり、最初から議論する対象が異なっているのに、馬淵氏は伊藤氏の文章を自分の土俵の上に持ち込んで非難しているように思える。

しかし、それは伊藤氏がポリティカル・コレクトネスを重視する立場から、「複雑な問題なので、問題を解析し議論して、適当な対処法を求めることが大事である」と言って、実質的にグローバリズムを支持し、それを一般にも伝道しているように映るからだろう。

米国の支配層は、グローバリストが形成しているという馬淵氏の考えは、本当なのだろうか? 本当だとすると、トランプ氏が大統領としての職を長期に続けることができない可能性が高い。馬淵氏は、そう危惧している。それは、時間が経てばわかるだろう。

補足:
1)他の国々に比べて米国のGDPはずっと一定の傾斜で増加している。(下図参照)したがって、国民の多くの不満はその経済力を用いて解決できる筈である。つまり、国内問題を過大にグローバル化の問題としているように思う。
なお、評論家の宮家邦彦氏は財務長官などの人事を見れば、ちゃんとニューヨークの金融資本のために働く筈だと言っている。

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